エコトピック

2020.08.21

ドレン排水が新たな水資源に?

水の画像

SDGsには「安全な水とトイレをみんなに(目標6)」という水をターゲットにした目標があります。
日本は豊かな水源に恵まれており、その水のありがたさになかなか気づきにくいかもしれませんが、現代における世界的な水不足問題は深刻化しています。

今回は世界の水不足問題を背景に、見逃されがちな“ドレン排水”という小さな存在について注目してみました。




2050年には4人に1人が水不足になる?​

地球上にある水は割合にすると98%は海水で、​生活や農業、工業で使用できる淡水はわずか2%。
水資源配分の問題等を巡って世界各地で水紛争が起きています。

水紛争

(出典:国土交通省HP「水紛争」)

2011年には、41か国が水ストレスを経験しましたが、うち10か国では、再生可能な淡水が枯渇寸前となり、従来と異なる水源に頼らざるを得ない状態となっています。

干ばつの多発や砂漠化は、既にこうした動向に拍車をかけています。2050年までに、4人に1人以上が慢性的な水不足の影響を受ける可能性が高いと見られています。
(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所「目標6:安全な水とトイレをみんなに」)

水需要は2000年から2050年の間に、主に製造業の工業用水(+400%)、発電(+140%)、生活用水(+30%)の増加により、全体で55%の増加が見込まれています。

2050年には、深刻な水不足に見舞われる河川流域の人口は、39 億人(世界人口の40%以上)となる可能性もあると予想されています。世界人口の約半分が水不足に陥るとされるこの予測を前に、できることはあるのでしょうか。
(出典:国土交通省HP「水需要と水ストレス」)


ドレン排水が新たな水資源に?

水不足問題を前に私たちができることは、限りある水資源を大切に使うことが前提にあると思います。
空調業者としてはぜひここでご紹介したいのが、ドレン排水の存在です。

そもそもドレン排水とは?
エアコンで冷房や除湿(ドライ)運転をすると、室内機に吸い込んだ空気を熱交換して冷やす段階で、結露水が発生します。この結露水は排水として扱われるので、ドレン排水と言われています。水道水より水温が低いため、冷却効果が狙えます。ドレン排水の水質は、他の再利用水と比べて水質を悪化させる要因が少なく、再利用できる可能性が高いとみられています。



このドレン排水が実際に活用できる製品をご紹介します。

株式会社極東商会様:「エネ助くん」

冷房使用時にドレン水が一定量になると、熱交換器に自動放流し、室外機を冷却する打ち水効果を狙った製品です。

室外機を冷却することで冷房効率が高まり、消費電力の低減、冷房コストの削減、CO2の発生減による環境保全などを実現します。
https://www.kyokutos.co.jp/Portals/0/resources/product/kankyo/enesukekun/j/index.html

エネ助くんの他にも、再利用化について調べてみると様々なところで活用されています。
例えば工場で排出されるドレン水(排温水)から熱を回収して蒸気を発生させ、工場の様々な蒸気加熱プロセスへ適用させている製品があります。

海外では、エアコンにウォーターポンプをつなぎ、ろ過してドレン排水を飲み水に変えるような製品まで存在しています。

ここでご紹介したものはいずれもドレン排水を捨てずに、無駄なくエネルギーとして活用しています。
今まで流し捨てていたものが新たな資源やエネルギーになるという可能性に素晴らしさを感じます。


最後に

今回取り上げたドレン排水の再利用化は、水資源の節減と、新たな水資源として活用できるという2つの見方をもっています。

日本には“もったいない”という独自の文化がありますが、こうしたもったいない精神を様々な分野で大切にすると、「捨てずに活用できるもの」というのが他にも見つけられるのかもしれません。

世界で掲げた目標に少しでも近づけるように、そして現代の豊かな生活を後世につなげていけるように、限りある資源を大切にしていきたいですね。