エコトピック

2020.12.02

大統領選挙後のアメリカ!押さえておきたい4つの環境政策!!

アメリカ国旗

11月3日に投票が行われたアメリカ大統領選挙。現職である共和党のトランプ氏と民主党のバイデン氏の大接戦となり、世界中の注目を集めました。“環境派”として知られるバイデン氏の勝利が確実となったことで、アメリカの気候変動政策は大きく変わっていくと考えられます。

アメリカの政策の大きな変化は日本にも影響を及ぼします。今回は、そんなアメリカの気候変動政策の未来と私たちに与える影響についてご紹介します。


大統領選挙後のアメリカの行方~4つの環境政策って?

自由の女神と風車

バイデン氏は公約の中で「遅くとも2050年までにゼロエミッションを達成する」ことを掲げており、第1期が終了する2025年までには中間目標を示すことを表明しています。
この目標達成に向けた計画の中に、次の4つが挙げられています。

①パリ協定への復帰
②約2兆ドルの環境インフラ投資
③自動車産業関連の改革
④電力部門の脱炭素化

今回はこの4つに着目して、アメリカの気候変動政策の未来と私たちに与える影響について考えます。

①パリ協定への復帰

トランプ氏の脱退通告から1年が経過した11月4日、アメリカは正式にパリ協定を脱退しました。その一方で、バイデン氏はかねてより「就任初日のパリ協定への復帰」を表明しています。11月4日当日には、Twitterで「77日後に再加入」すると投稿しており、その実現に向けて取り組む姿勢を見せています。

COP26は新型コロナウイルスの影響により来年への延期が決定していますが、アメリカのパリ協定復帰が決定すれば、COP26までに2030年の具体的な排出削減目標を示すことが求められます。

温室効果ガス排出量世界第2位のアメリカが、国家として排出削減に舵をきることで、世界の脱炭素化の動きはさらに加速するでしょう。

※77日後:新政権が誕生する2021年1月20日を指す。パリ協定は、締結した30日後から有効となるため、正式に復帰が可能となるのは最速で2021年2月19日である。
参考 パリ協定の概要 第21条【発効】(環境省)


さらに「就任100日以内に主要排出国の首脳会合を開催し、国別削減目標強化を主導」「高炭素プロジェクトへの輸出補助停止」など、対外的な気候変動政策にも言及しています。

自国の排出削減だけでなく、「排出削減に貢献していない相手との取引を避ける」動きに着手することが予測されます。アメリカとの経済関係を保つというビジネス的観点からも、温室効果ガス排出削減は重要な問題であるといえます。


②約2兆ドルの環境インフラ投資

緑の世界

バイデン氏は気候変動関連の予算として、約2兆ドル(約207兆円)の予算を投じることを表明しています。具体的な取り組みとしては以下のようなものが挙げられています。

・インフラのレジリエンス強化に100万人の雇用を創出
・部品製造からEV充電ステーションを含め、自動車業界に100万の新規雇用を創出
・全てのアメリカ都市に、10万人以上が利用できる排出ゼロの輸送手段を提供
・2035年までに電力セクターのゼロエミッションを実現
・400万軒の省エネ改修、150万軒の持続可能性の高い住宅新設などの建物のエネルギー効率改善
・蓄電・再エネ由来の水素製造・ネガティブエミッションなどのクリーンエネルギー技術の大幅なコスト削減
・持続可能な農業と保全のために、石炭や天然ガス産業で失われる25万の雇用を投入
・取り残されるコミュニティをなくし、環境汚染を続ける主体を正す等、環境正義を確保

 


気候変動政策でありながらも、雇用に関する具体的な数値目標が多いのが印象的です。格差社会と言われるアメリカらしいともいえます。気候変動に立ち向かうためには、雇用の面から根本的に見直す必要があることを明示しています。


③自動車産業関連の改革

電気自動車

自動車産業で注目すべきは、やはりEV(電気自動車)に関する政策です。4000億ドル規模の予算を投じ、ゼロエミッション車への買い替えを促すプログラムや50万ヶ所の充電ステーション設置を計画しています。さらに、10年間で6300万台(3.7年分の米国新車販売台数に相当)のガソリン車削減を掲げています。

公共交通に関しても大胆な政策を掲げています。2030年までにアメリカで作られるバスを全てゼロエミッション車にすることや、米国内を走る全50万台のスクールバスをゼロエミッション車に転換する方針を示しています。


④電力部門の脱炭素化

solar & wind power

発電部門に関しては、2035年までに二酸化炭素排出ゼロを掲げています。

国全体に関する政策としては、民間がクリーンエネルギーに投資できるように財政メカニズムを整備し、発電・送配電会社に対して省エネやクリーンな電力に関する基準(a technology-neutral Energy Efficiency and Clean Electricity Standard; EECES)を設定することで、電力料金の引き下げ、市場競争強化を見込んでいます。

バイデン氏は州単位の政策目標についても言及しています。役割連邦国家であるアメリカの再生可能エネルギー政策は、基本的に州単位で実施されているため、州レベルのクリーンエネルギー目標強化を掲げています。

その中で、高い雇用水準に従う主体への再エネクレジット付与などが検討されており、新型コロナ禍で落ち込んだ雇用対策とも絡めた対策を講じる予定です。米国内で生産された太陽光パネル、風力発電用タービンの導入拡大により、再エネの導入拡大と雇用創出の二兎を追うことを目指しています。


まとめ

バイデン氏は、気候変動政策に大規模な予算を投じ、多くの雇用転換を生み出す計画を掲げています。温暖化懐疑論を主張し、石炭産業とのつながりの強かったトランプ政権とは大きく異なる政策展開となることが見込まれます。

さらに興味深いのは、バイデン氏自身が「石油、ガス、石炭の会社や幹部からの寄付金は受け取らない」方針を表明していることです。

実際にこのような動きが具体化されれば、脱炭素化の潮流に反する部門への風当たりは一層強くなり、市場から淘汰されていくことが予想されます。日本企業も他人事ではなく、今この瞬間から排出削減に向けて取り組むことが重要です。

「脱炭素化っていうけど、何から取り組めばいいの…?」という疑問をお持ちの方は是非お問い合わせください。
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