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もうすぐ決定!第6次エネルギー基本計画のポイントは?

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第6次エネルギー基本計画 イメージ

先日第6次エネルギー基本計画の素案が公開され、計画の決定が間近と見られています。

昨年秋から本格的な見直しの議論が進められており、その様子は最新動向!~新たな「エネルギー基本計画」に向けて~でもお伝えしましたが、今年4月に出された「2030年までに2013年比温室効果ガス46%削減」という宣言により更なる検討が不可欠となりました。

今回は、新たな2030年目標を受けて発表された素案について、ポイントをご紹介します。

新たな「エネルギー基本計画」の素案とは?

7/21に開催された基本政策分科会(第46回会合)において、第5次エネルギー基本計画見直しの議論をまとめた素案が初めて公開されました。その後、7/30、8/4にも会合が開かれ、修正した素案②が公表されています。

通常は月に1回程度の開催であるため、この開催頻度からも最終調整の段階であることが伺えます。

出所:基本政策分科会第48回会合(8/4) 資料3 p.2

前回の計画と比較して感じた主なポイントは、

  • 初めに福島第一原発事故に関する章
  • 2050年カーボンニュートラルを見据え、2030年に向けた具体的記述の増加

です。

福島第一原発事故に関しては、2011年以降初めて発表された第4次計画では章を設けた記載がありましたが、第5次計画では章立てはなく、分散的な記述のみでした。

2021年は事故から10年という節目でもあるため、わずか4ページではありますが「東京電力福島第一原子力発電所事故後10年の歩み」という章が頭に設けられています。

そして、2030年に向けた具体的数値の圧倒的な増加は大きな変化です。第5次でも、2030年への対応策が大半を占めていましたが、具体的数値は非常に少なかったです。2050年に向けた対応の記載も大幅に増加しています。

今回の記事では、具体的な対応の中身について 電源構成」「再エネ」「省エネ法の3点からご紹介します。

①2030年の電源構成

従来の日本の温室効果ガス削減目標は、2013年度比26%削減でした。2015年に、この目標に整合的な電源構成シナリオが示され、基本とされてきました。

今回2013年度比46%削減という新たな目標の表明により、電源構成シナリオも大幅に見直されています。

発電量については、従来では2019年度の水準よりも約400億kWhの増加を見込んでいましたが、840~940億kWh程度の減少想定へと変わっています。これは2019年度発電量の8~9%相当の削減を意味しています。

また、4人家族の平均年間電力消費量が5,500kWhであることを考慮すると、1500~1700万世帯もの年間電力消費量に相当します。

単身や2人暮らし世帯も多いことを考えると、かなりの量の省エネが必要となるシナリオが発表されたことが分かります。

内訳としては、石炭が19%、LNG(天然ガス)が20%へと若干ではあるものの減少、22~24%とされていた再エネ36~38%へと拡大しています。また、新たな非化石電源として水素・アンモニアが組み込まれました。

一方、原子力は20~22%のまま据え置かれています。福島第一原発事故から10年経過した現在、原発の発電量は約6%という再稼働状況であり、9年後に大きく状況が変わっている可能性は低いと思われます。

基本政策分科会 第48回会合(2021/8/4) 資料3 p.12

②再エネに関する動向

①の項で示したように、新たな電源構成シナリオでは、再エネの大幅な拡大を想定しています。
再エネの導入拡大を実現するためには、どのような方策が必要なのでしょうか。

素案の中でまとめられている政策についてご紹介いたします。(詳しく知りたい方は、素案②のp.49~記載の「再生可能エネルギーの主力電源への取組」をご参照ください。)

太陽光発電

まず、再エネ全体にかかわる重要な政策に以下の2つがあります。

  • 再エネ促進区域の設定(ポジティブゾーニング)
  • 再エネの市場統合推進(FIP制度開始など)

出所:環境省、「再エネの更なる導入に向けた環境省の取組方針」 (2021/7/6)

