2019年夏、今年も「エアコンが冷えない」というお問い合わせを数多くいただいております。現地に駆け付けたエンジニアが室外機の吸い込み温度を計測すると、なんと58度!
騒音を気にして室外機の周りに囲いを設置したことが吸い込み温度上昇につながり、エアコンの冷房運転可能範囲を超えたために「冷えない」状態になったようです。
室外機のすぐ目の前にブロック塀や壁、荷物等があると、簡単に吸い込み温度が50度を超えてしまう気温が続いています。
昨年のトピックで「エアコンが耐えられるのは43度? 室外機を冷やす3つの方法」でJIS規格の冷房過負荷試験条件をご紹介しましたが、今回は各メーカーの業務用エアコンカタログから最新の機器の冷房可能温度をご紹介します。
ダイキン工業株式会社様 50度
ダイキン工業株式会社様の2019年2月の「店舗 オフィスエアコン スカイエア カタログ」 6ページでは乾球温度において外気温50度まで冷房運転可能、と掲載されていました。
※乾球温度とは:一般の温度計が示す温度、気温
三菱電機株式会社様 52度
三菱電機株式会社様の2019年3月の「スリムエアコン 店舗 事務所用 カタログ」28ページでは”外気温52度まで冷房運転可能(乾球温度)、外気温43度まで定格冷房能力キープ”と記載がありました。
株式会社日立製作所様 50度
株式会社日立製作所様の2019年4月の”「店舗・オフィス用 パッケージエアコン総合カタログ」22ページでは乾球温度で50度まで冷房運転可能、定格冷房能力キープは43度まで”と記載がありました。
株式会社東芝様 52度
株式会社東芝様の2019年6月の「総合カタログ」16ページでは”外気温52度まで冷房運転可能、外気温46度でも定格能力を確保”と記載がありました。
※各メーカーの冷房運転可能温度は機種により異なる可能性があります。詳しくはお問い合わせください。
最後に
2018年の7月8月は各地で40度を超える最高気温が更新されました。気象庁が発表する気温は温度計を直接外気に当てないようにして測定する方法がとられているため、実際の外気温、アスファルトの上はプラス5~10度程度暑いと予想されます。
実際の外気温についてはこちらをご覧ください。
「【熱中症対策】空調服って涼しいの? 作業場の温度は実際、何度?」
地球温暖化の影響と思われる世界各地の熱波は、今後さらに高温化し頻度が多くなっていくことが予測されています。業務用エアコンの大手メーカーの多くが最新の機器で冷房可能範囲は50~52度としていました。
50度や52度を超える気温でも冷房が可能な技術革新を期待する一方、「人間の技術力は地球の気温上昇に追いついていけるのか」は、誰にもわかりません。ただ、追い付けたとしても、最新のエアコンを、冷房限界を超えるたびに導入するのは現実的とは言えません。
近年、多くの家ではエアコンをつけるのが当たり前になっています。熱中症を防ぐための大切な対策でもあります。エアコンがある環境下で育った若者たちは、夏が暑くなっても「エアコンがあるから大丈夫」と思い込んでいるかもしれません。
通常の室外機設置環境でも、室外機の吸い込み温度がエアコンの冷房運転可能限界の50度や52度を超え、「エアコンが冷えない」事態が続出したら、熱中症搬送者数や死者が急増するかもしれません。
そうなったとき、エアコンに責任を取ってもらうことはできません。エアコンの先にあるリスクについて考え、少しでも気候変動を抑える取り組みが必要とされています。
※各メーカーの冷房運転可能温度の算出条件まで確認していません。外気温を測定した空間の条件設定により変動する可能性がありますが、このトピックでは各社が公開しているカタログデータを単純に比較したものとなっております。ご了承ください。
参考:気象庁
これからの気温の変化
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