令和5年度補正予算が、令和5年11月10日(金)に閣議決定されました。全体の「令和5年度一般会計補正予算」は 131,992億円、そのうち環境省は、経済産業省や国土交通省、総務省や農林水産省との連携事業を含みますが、3664億円の事業(予算)が公開されました。
この記事では、環境省の事業の中でも省エネと再エネに関連する補助事業をご紹介します。省エネ、再エネに関する補助事業が、補助対象や、目的ごとに、いくつも出ていました。
◆参照: 環境省 令和5年度補正予算(案)について
補正予算が通らなくても本予算で再チャレンジできる可能性もあるので、再エネや省エネ等設備更新、脱炭素経営や気候変動対策をご検討の際はご確認ください。
目次
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業) 40億34百万円
事業目的
工場・事業場における先導的な脱炭素化に向けた取組を推進し、更なる排出削減に取り組む事業者の裾野を拡大し(削減目標設定、削減計画策定、設備更新・電化・燃料転換・運用改善の組合せ)、企業間で連携しバリューチェーンの脱炭素化に取り組む先進的モデルを創出する。
事業内容
① CO₂ 削減計画策定支援
中小企業等による工場・事業場でのCO₂削減目標・計画の策定を支援
※CO₂排出量を見える化するDXシステムを用いて運用改善を行うDX型計画は補助上限200万円
◆補助率:3/4
◆補助上限:100万円
② 省CO₂ 型設備更新支援
- 【A 標準事業】
CO₂排出量を工場・事業場単位で15%以上又は主要なシステム系統で30%以上削減する設備更新を支援
◆補助率:1/3
◆補助上限:1億円
- 【B 大規模電化・燃料転換事業】
電化・燃料転換、4,000t-CO₂/年以上削減、CO₂排出量30%以上削減を満たす設備更新を支援
◆補助率:1/3
◆補助上限:5億円
- 【C 中小企業事業】
中小企業等による設備更新に対し、以下のi)ii)のうちいずれか低い額を支援
◆補助上限:0.5億円
i)年間CO₂削減量×法定耐用年数×7,700円/t-CO₂(円)
ii)補助対象経費の1/2(円)
③ 企業間連携先進モデル支援
SCOPE3削減に取り組む企業が主導し、サプライヤー等の工場・事業場のCO₂排出量削減に向けた設備更新を促進する取り組みを支援(2カ年以内)
◆補助率:1/3、1/2
◆補助全体上限:5億円
④ 補助事業の運営支援(委託)
CO₂排出量の管理・取引システムの提供、実施結果の取りまとめ等を行う。
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 82億11百万円
事業目的
・オンサイトPPA等による自家消費型太陽光発電設備や蓄電池導入・価格低減を進め、経済的メリットが出る状態を達成する。
・新たな手法による再エネ導入・価格低減により地域の再エネポテンシャルの有効活用を図る。
・需要側需給調整力の確保により、変動性再エネに対する柔軟性を確保する。
事業内容
① ストレージパリティ達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
初期費用ゼロで自家消費型太陽光発電設備・蓄電池の導入支援を通じて、蓄電池の経済的メリットが出る状態を達成し、再エネの最大限導入と防災性強化を図る。
※ストレージパリティとは、太陽光発電設備導入に際して、蓄電池を導入したほうが経済的メリットがある状態のこと
◆太陽光発電設備、蓄電池:定額
◆上限:補助対象経費の1/3
② 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
ソーラーカーポートや営農地、ため池、廃棄物処理場、また住宅や建築物の窓や壁を活用した太陽光発電の導入を支援し、価格低減を促進する。
- 【建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業】
駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)について、コスト要件を満たす場合に、設備等導入の支援を行う。
◆補助率:1/3
- 【地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業】
営農地・ため池・廃棄物処理場を活用した太陽光発電について、コスト要件を満たす場合に、設備等導入の支援を行う。
◆補助率:1/2
- 【窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業】
住宅・建築物の再エネポテンシャルを最大限引き出し、太陽光発電設備の導入を促進するため、窓、壁等の建材と一体型の太陽光発電設備の導入を支援する。
◆補助率:3/5、1/2
- 【再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業】
