エコトピック

2021.02.18

なるほど!脱炭素の歴史がキーワードと年表でよくわかる!

太陽光パネル

日本を含め世界中で、脱炭素化の意識が年々高くなっていますが、気候変動への取り組みが現在に至るまでにどのような出来事があり、どのような組織の活躍があったのでしょうか。
今回は、世界の環境問題の歴史と今後について、詳しく説明いたします。

18世紀 産業革命
環境問題の始まり
1962年 「沈黙の春」
環境問題への危機感の広がり
1972年 国連人間環境会議
環境問題に関する初の国際会議
1992年 リオサミット
「リオ宣言」と「気候変動枠組み条約」の採択
1995年 第1回気候変動枠組み条約締約国会議(COP1)
ドイツのベルリンで開催、以降毎年開催
1997年 京都議定書の制定
初めて温室効果ガスの削減行動を義務化
2000年 CDP発足
世界の企業や投資家を気候変動対策に巻き込んだNGO
2000年 MDGsの採択
開発分野の国際社会の2015までの共通目標
2006年 PRI発足
ESG投資を推進、投資家の環境への責任を問う
2014年 RE100発足
2050年までに再生可能エネルギー100%を目指す
2015年 SDGsの採択
2030年までに持続可能な世界を目指す世界目標
2015年 パリ協定の採択
世界共通の目標として、2°目標を設定
2015年 SBT発足
パリ協定の削減水準に基づく削減目標の設定の推進
2017年 TCFD
企業の気候変動による財務的影響の開示、シナリオ分析の導入を推進

環境問題はいつから始まったの?
産業革命

環境問題の原点は18世紀のイギリスの産業革命にあるといえます。産業革命では、科学技術の発展と化石燃料などの資源の大量消費によって二酸化炭素や窒素酸化物、排熱、汚水などが大量に廃棄されました。

もちろん、この時代には環境問題は今ほど重要視されていなかったため、大量廃棄が続いていました。その影響で、ヨーロッパではスモッグや酸性雨などの環境問題が引き起こされるようになりました。

その後、1960年代に環境問題は、問題視されるようになりました。そのきっかけとなったのは、1962年に出版された著書「沈黙の春」です

「沈黙の春」は、アメリカの海洋生物学者であったレイチェルカーソンによって書かれました。彼女は、DDTなどの農薬や殺虫剤が自然の生態系やそこに生きる生物、さらには人間の健康に及ぼす悪影響について調べ、警鐘を鳴らしました。

「沈黙の春」は大きな反響を呼び、その結果、危険な農薬や殺虫剤の規制が行われるようになりました。これによってアメリカ、そして世界全体に環境問題の危険性が認識されるようになりました。

参考:レイチェル・カーソン 日本協会

また、日本でも、19世紀末の「足尾銅山鉱毒事件」に始まり、1960年代の公害問題などで環境問題への関心が高まっていきました。

このように環境問題は、当初、酸性雨やスモッグ、公害など特定の地域に限られたものでしたが、環境に負担が大きい人間の経済活動の拡大に伴い、問題の規模も大きくなり、地球全体の問題に発展していきました

このような環境問題への懸念増加を受けて、1972年に国連人間環境会議が開催されました。

参考:世界史の窓 環境問題

国の環境意識が高まった20世紀後半の動き!
国連人間環境会議
国際会議

国連人間環境会議は、国際連合が1972年にスウェーデンのストックホルムで開催した、環境問題に対する初の国際会議です。スウェーデンでの開催となったのは、スウェーデン政府が、国連に対し、国境を超えた議論を呼びかけたことがきっかけでした。

この会議には、世界の110カ国以上の国々が参加し、「かけがえのない地球」というスローガンが掲げられました。

この会議の成果として、「人間環境宣言」の採択や、国連環境計画(UNEP)の発足があります。また、10年ごとに大きな環境会議を開く、という旨も決定されました。

参考:ボランティアプラットフォーム 国連人間環境会議

この取り決めのもと、10年後の1982年にはナイロビ会議が、20年後の1992年にはリオサミットが開催されました。

リオサミット
リオサミット

リオサミット(国連環境開発会議(UNCED))は、ブラジルのリオデジャネイロで開催された、環境と開発がテーマの会議です。

この会議には、当時のほぼ全ての国連加盟国172カ国の政府代表が参加し、NGOの代表も2400人参加しました。

この会議では、当事12歳だったセヴァン・カリス=スズキ氏のスピーチの影響もあり、「リオ宣言」が合意され、さらにそれを実現するための取り組みとして「気候変動枠組み条約」「生物多様性条約」「森林原則生命」「アジェンダ21」が採択されました。

