不動産の間取り図で見かける「2LDK+N」「2LDK+S」。このNや S が示すのが、いわゆる納戸やサービスルームです。
一見すると、居室とほとんど変わらない広さや形をしているのに、なぜ「部屋」として表記されないのでしょうか。
本記事では納戸・サービスルームとは何か、そして 居室との決定的な違い は何なのかを、建築基準法の視点から分かりやすく解説していきます。
1.納戸・サービスルームとは?
一般的に「納戸」や「サービスルーム」とは、建築基準法で定められた「居室」の採光や換気の基準を満たしておらず、「居室」にできない部屋を指すことが多いです。
建築基準法上、居室とは「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のため、継続的に使用する室」と定められており、居室は換気量や採光、天井高さ等の基準を満たさなければなりません。
「居室」でなければ換気や採光の基準を満たす必要がないため、納戸やサービスルームという表記が用いられ、2000年前後からこのような表記が多く見られるようになりました。
納戸とサービスルームは法的な扱いに大きな違いはありませんが、使用される場面によって呼び方を分けることが多いです。
【納戸】
収納を主な目的とした部屋を指し、昔ながらの住宅や和風の表現で用いられることが多い名称です。
【サービスルーム】
作業スペースや趣味の部屋など、多目的な利用を想定した表現で、分譲マンションの「1LDK+S」などで多く使用されます。
【DEN】
英語で「巣穴」「隠れ家」を意味し、書斎や趣味部屋などの“こもれる小空間”をイメージした名称として使用されます。
2.納戸・サービスルームにすれば法規制を回避できる?
これまでの説明を踏まえると、「納戸やサービスルームには明確な規定がないのではないか」と感じた方も多いのではないでしょうか。
居室として扱わなければ「どのような部屋でも計画できるのでは?」と考えてしまうのも無理はありません。
繰り返しになりますが、実際に採光不足などによる法規制を回避する目的で、安易に納戸やサービスルームと位置づける設計が多くなっているようで、特に都市部などの敷地面積が限られているエリアで多いようです。
しかし、納戸・サービスルームについては、国として一律の明確な基準が定められていないため、近年では市区町村ごとに独自の規制や指導を行う動きが強まっています。
その結果、地域によって判断基準が異なる点には注意が必要です。
例えば、東京都の板橋区や中央区では、以下のような規制が設けられています。
- 採光不足を理由に納戸とする設計は禁止
- 納戸の面積は居室面積の 1/2まで
- テレビ端子やエアコン専用コンセントの設置は不可
また、江戸川区においても規定があり、「原則1住戸につき1個所まで」と定められています。
このように、納戸やサービスルームは「居室でないから自由に計画できる空間」ではありません。
計画や利用にあたっては、各自治体の建築指導や運用基準を十分に確認し、地域性を踏まえた判断を行うことが重要です。
3.まとめ
弊社ではリノベーション工事の設計を行うにあたり、「納戸」や「サービスルーム」の取り扱いについて疑問が生じたため、改めて法的な位置づけを調査いたしました。
一般的な間取り図では居室と並んで表記されることが多いものの、建築基準法上の位置づけや採光・換気などの要件との関係性を正しく理解しておく必要があります。
そこで、改めて法的な定義や基準を整理し、その位置づけについて調査・検証を行いました。本記事では、その内容を分かりやすくご紹介しております。
弊社では、法令を遵守することを前提とし、安全性・快適性の両立を図った設計を心がけております。
リノベーションをご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。
※本内容は2026年3月時点での法令解釈に基づいています。
最新の法令解釈については適宜ご確認ください。
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