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簡単に教えて!【ネイチャーSBTs】と【TNFD】って何?

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簡単に教えて!【ネイチャーSBTs】と【TNFD】って何?

2022/11/9 CDPから、CDP ウェビナー「自然情報開示にかかる昨今の動き」の案内が届ました。
世界では、自然情報開示にかかる標準化、義務化に向けた動きが活発化しているようで、【ネイチャーSBTs】【TNFD】という、また新しい単語が登場していました。

弊社とは直接的な影響はなさそうだと思いつつ、参加してみたら、「これは、すごいことになっている!」と思ったので、簡単に紹介いたします。

ネイチャーSBTsとは? 

SBTとネイチャーSBT

CDPの資料によると、ネイチャーSBTsとは、”企業と都市が、環境的制約がある中で、科学的根拠に基づいた目標設定を通して、社会的に公平な基準で活動する世界を目指すもの、ということでした。

つまり、通常のSBTは、主にCO₂などの温室効果ガスの排出量を数値化し、削減目標を設定するものですが、ネイチャーSBTsは、淡水、海洋、陸上、生物多様性に関する影響を数値化し、悪影響を及ぼしている部分を削減するための目標を設定するもの、と捉えました。

その方法論を2025年までに策定する、と発表していました。CDPやWWFなど、45の世界的組織がネットワークを組んで、取り組んでいるプロジェクトです。

企業活動と自然とのあらゆる接点、影響を数値化し、指数値なども活用してデータ化していくようです。

ネイチャーSBTイメージ

※図はイメージです。

その方法論ができたら、企業や都市に対して、対応を求めていき、取り組みの指標になっていくイメージです。

すでに2022年のCDPの質問書には、生物多様性に関連する設問がいくつか追加されていました。今後、より詳細な質問に変更されていくと考えられます。

おそらく最初は、CDP質問状送付対象企業や、SBT認定企業といった大企業が対象になると考えられますが、サプライチェーンを巻き込む方法論になる可能性が高く、関連する中小企業も影響を受けることが予想されます。

概要だけでも把握し、取引先からどのような情報や取組が求められる可能性があるのか、準備することに損はなさそうです。

TNFDとは?

SBT ネイチャーSBTとTCFD TNFD

TNFDとは、自然関連財務情報開示タスクフォースのことで、”組織が進化する自然関連リスクを報告し、対処するためのリスク管理および情報開示の方法を標準化するためのフレームワーク”です。

つまり、TCFDが、気候変動のリスク(主な原因はCO₂をはじめとした温室効果ガスなのでその排出量を元に)データ開示や、対処、管理を求めているのに対して、【TNFD】は、自然に関連するリスクに対して、報告、対処、管理を求めるもの、という理解です。

TNFDはネイチャーSBTsより早く、2023年9月までに最終版を完成させるということでした。

2022年3月 TNFD 第1版(ベータ版)リリース

TNFDのLEAPとは?

LEAP(LEAPアプローチ)は、TNFDの中で使われている、企業や金融機関が社内で自然関連リスクと機会を評価できるようにするための任意のガイダンスです。

”より多くの組織が自然への配慮を企業やポートフォリオのリスク管理プロセスに組み込めるようにするには、実践的なガイダンスが有用だろうという市場参加者からのフィードバックに基づき、TNFDはLEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare:発見、診断、評価、準備)と呼ばれる自然関連リスクと機会に関する統合評価プロセスの最初のバージョンを策定しました。”

”このガイダンスを採用することで、情報開示に関するTNFDの提言(草稿版)に沿った戦略、ガバナンス、資本配分、リスク管理の意思決定(開示の決定を含む)が可能になります。”

LEAPアプローチの構成

  • 自然との接点を発見する
  • 依存関係と影響を診断する
  • リスクと機会を評価する
  • 自然関連リスクと機会に対応する準備を行い、投資家に報告する

LEAPアプローチに関するこの最初のプロトタイプの主要な対象者は、財務報告書の作成者と利用
者(投資家、債権者、保険会社など)、そしてリスク管理チームやオペレーションチームです。

LEAPは、上場企業、非上場企業、多国籍企業、中小企業などの様々な企業が、自然関連の依存関係や自然の影響を理解することを通じて、自然関連リスクと機会について、科学的根拠に基づいた体系的かつ段階的な評価を実施できるよう設計されています。

TNFDアプローチ詳細

出典:2022年3月TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示 ベータ版v0.1 リリースエグゼクティブサマリー

最後に

世界中の最新の科学的な手法や技術、組織ネットワークやノウハウを駆使して、自然への影響を数値化する試みが進んでいます。

この手法が企業活動をする上でのスタンダードになった場合、本来の価値に見合わない自然からの収奪分に依存していた企業の活動が、見える化され、マイナス評価となり、抑制されることが予想されます。

その影響は計り知れません。

また、その手法は複雑で、いかにも難しそうです。対応していけるのか、不安になってきます。

一方で、急速に減少している自然環境の健全さや生物多様性に対して、待ったなしの状況であることも、ネイチャーSBTやTNFDの取組の規模感や、変化のスピードから、うかがい知ることができます。

このウェビナーに参加し、世界の企業や様々な組織、人間活動を評価するうえで、重要とされている指標について、これまでGDPや売上、利益などのデータの方が、非財務情報(TCFDやCDP、TNFDやネイチャーSBTデータ等)より、若干上だと認識していましたが、逆転しつつあるのではないか、と感じました。

今回の内容はCDPの公式ウェブサイトで資料、動画ともに公開されています。詳しく知りたい場合は是非、ご確認ください。

CDP公式ウェブサイト イベントページ

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