2023年12月12日、環境省が公開している【算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧】が更新されました。
算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧は、ガソリンやガス(都市ガス、LPG)、軽油といった排出係数が含まれています。
企業の温室効果ガス排出量算定において、” SCOPE1 ”の算定で、使用している企業様も多いのではないでしょうか。
今回は、何がどう、変わったか、ご紹介します。
変更点は大きく分けて4つ!
今回の変更について、環境省から【令和6年度報告からの温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の変更点について】という資料が公開されています。
改正法令等による本制度は、令和6年4月1日から施行され、令和6年度報告(令和5年度実績の報告)から適用されるとのことでした。
◆主な変更点4つ
- 算定対象活動・排出係数・地球温暖化係数の見直し
- 廃棄物の原燃料使用の位置づけの変更
- 電気及び熱に係る証書の使用の上限の設定
- 都市ガス及び熱の事業者別係数の導入
変更(追加、削除、更新)があった排出係数については、まとめて下記資料に解説がありますので、ご参照ください。
※参考:令和6年度報告からの温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の変更点について
都市ガスについて、電気と同様、事業者別の排出係数が導入されるということで、弊社も、SCOPE1の算定の際、都市ガスの供給会社の排出係数の確認が必要となりました。
【変更前】のSCOPE算定でよく使う排出係数一覧
変更前の排出係数(SCOPE1の算定の際に使用するガソリンや都市ガス、LPGの排出係数)が、下図です。
- ガソリン 2.32 t-CO₂/kl
- 軽油 2.58 t-CO₂/kl
- 都市ガス 2.23 t-CO₂/千Nm³
- 液化石油ガス(LPG) 3.00t-CO₂/t
【変更後】のSCOPE算定でよく使う排出係数一覧
下図が変更後の、SCOPE1の算定の際に使用する排出係数です。(クリックすると少し大きく表示されます)
よく使う排出係数はどう変わった?
SCOPE1の算定において、よく使う排出係数がどう変わったのか、抜粋して比較してみました。ガソリンの項目がなくなっていたので、どの排出係数を使用すればいいのか、環境省に確認した所、【揮発油】の排出係数を使用する、という回答がありました。
燃料種 | 変更前 | 変更後 |
ガソリン t-CO₂/kl | 2.32 | 2.29 (揮発油) |
軽油 t-CO₂/kl | 2.58 | 2.62 |
都市ガス t-CO₂/千Nm³ | 2.23 | 事業者別排出係数 |
液化石油ガス(LPG)t-CO₂/t | 3.00 | 2.99 |
最後に
弊社は2018年分からSCOPE1,2,3の算定を毎年続けていますが、【算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧】が変更されたのは初めてでした。
これまで、環境省の【排出原単位データベース】については、何度も変更がありましたが、主にSCOPE3の排出係数だったので、必要に応じて算定に取り入れていました。
今回の変更は、SCOPE1に影響する部分なので、基準年の排出係数を変更するか、社内で検討が必要だと感じています。また算定方法を記載した手順書やマニュアル等も変更の可能性を考慮し、見直す必要性を感じました。
令和5年度の算定の準備を始めている企業様も多いと思いますので、参考になれば幸いです。