気候変動枠組み条約:気候変動の抑制のための、大気中の二酸化炭素濃度を削減する国際的な枠組み。1995年から毎年、気候変動枠組み条約締約国会議(COP)の開催を決定。日本を含む155カ国が署名。

アジェンダ21:リオ宣言に基づく持続可能な開発を実施するための自主的行動計画。各国政府が取るべき行動をまとめた4分野40項目が記される。現在でも各国の環境保護に向けた政策コンセプトの基準となっている。

参考:Sustainable Japan 国連環境開発会議

京都議定書

気候変動枠組み条約に基づき、1995年から毎年会議が開催され、1997年の第三回の気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)は京都で開催されました。このときに制定されたのが、京都議定書です。

京都議定書は、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を各国ごとに設定しました。この合意で初めて削減行動が義務付けられ、国際的な温暖化対策への大きな一歩となりました。

また、各国が目標を達成できるように、排出量取引やクリーン開発メカニズムなどの仕組みの導入も行われました。

一方で、この会議では途上国に対しては数値目標などの義務は導入されず、急速に排出量を増やしていた中国などの発展途上国には制約がかされませんでした。これによって、公平性が疑問視されるようになり、不満を持ったアメリカは京都議定書を離脱してしまいました。

これを受けて、後のCOP21のパリ協定では、先進国だけでなく、途上国を含む全ての参加国に対して削減目標を策定することが重要視されました。

なお、日本は2012年までに6%削減の目標であったものの、期間内に達成ができず、排出権の購入に1600億円もの費用がかかってしまいました。

出典:京都議定書の第1目標達成 省エネ足りず、排出権購入費用は約1600億円に

京都議定書

※出典:国立環境研究所
参考:環境省 – 京都議定書の概要

NGOが台頭し始めた2000年代!

20世紀後半の環境問題解決に向けた大きな動きは、主に国主体のものでした。しかし、徐々にNGOやNPOなどの環境問題への取り組みが盛んになっていき、多くの組織が誕生しました。

その中でも、特に大きな変化を世界に及ぼすこととなる組織が、2000年に誕生します。

CDP発足

CDPは、2000年にイギリスで4人の有志により設立された、気候変動などの環境分野に取り組む国際NGOです。

CDPの大きな特徴は、企業の株主である機関投資家を、気候変動対策の主役にしたことでした。機関投資家向けに、世界の主要企業に対し、環境課題に対する取り組みについての質問状を送り、その回答を評価し、開示をしたのです。

毎年開示される「CDPレポート」は、ESG投資の判断材料として機関投資家に用いられ、世界で最も参照されているデータの1つです。

ESG投資って何?

ESGは、
【 E 】 : Environment – 環境
【 S 】 : Social – 社会
【 G 】 : Governance – 企業統治
を指します。

これらの要素を投資の分析や意思決定、株主行動に取り込むことが求められています。



MDGs

国連は、2000年に、開発分野における国際社会の2015年までの共通目標として、MDGs(Millenium Development Goals)を採択しました。
MDGsとして、以下の8つの目標が設定されました。

・極度の貧困と飢餓の撲滅
・普遍的な初等教育の達成
・ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
・幼児死亡率の引き下げ
・妊産婦の健康状態の改善
・HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
・環境の持続可能性の確保
・開発のためのグローバル・パートナーシップの構築



この8つの目標の中で、環境に関わる目標は「環境の持続可能性の確保」だけで、その数が不十分だったという課題が指摘されています。

参考:環境省 – SDGs

PRI発足

この頃から、国のみならず企業や投資家にも、環境に対する責任が問われるようになり始めました。そこで、2006年にPRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)が提唱されました。

その内容は、投資家にESG投資を求めるものでした。PRIは、投資家に対して、企業の環境問題に対する施策などを考慮する、という投資における責任を求めています。

その理由は、投資家がESG情報を考慮し、投資における責任を全うすることで、お金を受け取る側である企業の行動が持続可能な方向へと促進されるからです。

PRIの署名機関数は2006年の発足以来一貫して増加しており、2020年11月時点での署名機関数は3470機関、その署名機関の運用資産総額は約100兆ドル(おおよそ1京円)にも上ります。

PRIは、CDPレポートを投資の際の評価材料とすることを推奨しているため、企業はPRI署名機関からの投資を得るためには、CDPレポートでの評価が大切になります。

詳しくは以下をご覧ください。
【簡単に教えて!】責任投資原則 PRIって何?

