エコトピック

2020.06.03

新型コロナウイルスの影響と気候変動 これからの世界はどこへ向かう?



コロナ後、気候危機は、世界はどこへ?

新型コロナウイルスが、社会のあらゆる前提を考え直すきっかけをくれました。この記事では、現代社会にどんなリスクがあるのか、これからどんな社会を目指せば良いのか、と、新型コロナウイルスで航空や輸送が制限される中、世界の温室効果ガス排出量がどうなったのか、を、まとめてみました。


 
新型コロナウイルスで浮き彫りになった現代社会の様々なリスク
・人口が集中した都市と、人口減少や高齢化が進む地方のリスク
・医療用品の海外依存と医療崩壊のリスク
・航空業界や飲食業界等、多くの業界の経営破綻、失業のリスク
・情報格差や、フェイクニュースがもたらすリスク
・感染症と災害が重なるリスク
・国家の情報統制と民主主義が機能しないリスク
・自然環境の破壊がさらなる感染症を発生させるリスク
・赤字国債の際限が無くなった将来へのリスク
・輸入食材(小麦粉、大豆、トウモロコシ他)の規制に伴う食糧自給率のリスク



新型コロナウイルスが社会経済に及ぼした影響は計り知れません。全てのリスクに100%対応することは、不可能と思われる中、これからの社会に本当に必要なことは何か、が問われています。

 
何を指標にして、私たちは進んでいく?

新型コロナウイルスが終息した後、元の社会に戻るのではなく、新たなウイルスや感染症の出現を最小限に抑えるためにも、持続可能な社会を目指す機運が高まっています。

グリーン・リカバリー

グリーン・リカバリーとは、感染症によってダメージをうけた経済と社会を環境に配慮した脱炭素で、災害にも強いレジリエント(強靱)な社会・経済に、そして生態系と生物多様性を保全する方向に、グリーンに復興していこうというものです。

ヨーロッパ グリーン ディール

JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」1.講演「気候変動をめぐる国際動向」高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター 教授 講演資料

ネットゼロ・リカバリー

企業の気候変動対策を科学的に評価するSBT、国連グローバル・コンパクト、We Mean Businessが発表した声明で、世界155社(合計時価総額約260兆円)が署名しています。

新型コロナウイルスからの復興と2050年にCO₂排出量を実質ゼロにする気候変動対策を整合させ、世界の連携を呼び掛けるものです。

ネットゼロ・リカバリー

JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」2.講演「グリーン・リカバリーに向けて」山岸 尚之 WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長 講演資料

気候野心同盟 Climate Ambition Alliance

2050年までにCO₂排出実質0を目指す国、地域、都市、企業、組織の同盟です。

気候野心同盟

JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」1.講演「気候変動をめぐる国際動向」高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター 教授 講演資料

 
日本でも着実に進むCO₂排出抑制の動き

日本の2050年までにCO₂排出実質0を目指す地方自治体は93自治体、6372万人、GDPは310兆円、日本の総人口の半数に迫る勢いとなっています。

2050年二酸化炭素排出0 自治体

地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況
JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」1.講演「気候変動をめぐる国際動向」高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター 教授 講演資料https://www.env.go.jp/policy/zero_carbon_city/01_ponti_200527.pdf

 
影響力のある企業も続々と2050年0を表明!

これまでも多くの企業がCO₂削減の目標を表明し、取り組みを公表していますが、5月に入り、影響力の大きな企業も取り組みを表明しています。

・2020年5月12日JR東日本 「2050 年度の CO2排出量「ゼロ」を目指します」
 
・2020年5月25日 トヨタ自動車が筆頭株主の豊田通商は国内すべての事業所で自然エネルギー100%へトヨタ環境チャレンジ2050 https://global.toyota/jp/ 

 
科学的知見に基づいた政策決定が重要!!

新型コロナウイルスでは、感染症や公衆衛生の専門家の方々の科学に基づいた見解や対策が、国や自治体、企業の対応策となりました。これは、指導者の個人的経験や知識といった判断基準ではなく、科学的根拠が政策を決定する上で重要であることを再認識する機会となりました。

今回の新型コロナウイルスの自粛要請で、ヒトやモノの移動が抑制された影響は地球規模の温室効果ガスの一時的な削減につながっています。その削減量は8%減、これは過去最大で、1日当たり最大で17%削減されたことが報告されました。

CO2 排出量は8%減 過去最大 しかし
1日当たりは最大17%減

しかし、これらの削減は一時的とみられており、今後の対策次第では、削減量を上回る増加の可能性も危惧されます。また、今回の削減量の影響は専門家の分析によると、気候変動、気候危機を「少し遅らせる程度」ということでした。

これだけの影響を世界に与えた新型コロナウイルスでさえ、気候変動、気候危機に与える影響はごくわずかという事実を真摯に受け止める必要があります。

影響は少し遅らせる程度

JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」2.講演「グリーン・リカバリーに向けて」山岸 尚之 WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長 講演資料

 
経済政策と気候変動対策の相乗効果分野

新型コロナウイルスは、地球は一つしかない事、そしてそれぞれの国境や法律、制度、文化、人種を超えて、大切なことがあり、それを守るために世界中の一人ひとりが協力する必要性を教えてくれました。

これは、新たなウイルスの発生の要因となった自然を破壊し続ける開発や、あらゆる自然と人間社会との関わり方を考え直すきっかけとなりました。

世界が経験したこの経験は、気候危機への考え方や対策、取り組みに活かせると考えています。

気候変動と経済政策相乗効果分野

JCIメンバー向けオンラインセミナー 「新型コロナウィルス感染症からのグリーンな回復に向けて」2.講演「グリーン・リカバリーに向けて」山岸 尚之 WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長 講演資料

 
最後に

専門家の示すこれからの目指すべき方向にある「クリーンなインフラ」「建築物の効率性向上のための修繕」分野において、弊社も出来ることがあると考えています。今後より一層、持続可能な社会や経済活動に向けて、取り組みを進めてまいります。