エコトピック

2018.12.28

パリ協定の具体的なルールがCOP24で決まりました!

2018年12月3日からポーランドで開催された「国連気候変動枠組条約第 24 回締約国会議(COP24)」は、会期が1日延長され15日に閉幕しました。

COP24では、COP21で成立した「パリ協定※」をどのように実施していくかの細かなルールが決められることになっており、国連では3年にわたってルール作りが続けられてきました。

各国が対策を強化できるかが焦点となる中、どのような内容で合意に至ったのでしょうか。日本のメディアでは日本経済新聞の一面に16日と17日に紹介されましたが、報道が少ないと感じましたので関連するニュースをまとめました。2019年も目前に迫る中、2020年をピークに世界の温室効果ガスを減らしていけるのか、注目です。

「パリ協定」とは
発展途上国を含む参加国が、地球温暖化防止に向けて、2020年以降の温室効果ガスの排出における取り組みを定める国際的なルールのこと。2017年6月1日には、アメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、世界中で議論が巻き起こった。

 

COP24で決まったこと

・途上国への資金支援の具体像を先進国が2年おきに公表。

・削減目標や量の検証は先進国、途上国は差をつけず共通のルールで。

・現在の削減目標の上積みも目指す。

・削減する目標期間を5年か10年にするかは先送り

・海外での削減分を自国の削減分として加算する市場メカニズムのルールも引き続き議論。

                         出典:日本経済新聞 12/17 朝刊一面より

十分な対策と言えるの?

COP開催当初、IPCCの議長は「現在、各国が国連に提出している削減目標を足し上げても世界の平均気温は3度上昇してしまう」と伝えたうえで、「今すぐ行動を起こす必要がある」と述べました。

今回、出来る限り目標を引き上げる方向で見直すことが確認されました。具体的な行動や結果が伴わなかった場合、3度上昇は避けられないということを意味します。

EUをはじめとして、パリ協定の目標を前倒しする動きがある中で、日本や私たちのは対策を強化し目標を引き上げることができるか、が世界に問われています。

COP24で取り上げられた海面上昇の影響

COP24開催中に温暖化による海面上昇をテーマにしたシンポジウムが開かれ、研究者がIPCCの予測をもとに、講演が行われました。 『IPCCは、世界の平均気温が産業革命前に比べ、1.5度上昇した場合、海面が今世紀末までに最大で77センチ上昇すると予測しています。』

出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181213/k10011745171000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002

※下図は海水面が60センチ上昇した場合の名古屋周辺の地図です。

海面が60センチ上昇した名古屋の地図

http://flood.firetree.net/で海面上昇の水没地域を確認できます。

2度上昇に抑える目標も厳しいと言われる中、1.5度で77センチ海面が上昇してしまうことを考えると、海面上昇の影響だけを考えても被害は甚大だと感じます。

日本の温室効果ガス排出量と2050年に80%削減できなかった場合にかかる費用(税金)
日本の温室効果ガス排出量

2016年度の日本の温室効果ガス排出量は13億700万トンです。

日本の温室効果ガス排出量グラフ

出典:環境省

2050年までに80%削減できなかった場合にかかる費用

現在の二酸化炭素相場1トンあたりの費用は、Jクレジット※1,700円前後と非化石証書※2,500円程度を参考に2000円で仮定した場合、

1,370,000,000トン×¥2,000=2,740,000,000,000 2,740,000,000,000×80%=2,192,000,000,000

つまり21兆9200億円となります。

2050年、パリ協定で目標設定した80%削減ができなかった場合、21兆9200億円という税金が必要になるかもしれません。

※COP3で採択された京都議定書の削減目標(6%削減)は、2012年に達成できず排出権購入費用が1600億円かかったそうです。

出典:環境ビジネス

Jクレジットとは
国が認証するJ-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
出典:https://japancredit.go.jp/about/

非化石証書とは
再生可能エネルギー(再エネ)発電や原子力発電に由来する電力が持つ、非化石価値(温室効果ガス排出がゼロの価値など)を電力から切り離し、取引可能にしたもの。
出典:https://newswitch.jp/p/12756

ネットゼロ

気温上昇速度が予測より早まっている中で、EUは2050年にネットゼロを宣言しています。日本の削減目標も80%ではなくネットゼロを求められた場合、2050年にネットゼロを達成できなかったら27兆4000億円の国費が必要となります。もしかしたら二酸化炭素の価値が値上がりし、それ以上の費用になる可能性もあります。

ちなみに日本の化石燃料輸入額は2016年 20兆8000億円 でした。

出典:日本経済新聞

ネットゼロとは
「差し引きゼロ」。エネルギーに当てはめた場合には、消費量から生産量を差し引いてゼロにすることを言う。
出典:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1403/07/news015.html
ガソリン1リットルの二酸化炭素費用換算

ガソリン1リットルを使用した場合の二酸化炭素排出量は2.322㎏とされています。二酸化炭素1トンの価格を2,000円(上記参照)と仮定し換算すると 2.322㎏×2,000円=4,644円となります。ガソリン1リットルを150円と仮定した場合、その分の二酸化炭素をゼロにするために13倍の費用がかかることになります。

車に30リットル給油したら、料金は4,500円ですが、ネットゼロ費用139,320円です。

いかに、現状の生活を劇的に変える必要があるかが分かります。 全世界の温室効果ガスをほぼ0にする目標は非現実的にも思えます。 しかし、出来なければ私達の子供の孫の世代、そしてその先の世代に人間が生きていけない地球環境になってしまう可能性が極めて高いとされています。

COP24でパリ協定が2020年から動き出すことになりました。私達が生きている間に温室効果ガス排出ゼロの社会を創る、という全世界で決めた目標です。 他に選択肢はありません。最終的に全世界でゼロにするので、京都議定書の時のように、他の国の削減分をもらって何とかする、ということはできません。 私たち一人一人の生活の仕方、考え方、生き方が試されています。

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■2030年に北極の氷消える恐れ 日本を襲う深刻な影響とは?
https://dot.asahi.com/aera/2018041700045.html?page=1

■”地球温暖化対策の国際枠組み・パリ協定の目標「産業革命前からの気温上昇2度未満」の達成には、各国が掲げる温室効果ガス削減量を約3倍にする必要があるとの報告書を、国連環境計画(UNEP)が27日公表した。” https://mainichi.jp/articles/20181128/ddm/005/040/041000c