パリ協定で世界が団結した2010年代!
SDGs
SDGs

SDGsは、Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標を意味します。
これは、2000年に策定されたMDGsの後継として2015年9月の国連サミットで採択されました。

SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成されており、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す世界目標、という位置付けで定められました。

17のゴールには、

7:エネルギーをみんなに、そしてグリーンに
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさを守ろう

といった、気候変動に関連する目標も多く含まれました



参考:SDGsとは? – 外務省

パリ協定

2015年の第21回締約国会議(COP21)はパリで開催され、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。

パリ協定の内容には、

世界共通の長期的な目標としての2°C目標の設定
すべての国による削減目標の5年ごとの提出と更新
・各国の適応計画プロセスと行動の実施
・共通かつ柔軟な方法で各国の実施状況を報告・レビューを受けること

などが含まれています。

参考:気候変動の国際交渉 – 環境省

パリ協定については、以下もご覧ください。
パリ協定の具体的なルールがCOP24で決まりました!

RE100とSBT

2014年と2015年には、それぞれRE100、SBTという2つのNGOが誕生しました。

RE100

※上記マークは弊社独自のマークです。(RE100のロゴは使用できないため)

RE100は、企業が、その活動で使用するエネルギーを2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを推進している機関です。

RE100へ加盟するには、エネルギー使用量100 GWh以上であることや、最低条件として2050年までに100%、2040年までに90%、2030年までに60%、2020年までに30%再生可能エネルギーにすることが求められます。

SBT

※上記マークは弊社独自のマークです。(SBTのロゴは使用できないため)

また、SBT(Science Based Targets)は、パリ協定が求める温室効果ガス排出削減水準に基づいて、企業が科学的根拠のある削減目標を設定することを求めるものです。

パリ協定が求める水準とは、世界の平均気温上昇を産業革命前よりも2°Cを十分に下回る水準(Well Below 2°C:WB2°C)に抑え、また、1.5°Cに抑える努力をする、というものです。最近では1.5°Cに抑えることが前提となりつつあります。

RE100やSBTに加盟することで、企業は気候変動に対する積極的な姿勢を示すことができ、企業価値を高められます。これにより、投資家からの投資も得やすくなります。

TCFD

パリ協定を受けて、気候変動が事業活動に及ぼす影響を評価する動きが世界的に広がりました。
そのような理由から、金融安定理事会によってTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)が設置されました。

TCFDは、2017年に最終報告書を公表しました。その内容は、”企業に対して、【ガバナンス】、【戦略】、【リスク管理】、【指標・目標】の4項目について、自社への財務的影響のある気候関連情報を開示するよう勧める”ものでした。

また、TCFDは、企業に対してシナリオ分析を行うことを推奨しています。
シナリオ分析とは、気候変動が深刻化した場合や緩和された場合など、様々なシナリオについて考えて、それぞれの状況への対策を打っておく、というものです。

シナリオ分析は、CDPレポートの評価項目にも含まれていることから、その重要性が伺えます。

さらに、PRIが2020年からTCFD関連設問への回答を義務化したことも、TCFDの重要性を高めています

詳しくは以下をご覧ください。
気候危機のリスクを、企業価値に反映する手法【TCFD】とは?

これからはどうなるの?

世界は今、確実に脱炭素化へ進んでおり、この流れはこれからさらに強くなっていくと考えられます。

実際に、日本を始め多くの国々が2050年温室効果ガス0を目標に掲げており、2020年12月時点では、世界の123カ国が2050年温室効果ガス0を宣言しています。

カーボンニュートラル宣言国

※引用:経産省 令和2年12月 2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き

2050年脱炭素化を実現するために、これからも脱炭素化を促進する国の政策やNGOは増えていく一方でしょう。このような流れの中で、企業に求められる脱炭素化施策の基準も高くなっていきます。

企業が生き残るためには、この流れに取り残されず、真剣に環境に向き合っていくことが必須であるといえそうです。