エコトピック

2021.02.26

【中小企業も?!どうして脱炭素経営が必要なの?】

脱炭素化

今、世界には、気候変動対策を推進する多くのNGOやイニシアティブが存在し、その数は増え続ける一方です。そのため、それぞれの組織がどのようなもので、組織同士がどのようにつながっているのかを理解するのが難しくなっています。

今回は、特に重要なNGOやイニシアティブについて、それらの関係性と、中小企業との繋がりについて解説いたします。


PRI、CDP、SBTはどのように関係しているの?

中小企業に脱炭素が求められている理由を理解するためには、まず、環境分野において大きな影響力を持っている組織や取り組みについて知る必要があります。

その組織や取り組みとは、PRI、CDP、SBTなどです。皆さんは、PRI、CDP、SBTがどのような組織や取り組みかご存知ですか?

PRI
投資家に対して、企業の環境問題に対する施策などを考慮する、という投資における責任を求めている原則(取り組み)。PRIに署名している機関の運用資産総額は約100兆ドル(おおよそ1京円)にも上ります。

CDP
世界の主要企業に対し、環境課題に対する取り組みについての質問状を送り、その回答を評価し、開示をしている国際NGO。CDPが毎年開示しているレポートは、世界で最も参照されているデータの1つ。

SBT
パリ協定が求める温室効果ガス排出削減水準に基づいて、企業が科学的根拠のある削減目標を設定することを求める取り組み



これらの組織について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
【簡単に教えて!】責任投資原則 PRIって何?
シンプルなアイデアで世界を変えた、CDPとは?



それぞれの組織や取り組みの関係性を、ESG投資やそれに関わる評価情報に着目して図にしました。

ESGと組織関係

この3つの組織の関係を簡単に説明すると、

・多くの投資機関が署名しているPRIが、CDPのレポートを参考に投資を行う
CDPレポートは、評価の際にSBTやシナリオ分析、インターナルカーボンプライシングを参考にしている



つまり、これを逆に考えると、SBTなどの評価項目に含まれる取り組みをしないと、CDPレポートでの評価が下がってしまい、PRI署名機関の投資を受けられない、ということになります。

中小企業も脱炭素に取り組まないと、競争に勝てない!

この流れの中で、中小企業が関わってくるのはどこでしょうか。それは、SBTの中のSCOPE3です。

SBTは排出範囲ごとにSCOPE1、2、3に分かれていますが、そのうちのSCOPE3は、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量のことを指します。

大企業がSBTの認定を取得するために設定するSCOPE1,2,3の目標には、それぞれ基準があり、SCOPE3の基準では、【SCOPE3排出量がSCOPE1+2+3排出量合計の40%以上の場合にSCOPE3目標を設定】する必要があります。

SCOPE3の目標設定基準

出典:環境省 SBT(Science Based Targets)について

またそのSCOPE3目標は、【SCOPE3排出量全体の2/3をカバーする以下のいずれかを満たす】必要があります。

①1つ以上の排出削減目標を設定
②サプライヤー/顧客・エンゲージメント目標を設定



上記を満たし、野心的であることが求められます。【野心的】の水準は下記の通りです。

SCOPE3の目標 野心的の詳細

つまり、取引先や下請けに、経済的原単位 前年比7%削減、もしくは物理的原単位 年間2%の削減、といった具体的な削減を求める必要が出てきます。

自社以外の取引先や下請けに対して、こうした取り組みをやってもらうのは、簡単な事ではありません。脱炭素の必要性や、具体的手法を伝えることも、容易ではありません。

だからこそ、何も取り組んでいない企業よりも、少しでも取り組みをしている企業の方が、競争上優位であることは、容易に想像がつきます。

たとえ、株式を公開していない、ESG投資には直接関りのない中小企業であっても、他人ごとではありません。取引先から脱炭素化を求められる機会が増え、取り組まなければ、取引してもらえない、つまり競争に勝てなくなる状況になっていきます。

これこそ、中小企業が脱炭素化を進める必要性がある理由です。

中小企業も他人事ではない脱炭素の取り組み
SCOPE3 サプライチェーンの目標事例

出典:環境省 SBTの概要

最後に

PRIやSBT、CDPなどの組織の働きかけによって、今ではESG投資の考え方が主流となりつつあります。そのような中で、大企業には、直接的な二酸化炭素の排出の削減だけではなく、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められています。

中小企業の脱炭素の取り組みは、当分先、と考えている企業の方々も多いかもしれません。だからこそ、今、取り組みを始めることが、気候変動の【リスク】を【チャンス】に変える機会だと考えています。弊社も微力ながら、取り組みを進めてまいります。