エコトピック

2018.10.12

業務用エアコンに点検義務があるってご存知ですか?

平成30年の今年はフロン排出抑制法施行から3年が経過し、定期点検の更新期日となるため、駆け込みの定期点検依頼が多々ありました。また記録的な猛暑や、病院でのエアコンが故障した病室での患者さんの死亡事故が発生したこともあり、エアコン管理の重要性は高まっています。

簡易点検に慣れてきた管理者様が増える一方で、まだ対応できていない中小企業の管理者様もいるかもしれません。猛暑が落ち着き、定期点検更新のタイミングで、これから行う場合でも、既に行った場合でも、疑問や気になっていることが出てくるのではないでしょうか。
そこで、フロン排出抑制法について改めてご紹介いたします。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・フロン排出抑制法とは

・管理者とは

・管理者の5つの義務
  ① 適切な設置、使用環境維持の義務
 ② 点検の義務
 ③ 漏えい時の義務
 ④ 記録・保存の義務
 ⑤ 漏えい時の報告義務

・罰則

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

フロン排出抑制法とは

エアコンや冷凍冷蔵機器等に使われるフロンガスは、オゾン層破壊と温室効果(CO₂の数千~1万倍)が問題となっています。製造および回収、破壊については整備されていますが結果的に回収率は30%程度となっています。残りの70%についての問題で指摘されているのが、『使用時における経年劣化などによる設備不良等の漏えい』です。これを規制するためにできたのがフロン排出抑制法です。該当する設備を使用する『管理者に対しての責任』を定義づけたのが一番のポイントです。12順守状況は各都道府県が監督(指導、助言、勧告)します。

管理者とは
簡単に言うと『業務用エアコンや冷凍冷蔵機器を所有し、管理している人』です。

所有及び管理の形態 管理者となる人
自己所有・自己管理 設備を所有する人
リースやレンタル 所有者ではなく日常的に使用、管理している人
他人所有・他人管理 テナント利用者でなくビルのオーナー

管理者となる人はフロン排出抑制法施行により罰則を伴った義務が発生します。施行から3年が経過した今年の平成30年は定期点検の更新期限となっているため、改めて『誰が管理者であるか』関係者同士で管理責任に問題が起きないよう話し合い、明確にしておく必要があります。

 

管理者5つの義務

管理者には大きく分けて5つの義務があります。
① 機器を適切に設置し、適正な使用環境を維持し、確保すること
② 機器を定期的に点検すること
③ 機器からフロンが漏れたときに適切に対応すること
④ 機器の整備に関して記録し、保存すること
⑤ 機器からのフロン漏えいが一定量以上あった場合、国に報告すること
1つ1つ紹介します。

 

① 適切な設置、使用環境維持の義務
機器を適切に設置し、適正な使用環境を維持するためには4つのポイントがあります。
(1)機器及び配管部分の損傷の原因となるような振動源が設置場所に無いようにする。
(2)機器の点検、整備が行えるような空間を確保しておく。
(3)排水版(ドレンパン)や凝縮器・熱交換器(フィン)の付着物や排水を定期的に除去する。
(4)設備の上に別の違う設備を設置する際は設備(エアコンや冷凍冷蔵機器)を破壊しないように注意する。

② 点検の義務

管理者はエアコンや冷凍冷蔵機器の定格出力に応じて、決められた点検を定期的に行う必要があります。点検には管理者自らでもできる簡易点検と、有資格者が行う定期点検があります。

点検の種類 点検対象機器 点検頻度 点検実施者
簡易点検 全ての業務用エアコン、冷蔵冷凍機器 3か月に1回以上 誰でも可※安全に実施可能な場合
定期点検 ①冷凍冷蔵機器定格出力7.5kw以上
②空調機器定格出力7.5kw以上
③空調機器定格出力50kw以上
①1年に1回以上
②3年に1回以上
③1年に1回以上
有資格者(第2種冷媒フロン類取扱技術者)


◆ 定格出力の確認方法

エアコン室外機には『銘板(めいばん)』とよばれるシールが付いています。

エアコン室外機の定格出力を確認するための銘板のある場所の写真
この銘板の中に【出力 圧縮機 ○○kw】と記載があります。
この〇〇kwが圧縮機の電動機の定格出力です。下の写真の赤枠の部分です。この数字で点検の種類を判断します。写真では1.8kwと記載があります。このエアコンについては7.5kw未満なので定期点検は必要ないことがわかります。

