エコトピック

2020.11.26

【脱炭素経営】を始める時に抑えておきたい5つの基本!


菅首相が宣言した2050年温室効果ガス0目標、つまり脱炭素社会を実現するためには、企業をはじめとするあらゆる組織で脱炭素経営が必要となります。ここでは、脱炭素経営を始めるにあたり、必要となる5つの基本についてまとめました。


 
 組織が【排出する温室効果ガスを把握】する 
CO₂どうやって算定するの?

自分が所属する組織で、2050年に温室効果ガスを0にするには、そもそも現時点でどれくらいの温室効果ガスを排出しているのか、がわからなければ毎年の削減目標も計画も立てることができません。

ではどのように温室効果ガス排出量を出せばよいのでしょうか。実は、既に世界共通の温室効果ガスの排出量を算定する方法があります。それは、【GHGプロトコル】と呼ばれています。(温室効果ガス=GreenHouse Gas、プロトコル=protocol=規約や約束ごと)

GHGイメージ

参照:環境省「GHGプロトコル~事業者の排出量算定及び報告に関する標準~」

この算定方法はRE100(企業の自然エネルギー100%を推進する国際イニシアティブ)やSBT(パリ協定の水準に整合する、温室効果ガス排出削減目標)、国連責任投資原則(PRI)など、多くの世界的機関や企業で標準的に活用されており、2050年温室効果ガス排出量0目標のベースとなっています。

このGHGプロトコルに基づいて、自分の組織の温室効果ガス排出量を出すことが、脱炭素社会、脱炭素組織を作るうえで最も大切な、第一ステップとなります。

ただ、少し難しいので、環境省のSBT目標設定支援事業を利用したり、脱炭素経営促進ネットワークの「目標設定を目指す企業」として参加したりして、同じように算定を進めている企業や、既に算定を終え目標設定の認定を貰っている企業と情報交換する機会を利用することをお勧めいたします。

どちらも費用をかけずに取り組むことができます。(交通費や人件費は除く)


弊社も上記の支援をいただき、温室効果ガス排出量の算定や目標設定をすることができました。(別業務をやりながら各部署の協力を得ながら一人で算定できました。算定までの動きや、算定する中で気づいたことをトピックにまとめてあるので、参考にしてください。)

・環境省 企業版2℃目標ネットワーク 支援会員になりました!
・SBTの基準改定!?2019年10月から新基準スタート!
・2019年度 環境省 中小企業向けSBT 再エネ100%目標設定支援事業に採択されました!
・環境省【中小企業向けSBT 再エネ100%目標設定支援事業】結果掲載!
SBT目標設定、SCOPE算定って何から始めればいいの?
・【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】SCOPE1,2の計算方法!
・【2019年度 SCOPE1,2】 温室効果ガス排出量は減った?

◆GHGプロトコルは、LCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方を活用しています。「LCAって何?」というエコトピックを近日中に公開予定です。

 
 組織設備の徹底した【省エネ化】と【高断熱化】 

自分の組織の温室効果ガス排出量がわかると、2050年に0にするには、いつまでにどれくらい削減する必要があるか、明確な数字で確認することができます。

また、電気なのか車なのか、仕入れなのか、廃棄なのか、どの部分でどのくらいの排出があるのかも把握でき、どこから優先的に削減に取り組む必要があるか、が具体的になっていきます。

現在の技術やしくみで削減に限界がある部分も見えてきます。

その中で全ての組織に共通し、大きな割合を占めていると思われるのが電気です。電気に伴う温室効果ガス排出を減らすうえで、多くの企業が取り組む共通点があります。

徹底した省エネ(設備更新)

電気を再生可能エネルギー100%に切り替えたり、自家発電設備を導入したりする前にすべきことがあります。それは、無駄な電力消費を削減することです。

例えば白熱球を使っている設備がある状態で、再エネ100%や自家発電設備を入れても、余計な費用がかかってしまい、効率的とは言えません。白熱球や蛍光灯、またエネルギー効率の悪いエアコン設備や廃熱を無駄にしている設備がないか、一度見直しを行うことが大切です。

資源エネルギー庁によると、オフィスで消費電力の割合が多いのは、照明、次いで空調機となっています。エネルギー使用量の大きい設備から見直しをお勧めいたします。

オフィス電力割合

LED照明は蛍光灯に比べ、2分の1以下の消費電力量になると言われています。また、最新のインバータ機は、10年前の一定速機の業務用エアコンに比べ50%も消費電力を抑える事例もあります。
◆参照:https://www.ecology-plan.co.jp/service/ac-construction/

さらに、定期的に業務用エアコンの洗浄を行うことで、エネルギー効率が改善され、最大20%の消費電力を減らすことができます。
◆参照:https://www.ecology-plan.co.jp/service/ac-maintenance/

EMS(エネルギーマネジメントシステム)や全熱交換器(吸排気の際の熱利用)でさらに効率を高めることも可能です。

高断熱化

設備のエネルギー効率が一通り改善しても終わりではありません。さらに省エネできる部分があります。それは高断熱化です。断熱窓に切り替え、断熱材を施工することで、夏場の熱の流入と冬場の熱の流出を減らし、エネルギー消費を抑えます。