地域の特性に応じた、再エネ熱利用、未利用熱利用(工場排熱等)、自家消費型再エネ発電(太陽光発電除く)等について、コスト要件を満たす場合に計画策定、設備など導入支援を行う(温泉熱の有効活用のための設備改修含む)
◆補助率:3/4、1/3、1/2
- 【熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業地域】
地域の再エネ電気・再エネ熱・未利用熱等を活用した、熱分野でのCO₂ゼロに向けたモデル、寒冷地での脱炭素化のモデルのいずれかに該当する先行的な取り組みについて、その計画策定や設備など導入を支援する。
◆補助率:3/4、2/3
③ 再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
再エネを遠隔制御できる設備等の導入支援
- 【オフサイトから運転制御可能な需要家側の設備・システム等導入支援事業】
オフサイトから運転制御可能で平時のエネルギーマネジメントや省CO₂化が図れる需要側設備等(充放電設備又は充電設備、蓄電池、車載型蓄電池、蓄熱層、ヒートポンプ、コジェネ、EMS、通信・遠隔制御機器、自営線、熱導管等)を整備し、遠隔制御実績等を報告できる事業者に対し、支援を行う。
◆補助率:1/2
- 【再エネの出力抑制低減に資するオフサイトから運転制御可能な発電側の設備・システム等導入支援事業】
再エネ出力抑制の低減のための、再エネ発電事業者によるオフサイトから運転制御可能な発電側の設備、システム等を支援する。
◆補助率:1/3
- 【屋外照明のスマート化・ゼロエミッション化モデル事業】
スマート街路灯(通信ネットワーク化し、遠隔調光等が可能なLED街路灯)やソーラー街路灯(太陽光発電設備及び蓄電池と一体となり、電力系統に接続されていないLED街路灯)について、計画策定や設備等導入支援を行う。また、スマート街路灯には日射系などを取り付け、地域の需給調整力の向上に必要な日射量等の気象データを収集する。
◆補助率:3/4、1/3、1/4
④ 離島等における再エネ主力化に向けた設備導入支援事業
離島において、太陽光発電をはじめとした再エネ設備や需要側設備の郡単位の管理・制御技術を社会実装しながら、離島全体での再エネ自給率の向上を図る。
◆間接補助事業(計画策定:3/4、設備等導入:2/3)
⑤ 平時の省CO₂と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業
民間企業等による直流給電システムを活用した平時の省CO₂と災害時避難施設を両立する建物間での電力融通モデル創出を支援する。
- 【直流による建物間融通モデル創出事業】
交流給電システムと比べて省CO₂化可能、かつ災害時に自立運転可能な直流給電システムを民間企業等が複数の建物間で構築することで、一定エリア内で平時は省CO₂を図りつつ、災害時には地域の非難拠点を形成できる。
◆間接補助事業:計画策定 3/4 設備等導入:2/3、1/2
- 【TPOモデルによる建物間融通モデル創出事業】
TPOモデル(第三者保有モデル):需要家が初期費用ゼロで設備を導入することが可能な手法
太陽光発電設備、蓄電池、需要側省エネ設備、自営線等を含めたTPOモデルを活用し、包括的な設備導入とエネルギーマネジメントを実施し、複数の建物間で電力融通し、平時での省CO₂と災害時の非難拠点機能を両立する取組に対して計画策定や設備等導入支援を行う。
地方自治体と防災協定を締結する取組には重点的な支援を行う。
◆間接補助事業:計画策定 3/4 設備等導入:2/3、1/2
⑥ データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
データセンターの再エネ化と災害時の継続能力向上等のレジリエンス強化を図る。
- 【地域再エネの活用によりゼロエミッション化を目指すデータセンター構築支援事業】
地域の再エネを最大限活用したデータセンターの新設に伴う再エネ設備・畜エネ設備・省エネ設備等導入への支援を行う。
◆補助率:1/2、太陽光発電設備・省エネ設備は1/3
- 【既存データセンターの再エネ導入等による省CO₂改修促進事業】
既存データセンターの再エネ・畜エネ設備導等導入及び省エネ改修について支援する。
◆補助率:1/2、太陽光発電設備・省エネ設備は1/3
- 【省CO₂型データセンターへのサーバー等移設促進事業】
省CO₂性能の低いデータセンターにあるサーバー等について、地方に立地する省CO₂性能が高いデータセンターへの集約・移設を支援する。
◆補助率:1/3
- 【地域再エネの効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター導入促進事業】
省エネ性能が高く、地域再エネの効率的活用も期待できるコンテナ・モジュール型データセンターについて、設備等導入を支援する。
◆補助率:1/3
