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COP30とは?ベレン会合のポイントをわかりやすく解説

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脱炭素関連

写真: © UN Climate Change - Kiara Worth

国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)は、気候変動対策に関する国連の国際交渉の場であり、1995年以降ほぼ毎年開催されています。各国が集まり、温暖化対策の国際ルールづくりを進める重要な会議です。第30回となるCOP30は、2025年11月10日から21日にかけてブラジル・ベレンで開催されました。

2025年は、パリ協定採択から10年の節目であり、新たな国別削減目標(NDC)を提出する年でもあります。こうした重要なタイミングの中、議長国ブラジルは「ムチラオ(共同作業・協働)」をテーマに掲げ、国際社会が連携して気候危機に立ち向かう姿勢を強調しました。

今回の会議では、計画策定段階から実行段階への移行が強く求められ、緩和や資金などを含む包括的な合意として「グローバル・ムチラオ決定」が採択されました、個別議題の決定(例:世界全体での適応に関する目標など)と併せて「ベレン・ポリティカル・パッケージ」にまとめられました

以下、主な議題である緩和・適応・気候資金について、それぞれの成果を分かりやすく説明します。

① 緩和

緩和とは、温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化の進行を抑える対策です。

各国はパリ協定に基づき、5年ごとに国別削減目標(NDC)を提出・更新します。しかし、2025年目標の提出状況を見ると、COP30時点でも約4割の国が未提出でした。

また、すでに提出されている目標を踏まえた将来予測によれば、世界全体の排出量はわずかな減少にとどまる見通しであり、1.5℃目標を達成するために必要な削減量との間には依然として大きな乖離があることが明らかになっています。

このように、現状の緩和分野には主に二つの課題が存在しています。

第一に、いまだに自国の削減目標(NDC)を提出していない国が多数存在している点です。第二に、すでに提出されている目標も、排出削減の取り組みが十分とは言えず、たとえすべて達成されたとしても、パリ協定が目指す1.5℃目標との間には大きな差が残っている点です。

こうした目標の提出状況および目標水準を踏まえると、パリ協定の1.5℃目標を実現するためには、各国に対してNDCの策定・提出を促進すると同時に、排出削減の実施を強化し、パリ協定の目標と現実とのギャップを埋めるための対策が不可欠です。

このため、COP30においては、目標を未提出の国々に対して早期の提出を強く呼びかけるとともに、以下の取り組みが立ち上げられました。

  • グローバル実施アクセラレータ(Global Implementation Accelerator):

COP30およびCOP31議長国の主導の下で立ち上げられました。パリ協定の実施加速、1.5℃目標達成のための国際協力強化、および各国による国別削減目標(NDC)および国家適応計画(NAP)の実施を支援することを目的とした協力的・促進的・自発的なイニシアチブであります。

  • ベレン1.5℃ミッション(The Belém Mission to 1.5):

COP29、30、31議長国の下で設置される行動志向のプラットフォームであり、国別削減目標(NDC)および国家適応計画(NAP)の野心と実施を可能にし、緩和と適応の両面でその実施加速、国際協力、投資を検討しています。

以上の取り組みは、各国における削減目標や緩和策について、野心の引き上げと実施能力の強化という異なる側面から相互補完的に機能し、それらを実施段階へと確実に移行させることを目的としています。さらに、適応を含む幅広い分野での行動を加速させるとともに、国際協力および投資の一層の強化にもつながるものです。こうした動きは、今回のCOP30が掲げる中核的な目標である「計画から実施へ」を具体的かつ実践的に体現するものと言えるでしょう。

② 適応

適応とは、洪水・猛暑など、すでに発生している気候変動の影響から被害を最小化する取り組みです。緩和と異なり、適応には明確な数値目標が少なく、進捗の把握が難しいという課題があります。

そこでCOP30では、適応の進捗を定量的に評価するため、「ベレン適応目標」として59の指標リストが採択されました。本文書は、各国の気候変動への適応がどこまで進んでいるのかを分かりやすく捉えるための指標の枠組みを体系的に整理したものです。

水資源、食糧、健康、自然環境、インフラ、貧困対策、文化遺産といった幅広い分野を対象とし、リスク評価から計画、実施、モニタリングまでを一連の流れとして捉えることで、世界の適応の取組を計画段階から実行し、成果を確認できる段階へと進めることを目指しています。

ただし、検討の進め方や技術的な根拠が十分に共有されていなかったことから、最終的な合意には至りませんでした。このため、今回の会合で得られた内容を踏まえ、翌年も引き続き検討を行うことが決まりました。

③ 気候資金

気候資金は、緩和策や適応策といった気候行動を実行に移すための重要な基盤です。

多くの国が脱炭素目標を掲げている一方で、経済情勢の悪化などを背景に、気候変動対策の優先度が下がりやすい状況にあります。

さらに、途上国では適応に必要な資金不足が深刻な課題となっています。社会インフラの整備が十分に進んでいない中、近年では地球温暖化に起因する災害が頻発しており、途上国の人々の生活や経済に深刻な悪影響を及ぼしています。

こうした課題を踏まえ、COP29では新規合同数値目標(NCQG)が合意され、2035年までに途上国向けとして少なくとも年間3,000億ドルの資金を確保し、公的・民間資金を合わせて年間1兆3,000億ドル規模まで拡大することが求められました。

この目標を実現するための道筋として、COP30開催前にアゼルバイジャンとブラジルが「バクー・ベレン・ロードマップ」を発表しました。ロードマップでは、助成金や債務軽減、革新的な金融手法を活用して資金動員を強化し、民間資金の呼び込みや、特に支援が必要な地域への資金供給を進めることを目指しています。COP30は、こうした取組を通じて、計画を具体的な成果へとつなげる重要な節目となります。

まとめ・課題・これからの方向性

以上では、今回のCOP30における主要な議題である「緩和」「適応」「気候資金」について、これまで世界が直面してきた課題と、それらを解決するためにCOP30で示された対応策を紹介しました。これらの取組はいずれも、本会合の中核的な目標である計画段階から実施段階へ進むことを一定程度反映しており、その実現に向けた重要な一歩であると評価できます。

しかしながら、さまざまな要因により、いくつかの対策は最終的な合意には至らず、また、どのように実施していくのかについても、依然として具体化が不十分な部分が残されています。その中でも、今回の会合における最大の論点は、化石燃料の段階的廃止について明確な合意が得られなかった点です。英国やEUを含む80か国以上がこの方針を支持したものの、産油国などの反対により採択には至りませんでした。最終的には、各国の自主的な取組に委ねられる形となっています。

こうした結果は、各種計画を実際に実行していく上で、多様な立場や意見を踏まえる必要があること、そして各国・各地域の具体的な状況に応じて柔軟に対応することの重要性を改めて示しています。実際、各国の状況は大きく異なるため、画一的な対策を適用するのではなく、それぞれの事情に応じた多様な対策を設計していくことが現実的だといえます。

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