エアコンの銘板から定格出力を確認するための銘板の写真 該当部分は赤枠で表示

◆ 簡易点検について ~主な点検項目~

・異音、異常振動がないか
・油にじみ、傷、腐食、錆がないか
・配管や熱交換器に霜が付いていないか
・ごみの付着、植物の絡まり(室外機)、配管の劣化はないか

簡易点検については誰でも実施できるよう、点検項目やチェックフォーマットがついたマニュアルが公開されています。
簡易点検の手引き:http://www.env.go.jp/earth/airconditioner.pdf
出典:一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会

◆ 定期点検について
定期点検を実施する際は『十分な知見を有する者』が実施する必要があります。
具体的には冷媒フロン類取扱技術者(資格者)となります。また、依頼する業者は充填回収業者(登録業者)である必要があります。
エコ・プランはメーカー問わず業務用エアコンの定期点検が可能です。
資格取得者一覧

③ 漏えい時の義務 ~フロンが漏れていた時にすべき事/してはいけない事~
管理者は設備を整備する者や専門業者からフロン漏えいの報告をされた場合、速やかに漏えい箇所を特定し修理する必要があります。
修理を行わず、フロンを充填することは禁止されました。もちろん適切に回収せず放出することも禁止されています。
漏洩を疑う3つの兆候
(1)エアコンを付けているのに風しか出ない。(冷えない/温まらない)
(2)室外機の配管や熱交換器の一部に白い霜が付いている。
(3)室内機のフィルタを外した際に見える熱交換器の一部に白い霜が付いている。
ガス漏れは放置すると、放置した期間に応じて漏えい量が増えてしまいます。使用時の違和感や、簡易点検でのガス漏れの疑いが生じた場合、早めに専門業者にご相談ください。
お問い合わせ

④ 記録・保存の義務
管理者は適切な管理を行うため、『点検、修理、冷媒の充填、回収等の履歴を機器ごとに記録する』必要があります。
◆ 3年間保管が必要なもの
【委託確認書】フロン回収行程管理票のA票
【再委託承諾書】フロン回収行程管理票のB票(間に別業者が入る場合に必要)
【委託確認書兼引取証明書】フロン回収行程管理票でいうとE票
【再生証明書】もしくは【破壊証明書】

◆ 機器廃棄時まで保管することが望ましいもの ※保管義務はない
【充填証明書】充填業者が
30日以内に管理者に提出する書類
【回収証明書】回収業者が30日以内に管理者に提出する書類

⑤ 漏えい時の報告義務
管理者は1年間の記録において、フロンの漏えい量が年間1000ton-CO₂以上あった場合、特定漏えい者となります。『フロンの漏えい量報告』を所轄の大臣へ報告しなければいけません。漏えい量算出方法

ガス漏れ算出方法は充填証明書から回収証明書を差し引くと算出されるという図

 

【罰則】—————————————————————–

◆ フロン類をみだりに放出した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金
◆ 点検義務や漏えい時の対応、記録の保管に違反した場合、50万円以下の罰金
◆ 都道府県の立入検査の収去の拒否、妨げ、忌避した場合、20万円以下の罰金
◆ フロン算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合10万円以下の罰金
◆ フロン類回収時の行程管理表の交付を怠った場合、50万円以下の罰金

出典:出典:一般社団法人フロン排出抑制機構

—————————————————————–

まとめ

定期点検の更新期限となった今年、管理者様の中には簡易点検への不安、違和感や定期点検の実務への悩みなどが出てきたりするのではないでしょうか。疑問や相談など、弊社で分かることでしたら、仕事の依頼があるなしに関わらず、お答えいたします。お気軽にご相談、お問い合わせください。弊社は、管理者様のご負担を減らせるよう、そしてフロン漏えいを少しでも削減できるよう、支援していきたいと考えています。

【コラム】
フロンガスはGHGプロトコル(国際的に認められた温室効果ガス排出量の算定と報告の基準)に含まれるため、RE100やSBT認定の際、報告が必要となってきます。

またRE100やSBTでは、加盟する企業の間接的な排出(サプライチェーンでのGHG排出量)であるScope3(製造、輸送、出張、通勤等)の管理が求められており、自社で加盟していなくても取引先や関連会社を通じて管理の必要性が生じる可能性が高まっています。

そういった観点からもフロンを使用するエアコン、冷凍冷蔵機器の適切な管理は
重要性を増していると言えます。