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 111億円
事業目的
・既存建築物のZEB化
・外皮の高断熱化と高効率空調機器等の導入加速を支援
事業内容
① 業務用建築物の脱炭素改修加速化支援事業
既存建築物の外皮の高断熱化及び高効率空調機器導入を促進する。
◆要件:改修後の外皮性能BPIが1.0以下
一次エネルギー消費量が省エネルギー基準から30~40%削減
(ホテル、病院、百貨店、飲食店等:30%)
(事務所、学校等:40%)
BEMSによるエネルギー管理を実施
◆対象設備:断熱窓、断熱材、高効率空調機器、高効率照明 等
◆補助額:内容に応じて定額または補助率1/2~1/3相当 等
② 業務用建築物の脱炭素改修加速化支援に関わるデータ管理・分析等の支援
業務用建築物の脱炭素改修加速化支援に関わるデータ管理、分析等の業務支援(委託事業)
建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業 61億71百万円
事業目的
・建築物等におけるZEB化・省CO₂改修の普及拡大
・建築物等において外部環境変化への適応強化、付加価値向上
事業内容
① ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
ZEBの更なる普及拡大と、既存建築物の省CO₂改修によるZEBの達成可能性を調査
- 【新築建築物のZEB普及促進支援事業】
新築建築物のZEB化を支援
◆補助率:2/3~1/4
◆上限額:3億~5億円
- 【既存建築物のZEB普及促進支援事業】
建築物のZEB化に資するシステム・設備機器等の導入支援
◆補助率:2/3~1/4
◆上限額:3億~5億円
- 【非住宅建築物ストックの省CO₂改修調査支援事業】
既存建築物ストックの省CO₂改修による効果の調査を支援
◆補助率:1/2
◆上限額:100万円
① 省CO₂化と災害・熱中症対策を同時に実現する施設改修等支援事業
熱中症対策にもなる高効率機器等の導入と、コンテナハウス等の省CO₂移動独立型施設普及促進を目指す。
- 【業務用施設における省CO₂化・熱中症対策等支援事業】
>1.クーリングシェルター普及のための既存建築物への高効率空調等導入支援
◆補助率:1/3
◆上限額:1千万円
>2.高効率機器への更新による既存民間建築物の省CO₂化支援
◆補助率:1/3
◆上限額:5千万円
>3.オーナーとテナントがグリーンリース契約等を結び、協働して省CO₂化を図る支援
◆補助率:1/3
◆上限額:4千万円
>4.空き家等を業務用施設に改修しつつ省CO₂化を図る支援
◆補助率:1/3
◆上限額:なし
- 【フェーズフリーの省CO₂独立型施設支援事業】
クーリングシェルターや災害時の活動拠点としても利用可能な独立施設(コンテナハウス等)に対して、高機能空調、再エネ設備等の導入支援を行い、平時の省CO₂化と熱中症対策とレジリエンス性能向上を目指す
◆補助率:1/2
③ サステナブル倉庫モデル促進事業
物流施設における省CO₂化・省人化機器等及び再生可能エネルギー設備の同時導入を支援し、業界全体のCO₂化削減と担い手不足解消、災害時のサプライチェーンの維持につなげる。
◆補助率:1/2
◆上限額:1億円
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業 20億円
事業目的
地域脱炭素ロードマップでの国・自治体の公共施設における再エネの率先的導入と、災害時の公共施設へのエネルギー供給等の同時実現
◆補助率:1/3、1/2、2/3
◆上限額:500万円/件
最後に
令和5年度の補正予算は、業界や対象を絞り、ピンポイントで【省CO₂化】を狙う事業が多い印象でした。
どこが脱炭素のネックになっているか、どこにCO₂削減の余地があるのか、わかりやすく、該当企業や業界にとっては、業界内外で協力者を集めやすくなるのではないでしょうか。
また【省人化】、【レジリエンス】、【熱中症対策】といった、いくつかの目的を複合的に組み合わせ、1企業だけでなく、地方自治体や企業間の協働を促す内容でした。
全体を通して、いくつもの事業で、「高効率空調機器への更新」や、「自家消費太陽光発電導入」といった設備導入が関連していました。
これら沢山ある事業の中で、「自分の会社では、どの補助金が一番いいのか」は、設備を見てみないとわかりません。
エコ・プランは、省エネ改修工事や補助金申請の実績が多数あり、再エネ設備についての実績も増えてきました。実際の工事や申請業務に携わっているからこそ、わかるご提案があります。
今回は環境省の補助金ですが、都道府県や市区町村の補助金についても確認し、お客様に最適なご提案をしています。
気になることがございましたら、お気軽にお問合せください。
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