目次
はじめに
国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)は、気候変動対策に関する国連の国際交渉の場であり、1995年以降ほぼ毎年開催されています。各国が集まり、温暖化対策の国際ルールづくりを進める重要な会議です。
第30回となるCOP30は、2025年にブラジルのベレンで開催されました。 COP30については、弊社でも記事を公開しています。ぜひ以下のリンクをご覧ください:
COP30とは?ベレン会合のポイントをわかりやすく解説 | 株式会社エコ・プラン
COP31の開催概要
COP31が今年、2026年11月9日(月)から20日(金)まで、トルコ・アンタルヤで開催される予定です。
今回の大きな特徴は、トルコとオーストラリアが役割を分担する開催体制です。トルコが開催国としてCOP31の議長を務める一方、オーストラリアは交渉面で主導的な役割を担います。また、政府間交渉に加え、企業、自治体、市民社会、国際機関など、さまざまな主体による気候変動対策の実施も重視されています。
COP30で進められた国際的な合意や取り組みを踏まえ、COP31では、気候変動対策をどのように具体的な行動へとつなげていくかが重要なテーマとなります。
COP31の注目ポイント
COP30で残された課題や、これまでの国際的な議論の進展を踏まえ、COP31で特に注目したい3つのポイントを紹介します。
① 緩和:温室効果ガスの削減をどう加速させるのか
気候変動の進行を抑えるためには、温室効果ガスの排出削減を一層加速させる必要があります。
しかし、各国が提出した国別削減目標(NDC)を踏まえた将来予測では、パリ協定が掲げる1.5℃目標の達成に必要な削減量との間に、依然として大きなギャップがあることが示されています。また、COP30では、化石燃料からの移行について、具体的な道筋を示す包括的な合意には至りませんでした。
COP31では、各国が産業競争力や公正な移行にも配慮しながら、化石燃料への依存をどのように減らし、温室効果ガスの削減を加速させていくのかが注目されます。
② 適応:気候変動の影響にどう備えるのか
温室効果ガスの排出削減を進めるとともに、すでに発生している、あるいは今後深刻化する可能性のある気候変動の影響に備えることも重要です。
COP30では適応の進捗を定量的に評価するため、「ベレン適応目標」として59の指標リストが採択されました。これらの指標は、水資源、食糧、健康、自然環境、インフラ、貧困対策、文化遺産など、さまざまな分野における適応の進捗を把握するための枠組みです。
一方、適応の進捗をどのように測定・評価し、具体的な政策や対策につなげるかについては、引き続き検討が必要です。COP31では、採択された指標をどのように改善・活用し、世界全体の適応目標を具体的な行動へとつなげていくのかが注目されます。
③ 損失と損害:気候変動による被害にどう対応するのか
気候変動対策では、温室効果ガスの排出を減らす「緩和」や、気候変動の影響に備える「適応」に加え、これらの対策だけでは回避できない「損失と損害」への対応も重要な課題となっています。
近年、気候変動の影響より、世界各地で洪水や土石流などによる深刻な被害が発生しています。こうした被害には、建物やインフラの損壊といった経済的な損失だけでなく、住み慣れた地域や文化、生活基盤が失われるといった、金銭だけでは評価しきれない損失も含まれます。
国際社会では、こうした損失と損害に対応するため、資金支援や技術支援の仕組みづくりが進められてきました。その一つが、気候変動の影響に対して特に脆弱な途上国を支援する「損失と損害対応基金(FRLD)」です。COP27で設立が合意され、COP28で運用開始に向けた制度が整備されました。
COP30では、FRLDによる初の資金要請の公募が開始され、実際の資金支援に向けた取り組みが進展しました。しかし、気候変動に伴う損失と損害の将来的な経済的規模は、現在のFRLDへの拠出額を大きく上回ると推計されており、今後の資金拡充が課題となっています。COP31では、FRLDの運用状況を踏まえ、今後の資金拡充や、必要な支援を各国にどのように届けていくかが注目されます。
COP31のテーマ別デー
COP31では、気候変動対策に関する重要なテーマについて議論する「テーマ別デー」が設けられます。各日には特定のテーマが設定され、各国の政策担当者や研究者、企業、市民社会など、さまざまな関係者が集まり、対話や知見の共有、具体的な解決策の検討を行います。
以下では、COP31で予定されているテーマ別デーの日程と主なテーマを紹介します。
| 日程 | テーマ |
| 2026年11月9日 | 食料・農業・健康 |
| 2026年11月10日 | エネルギー・交通 |
| 2026年11月11日 | ゼロウェイスト |
| 2026年11月12日 | レジリエント・シティと建築環境 |
| 2026年11月13日 | 金融と貿易 |
| 2026年11月14日 | 子ども、青少年、教育、そしてスキル |
| 2026年11月15日 | アンタルヤの息吹 |
| 2026年11月16日 | 科学・産業・技術 |
| 2026年11月17日 | 海洋、海、自然、土地利用 — リオ・シナジー |
| 2026年11月18日 | 人間、社会開発、ジェンダー |
| 2026年11月19日 | İmece:実施強化 |
| 2026年11月20日 | 最終交渉 |
テーマ別デーを通じて、さまざまな分野の関係者が気候変動対策について議論し、具体的な取り組みにつなげていくことが期待されます。
COP31では、こうした議論が各国の政策や国際的な協力にどのように反映されるのか、会議での合意や今後の取り組みに注目しましょう!