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フロン類漏洩量公表 8万トン-CO₂ 前年より増加!

エコトピック
脱炭素関連
フロン漏洩 冷媒温室効果係数表

2019年1月10日、経済産業省と環境省は2017年度のフロン類算定漏洩量を集計・公表しました。

2018年4月時点で第一種フロン類回収業者は43,651件となり、昨年より1千件増加。

業者と管理者に対し立入検査を実施 
   第一種フロン類充填回収業者…1249件    
   第一種特定製品管理者…1088件

フロン類充填回収業者に対する指導・助言は、自治体による業者への指導・監督の強化により毎年100件あまりから206件に増加

出典:経済産業省、環境省 【フロン排出抑制法の概要】

フロン類漏洩量が昨年より8万トン-CO₂増加して228万トン-CO₂となり、特定漏洩者が545事業者、うち特定事業所は226事業所ということでした。

※特定漏洩者とは、算定漏洩量の合計が年間1,000トン-CO₂以上となる者

※特定事業所とは、特定漏洩者が設置している事業所であって、1つの事業所からの算定漏洩量が1,000トン-CO₂以上の事業所

エアコン冷媒R410Aの温室効果はCO₂の2090倍!

業務用エアコンの多くに使用されているR410Aという冷媒(代替フロン)の地球温暖化係数は二酸化炭素の2090倍です。 業務用エアコンの代表格である天カセ4方向1台に使用される冷媒量は10馬力の場合およそ6.3㎏です。※メーカーや馬力、配管の長さにより変動します。

車が9.3㎞走行すると二酸化炭素が1㎏出ると言われているため、仮にこの業務用エアコンの冷媒が大気中に放出された場合、二酸化炭素13,167㎏(13トン)分に相当し、車が12万2453㎞走行したときの二酸化炭素排出量に匹敵します。地球1周4万キロとした場合、地球3周分す。

※計算式:6.3㎏のフロン×地球温暖化係数2090=二酸化炭素換算13,167㎏分 13,167㎏×9.3㎞=122,453㎞

フロン漏洩 冷媒温室効果係数表

 ■GWP:大気中人為増加量(Global Warming Potential:地球温暖化係数)の積で評価されます
[注1]。GWPはCO2を1としているため、微量ガスの量とGWPの積はCO2換算の温室効果を表します。

出典:国立環境研究所

フロンの規制を強化する動き

環境省と経済産業省は今年の通常国会にフロン排出抑制法の改正案を提出するとしています。1度でも違反があれば罰金など、規制が強化されることになりそうです。 今後エアコン1台1台の適切な設置、メンテナンス、回収、管理が非常に重要となってきます。

フロン漏洩の原因とは?

フロンは何が原因で漏洩してしまうのでしょうか。

高圧ガス保安協会が公表する事故事例情報の過去10年間(H12~21)によると、漏洩箇所別にみると73%が配管や弁類からの漏洩とされ、要因別でみると62%は経年劣化が要因とされています。ただ、初期施工不良や不適切な使用、整備も約20%の割合で要因となっています。

少しでも漏洩を防ぐため、信頼できるエアコン工事、修理、洗浄業者を選ぶことが重要となってきます。

フロンガス漏洩原因 漏洩箇所別
フロンガス漏洩原因 要因別

出典:高圧ガス保安協会

最後に

世界で温室効果ガスの排出量を情報開示する必要性が高まっており、大企業だけでなく仕入先、供給元、納品業者等のサプライヤーを含めて対策が必要になってきています。いくら二酸化炭素排出量を減らしても地球温暖化係数の高いフロンの漏洩が増えてしまっては、気温上昇を2度未満に抑えられなくなってしまいます。フロン漏洩抑制への取り組みは今後一層重要性を増すと考えられます。

※1000トン-CO₂以上の特定漏洩者や特定事業者の社名や漏洩量は開示請求することで確認することができます。特定漏洩者や特定事業者を開示請求する場合

フロン排出抑制法ポータルサイト

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