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【教えて!温対法】地域脱炭素化促進事業と地域脱炭素化促進事業計画

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令和3年、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)が改正されました。地方自治体に対しても、施策目標が追加され、認定制度が創設されました。今回はこの認定制度について、ご紹介します。

地域脱炭素化促進事業とは?

■温対法の第2条 6から抜粋した内容は下記のとおりです。

「地域脱炭素化促進事業」とは太陽光、風力その他の再生可能エネルギーであって、地域の自然的社会的条件に適したものの利用による地域の脱炭素化(次条に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、地域の自然的社会的条件に応じて当該地域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減等を行うことをいう。以下同じ。)のための施設として環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定めるもの(以下「地域脱炭素化促進施設」という。)の整備及びその他の地域の脱炭素化のための取組を一体的に行う事業であって、地域の環境の保全のための取組並びに地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組を併せて行うものをいう。

※出典:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

つまり、「地域脱炭素化促進事業」とは、再生可能エネルギーを利用した脱炭素化及び、地域の環境保全と地域経済の持続的発展を合わせた取り組み、と言えそうです。

地域脱炭素化促進事業計画とは?

温対法 第22条の2から抜粋した内容は下記の通りです。

地域脱炭素化促進事業を行おうとする者は、単独で又は共同して、地方公共団体実行計画協議会が組織されているときは当該地方公共団体実行計画協議会における協議を経て、環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定めるところにより、当該地域脱炭素化促進事業の実施に関する計画(以下「地域脱炭素化促進事業計画」という。)を作成し、地方公共団体実行計画(第二十一条第五項各号に掲げる事項が定められたものに限る。以下この条において同じ。)を策定した市町村(以下「計画策定市町村」という。)の認定を申請することができる。

※出典:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

つまり、【地域脱炭素化促進事業計画】とは、単独または共同で再生可能エネルギーを利用した脱炭素化及び、地域の環境保全と地域経済の持続的発展を合わせた取り組み(地域脱炭素化促進事業)」をしようとする者が、下記の定めに沿って、作った実施計画のことです。

  • 地方公共団体実行計画協議会が組織されているときは、その協議を経る。
  • 環境省令、農林水産省令、経済産業省令、国土交通省令の定めに従った計画

この計画、地方公共団体実行計画策定済みの市町村に申請することができ、要件を満たせば、認定される、つまり、市町村のお墨付きがもらえることになります。

申請に必要な内容は?

この【地域脱炭素化促進事業計画】は、まだ検討中の部分もあるようですが、改正された温対法では、次に掲げる事項を記載しなければならない、と記載されています。

① 申請者の氏名 又は名称及び住所並びに法人にあたってはその代表者の氏名
② 地域脱炭素化促進事業の目標(温室効果ガスの排出の寮の削減等に関する目標を含む)
③ 地域脱炭素化促進事業の実施期間
④ 整備しようとする地域脱炭素化促進施設の種類及び規模その他の当該地域脱炭素化促進施設の整備の内容
⑤ 前号の整備と一体的に行う地域の脱炭素化のための取り組みの内容
⑥ 第4号の整備及び前号の取り組みの用に供する土地の所在、地番、地目及び面積または水域の範囲
⑦ 第4号の整備及び第5号の取り組みを実施するために必要な資金の額及びその調達方法
⑧ 第4号の整備と併せて実施する次に掲げる取り組みに関する事項
 (1)地域の環境の保全のための取り組み
 (2)地域の経済及び社会の持続的発展に資する取り組み
⑨ その他環境省令、農林水産省令、経済産業省令、国土交通省令で定める事項

※出典:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

計画に入れる内容

認定の要件は?

【地域脱炭素化促進事業計画】として認められる要件は、下記のとおりです。

① 地域脱炭素化促進事業計画の内容が地方公共団体実行計画に適合するものであること

② 地域脱炭素化促進事業計画に記載された地域脱炭素化促進事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること

③ その他環境省令、農林水産省令、経済産業省令、国土交通省令で定める基準に適合するものであること

※必要に応じて関連法令との協議が必要

温対法 地域脱炭素促進事業計画 要綱

※出典:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

最後に

日本の脱炭素化を進める際、地域ごとに、環境や事情が異なる中、地域の実情に合った計画を認定し、進められる制度は、様々な可能性を感じます。

国や、役所の担当者、地域外の大企業やシンクタンクだけでなく、地元の中小企業や働く人、住む人、若者も巻き込んで、未来の地域づくりを皆で考えていくきっかけになれば、脱炭素化だけでなく、あらゆる社会問題の解決に向かうのではないでしょうか。

その土地を良く知り、その土地で暮らす人々の幸せとは何かを把握し、未来の世代の人々のことも考えた、魅力的な計画が各地で生まれることを、期待せずにはいられません。

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