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望年会(忘年会)の二酸化炭素排出量を算定&オフセットしてみました!

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※写真はイメージです。

2023年末、弊社では全国の各拠点で「望年会」を行いました。

その際の取り組みの一環として、望年会によって排出された二酸化炭素の量を算定し、カーボンオフセットすることになり、記事にさせていただきました。

記事はこちら:望年会(忘年会)のカーボンオフセットを行います!

今回は、実際の望年会のデータを用いて算出を行い、排出量をオフセットいたしましたので、その流れと結果を紹介させていただきます。

前回の算定結果 

前回の算定は「仮算定」という位置づけで、排出源を「(1)会場(各拠点)への移動」「(2)会場での電気の使用」「(3)飲食料・消耗品の使用」「(4)廃棄物の処理」の4つと仮定し、それぞれの排出源について算定しました。

算出方法は活動量×排出係数。活動量は使用した電気の量や物品の金額等を表し、排出係数は1単位当たりの排出量を表します。

それぞれの排出源について、活動量と排出係数は以下の通りです。

排出源当日の活動量算定式排出係数
 (1)会場(各拠点)への移動2022年度の交通費[円]÷2022年度弊社営業日環境省排出原単位データベース
 (2)会場での電気の使用2022年12月の電気使用量[kWh]÷2022年12月弊社営業日電気事業者別排出係数
(3)飲食料・消耗品の使用担当者にヒアリングした望年会の予算額環境省排出原単位データベース
(4)廃棄物の処理 2022年度SCOPE3カテゴリ5(廃棄物)の数量[kg]÷2022年度弊社営業日環境省排出原単位データベース

(3)以外は、望年会の前でデータがなかったため、2022年度のデータで代用しています。

この活動量と排出係数を使って、排出源ごとに算定した結果が以下の通りです。

最も多かったのは(3)飲食料・消耗品の使用による排出で、0.932 tCO2。合計の排出量は1.317 tCO2となりました。

前回の算定について詳しくはこちらをご覧ください。

実際のデータで算定してみた

それでは、今回得られた実際のデータを用いて、より実際に近い値となるように再計算します。
今回再計算するのは、(2)会場での電気の使用(3)飲食料・消耗品の使用です。

(2)会場での電気の使用 の再計算

まずは、電気の使用量についてです。

望年会前の仮算定では2022年12月のデータを代用していましたが、今回2023年12月の電気使用量データが入手できたため、こちらのデータを用いて再計算を行いました。

計算方法は前回と同様に、12月1か月分の使用量を営業日数で割り、1日平均の使用量を当日の電気使用量と仮定して計算しました。

再生可能エネルギーを使用していない3拠点について、前回の算定では1日平均の合計が496.3kWhでしたが、実際のデータでは419.35kWhでした。およそ15%ずれていたことになります。

この差の原因としては、昨年12月の気温が高く、暖房の使用が減ったことが原因だと考えられます。

2022年12月の東京の月平均気温は7.5℃に対し、2023年12月は9.4℃(気象庁HPより)。昨年の猛暑・暖冬は皆さんの記憶にも新しいと思いますが、それが電気使用量という形にも表れています。

これに伴い、電気使用による排出量も仮算定より15%程度減少し、0.186 tCO2となりました。

(3)飲食料・消耗品の使用 の再計算

続いて、飲食料や消耗品の使用に関する排出量です。

こちらは、前回は担当者から予算をヒアリングし、その予算を以下のように分配して金額から計算していました。結果は0.932 tCO2でした。

項目分配率排出量
[tCO2]
ビール類30%0.170
ジュース類30%0.280
おつまみ30%0.347
使い捨て容器10%0.135
合計100%0.932

今回は、全拠点で望年会用に経費申請されたレシートを頂き、ひとつひとつデータ化して算定しました。

このように、レシートのすべてのデータをExcelに入力し、対応する排出係数を見つけていきました。
数が多くて大変ですが、排出量算定に近道はありません。他拠点の望年会の様子をレシートから想像しながら、ひとつひとつ入力していきます。

結果は以下のようになりました。

今回排出係数は掲載していませんが、これは同じ「おつまみ」でもチーズなら「酪農品」、魚肉ソーセージなら「ねり製品」というふうに、商品ごとに適切な係数を用いたためです。

合計金額は10%程度増加しただけですが、排出量は30%以上の増加となりました。これは、比較的係数が高い傾向にあるおつまみ系の支出金額が仮定よりも多かったことが要因だと思われます。

再計算の結果

以上を踏まえた、再計算の結果です。

電気使用は仮算定より減少しましたが、飲食料等の排出量が想定以上だったため、合計の排出量は仮算定より300㎏近く増えて1.603 tCO2となりました。

(クリックで拡大します)

オフセットしてみた

望年会の排出量が計算できたので、この排出量をオフセットしていきます。

今回用いたクレジットは、東京証券取引所(JPX)のカーボン・クレジット市場にて取引されたものです。

このクレジットは、「家庭における燃料電池の導入による CO2 排出削減プロジェクト」というプロジェクトから創出された、J-クレジットによって認証された排出削減プロジェクトです。こちらは日本国内の様々な参加者が集まって行うプログラム型のプロジェクトで、家庭での燃料電池導入により削減された排出量をクレジットとしています。

今回のオフセット量は2 tCO2といたします。これは、購入及び無効化できるクレジットが1 tCO2単位であるためです。排出量1.603 tCO2に対してオフセット量が2 tCO2のため、排出量に対するオフセット量の割合(オフセット比率)は124.8%となります。

クレジットは「無効化手続き」というものを行わないと、このクレジットを使ってオフセットしたことにはなりません。無効化手続きはJ-クレジット制度のホームページを介して、2024年2月27日に行いました。

こちらが、クレジットを無効化した際に発行される「無効化証明書」です。これをもって、正式にオフセットされたことになります。

おわりに

今回は、他になかなか例を見ない「望年会(忘年会)でのカーボンオフセット」を行いました。

排出量の算定はデータさえ揃えばExcelで簡単に計算できますし(データを揃えるのが大変な場合もありますが……)、クレジットの無効化手続きも他社に依頼して無効化してもらう「代理無効化」によって自社で口座を作らずにオフセットできます。

大規模イベントや商品に対するオフセットはよく見られますが、こういった小さなイベントでも比較的簡単にオフセットが可能です。

社員の環境意識向上や顧客へのPRなど、脱炭素経営の第一歩としてカーボンオフセットを検討してみてはいかがでしょうか。

また、今回のオフセットに当たっては、環境省の『カーボン・オフセットガイドラインVer.2.0』を参照いたしました。今回の記事では非常に簡単な説明のみでしたので、興味がある方は合わせてこちらもご覧ください。

こちらもご覧ください。

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