今年の3月に閣議決定、6月に公布された改正温対法では、地方公共団体の実行計画に再エネ活用促進を定めることが促され、適合認定を受けた市町村はワンストップで手続きが出来ることになりました。

その再エネ促進策として、各種再エネに適した地に対し、促進区域の設定を推進しようとしています。(=ポジティブゾーニング)

また、再エネの自立化を促し、コストを低減していくためには、再エネを電力市場に統合することが必要になります。

これまでの再エネ電力は、ほとんどがFIT制度により固定価格で政府に買い取られていたため、電力市場の価格変動の影響を受けにくい状況でした。

しかし、それでは発電量が変動する再エネに合わせて需給を調整する力が働きにくく、国民が電気料金の一部として負担するFIT賦課金の増大も深刻なため、2022年度より並行してFIP制度(電力市場の変動に合わせて、政府の補助額を設定)も開始されることになっています。

再エネ主力化へ~「FIP」と「高度化法」とは?

  • 「風力」:環境アセスメントの適正化、洋上風力の拡大
  • 「地熱」:自然公園法・温泉法・森林法の規制見直し、
    科学データの収集・調査 → 地域との調整加速

個別のエネルギー源については、再エネ拡大を牽引してきた太陽光以外の推進策も具体化されてきています。

温対法の改正により、「適地なのに規制で導入できない」「規制により開発までの時間が長すぎる」等の障壁が減ることを期待していきましょう。

③省エネ法の見直し

省エネを推進していくための策として、省エネ法(「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」)の改正が検討されています。

主に見直されているのは、以下の2点です。

  • 省エネ法での「エネルギー」の定義非化石エネルギーを追加し、全てのエネルギーの使用の合理化を目指す
  • [現行]夏冬の昼間(=需要が多い時期)の電気需要の縮小を求める → 変動する供給に応じて、柔軟に電力需要を調整

出所:省エネ法の概要

省エネ法は、オイルショックによる化石エネルギーの逼迫時に「国内での化石エネルギーの使用合理化」を目的に制定された法律です。したがって、現行の省エネ法の範疇には、再エネや水素・アンモニア等の非化石エネルギーが含まれていません

法律上の「エネルギー」の定義を変更することで、すべてのエネルギー」の使用に対し合理化・効率化を促すことが可能になります。当たり前のようですが、法律上明記されることで、事業者に対する要請、規制が行いやすくなります。

また、これまで電力の需要側に対しては、季節や時間帯による変動を少なくすることが求められていました。(=「電気の需要の平準化」、H26年改正で追加)

しかし、変動する再エネ電源の導入拡大に対応するためには、電力需要を柔軟に調整することが非常に重要です。晴天や風の強い時間帯に需要を増やし、天候の悪い日・時間帯に需要を減らすことが求められます。 

このように需給バランスを調整しやすい仕組みを作るために、省エネ法の表現も改正が検討されています。

まとめ

今回の計画では「2030年」に関する数値目標が多く示されています。”9年後”は少し先だと感じる方も多いかもしれませんが、エネルギーの世界では「明日」といえるほど近い未来です。

発電設備や従来の製造設備・技術を新しくしたり、インフラを整備したり、研究室レベルの技術を実装したりするには、かなりの年月が必要なためです。

しかし、その「近い未来」に向けた目標が示されたことで、今すぐ、具体的に取り組みを始めやすい環境が出来つつあります。

「2030年に間に合わないから意味がない」のではなく、今出来ることを着実に積み重ねていくことが大切です。見据えるべきは2050年カーボンニュートラル実現(2050年も決して遠い未来ではありません)であり、スピード感を持った行動が必要です。2030年はその中間目標にすぎません。

補助金事業を活用してみる、自社の温室効果ガス排出量を算出してみる、等小さな一歩が非常に重要だと思います。一緒に省エネへの取組を進めていきませんか。

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