弊社の三郷CKTCも、太陽光パネルを増やすより高断熱化したほうが、温室効果ガスの排出を抑えられることがわかっています。

断熱化
 
 【再生可能エネルギー】の導入 
風車と太陽光発電

省エネや高断熱化することで、使用する電力量を減らし、温室効果ガス排出量を減らすことができますが、0にすることはできません。0にするために比較的取り組みやすいのが再生可能エネルギー100%電力の導入です。

 ①電力契約を再エネ100%電力に切り替える 

新電力が次々に登場する中、再生可能エネルギー100%の電力を取り扱う電力会社も増えてきています。電力の個別契約ができる場合、温室効果ガス排出量が多い石炭化石燃料を含む電力から、再生可能エネルギー100%の電力会社に切り替えることで、電気の温室効果ガス排出量を0にすることができます。

テナントビルなどで、個別に電力契約ができない場合もあります。大手企業の場合、交渉してビルごと再エネにするケースもあるようです。

 ②自家発電の設置 

自社ビルを持ち、敷地内で太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー100%の自家発電設備の設置が可能な場合は、その設備を設置することで電力消費に伴う温室効果ガス排出量を0にすることができます。ただ、自家発電設備が賄える割合は多くの場合、限定的です。

それでも、できることは全てやる、という思いで取り組む企業、組織は増えています。

 ③再生可能エネルギーの価値「再エネ証書」を購入

自社ビルも敷地もなく、電力契約の切り替えも難しい場合は、再生可能エネルギー100%の電力価値を購入することで、温室効果ガス排出量を0とみなすことができます。

【グリーン電力証書】、【Jクレジット】、【非化石証書】と言われるものです。つまりお金で解決することができます。

再エネ証書

出典:環境省 RE100・SBTの義務履行に対応した再エネ調達方法について 

これらの再生可能エネルギーを導入することで、直接的、間接的に日本全体の再生可能エネルギー比率を高めることができ、脱炭素社会に近づくことができます。

 
 EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)の導入 
シオン
※転載写真:「SonoMotorsGmbH」「Sion」太陽の下に駐車しておくだけで最大34㎞走行できる電気自動車(追加充電で255㎞走行可能)


シオンシリーズ

電力と同じくらい温室効果ガス排出量が多いのは、自動車やトラックなどガソリンの消費に伴う排出です。この排出を0にするには、再エネ電力で充電された電気自動車(EV)や、再エネから作り出された水素を燃料とする燃料電池車(FCV)に切り替えていく必要があります。

11月17日、イギリスでは、2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、アメリカのカリフォルニアでも2035年以降のガソリン車の新車販売が禁止されました。カナダのケベック州や中国も同様の動きを見せています。

再エネ由来の電気や水素の供給には、インフラ整備が不可欠ですが、EVの普及に伴い、電信柱を改修し充電できる、コンビニや公共施設でも充電できる、住宅の日中の太陽光発電による電力をシェアできる、といった様々な供給パターンが生み出される可能性があります。

今すぐ導入できる状況ではなくても、将来的に導入することを考慮したうえで、予算や計画を立てていくことが求められます。

 
 化石燃料由来のプラスチックの削減と資源循環のしくみ作り 
プラスチック

脱炭素社会、つまり石油や石炭といった化石燃料を使わない社会にするためには、石油を原料とするプラスチックを0にする、もしくは資源循環させて大気にCO₂として放出される量を0にする必要があります。

身の回りに溢れているプラスチックを0にすることは現実的ではないように思えるかもしれません。紙や植物由来の同等素材に変えていく、使わずにすむ方法、しくみを考えるといった発想の転換が求められます。

植物を原料とするバイオプラスチックもありますが、原料の多くを占めるトウモロコシやサトウキビの栽培には、森林破壊や農薬、化学肥料使用に伴う土壌、地下水、大気汚染の問題があります。

プラスチックからプラスチックへ再生させる技術も広がりつつありますが、リサイクル工程で使用するエネルギーを再生可能エネルギーにすることと、焼却処理されないシステムも進める必要があります。

まずは自分の組織で使う割合の多いプラスチックの原料や、使う量の把握と使用量の削減、また、使わないしくみや再資源化(燃やして大気へ放出することを避ける)の検討が大切です。

 
 まとめ 

脱炭素社会の実現には、①排出量の算定 ②徹底した省エネ、高断熱化 ③再エネ100%電力導入 ④EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)、⑤脱プラスチック がポイントとなります。

②については、弊社の専門分野なので、ご検討中の方はお気軽にご相談下さい。

今回ご紹介した①~⑤までの取組が企業の評価や経営にどうかかわっていくのか、については追って公開予定の下記記事をご覧ください。
◆【脱炭素経営】知らないとまずい!企業の評価に重要な10のキーワード!



【中小企業も?!どうして脱炭素経営が必要なの?】
地球温暖化対策推進法(温対法)改正!何が変わる?
なるほど!脱炭素の歴史がキーワードと年表でよくわかる!