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【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー1,2,3の算定方法!

エコトピック
脱炭素関連
SCOPE イメージ図

環境省の中小企業向けSBT・再エネ100%目標設定支援事業に採択いただき、SCOPE1,2,3の算定に取り組んでいます。
1回目「【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】何から始めればいいの? 」2回目「【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】SCOPE1,2の計算方法!」に続き、今回はSCOPE3の15個のカテゴリー中、カテゴリー1,2,3の算定についてご紹介します。

SCOPE3ってどうやって出すの?そもそもSCOPE3って?

SCOPE3は、サプライチェーン排出量とも言われます。15個のカテゴリーに分けられています。企業活動に関わる全ての温室効果ガス排出が含まれます。

SCOPE イメージ図
カテゴリー詳細

引用:環境省 HP

初心者でも安心!物語でわかるサプライチェーン算定

カテゴリー1 【購入した製品、サービス】の算定方法!

カテゴリー1は購入した製品、サービスの原材料、部品、容器、包装などが製造されるまでの活動に伴う排出です。

弊社は購入した製品の重量データは出すことができなかったため、会計データの金額をもとに、各項目に関連する排出原単位を使って算定しました。

■計算式

【該当項目金額】×【該当項目に適した排出原単位】=温室効果ガス排出量

※主な項目を、どんな排出原単位を使ったのかは下記の通りです。

①空調部仕入高(機器、部品等):
環境省DB【5】301301「冷凍機・温湿調整装置」購入者価格:6.46tCO₂/百万円
②リフォーム関連仕入高(材料等):
環境省DB【5】17101「木製家具・装備品」購入者価格:2.51tCO₂/百万円
③空調部仕入高(外注):
環境省DB【5】851903「土木建築サービス」:1.3tCO₂/百万円
④福利厚生費:
環境省DB【5】851909「その他の対事業社サービス」:0.69tCO₂/百万円
⑤賃借費:
環境省DB【5】641102「不動産賃貸業」:1.07tCO₂/百万円
⑥保険費:
環境省DB【5】641202「損害保険」:0.6tCO₂/百万円
⑦通信費:
環境省DB【5】731201「固定電気通信」:1.16tCO₂/百万円
⑧新聞図書:
環境省DB【5】735103「出版」:2.62tCO₂/百万円
⑨消耗品費:
環境省DB【5】303109「そのほかの一般機械機器及び部品」(購入者価格):38.3tCO₂/百万円
⑩車検等:
環境省DB【5】851410「自動車修理」:5.6tCO₂/百万円
⑪広告宣伝費:
環境省DB【5】851101「広告」0.3tCO₂/百万円

※資料①(環境省DB)

環境省HP 出原単位データベース(Ver.2.6) 

細かく細分化して算定する必要はない?!

カテゴリー1の算定を始めた当初、弊社の仕入れの多くは、業務用エアコン本体や、修理で使用する部品(大小様々)が含まれるため、それらを細かく分類し、該当する排出原単位を見つけ出す必要があると考えていました。

しかし、SBT水準の目標を設定する上で重要なのは、SCOPE1,2の数値目標であり、SCOPE3についての数値目標はそこまで厳密な数値を求められていないことを知りました。

厳密さを求めるよりも、自社に合った算定方法を設定し、大まかな数字を出し、SCOPE3の割合が最も多い項目は何か、またSCOPE1,2とSCOPE3の割合を把握し、削減するための優先順位をつけることが大切であると気づきました。

※注意点
カテゴリー1の算定の際、他のカテゴリーで算定する費用は重複するため、差し引く必要があります。
例:車両費からガソリン代(SCOPE1と重複)を、雑費から産廃費(カテゴリー5と重複)を、差し引きく

カテゴリー2 【資本財】の算定方法!

カテゴリー2の資本財は、自社の資本財の建設、製造に伴う排出を算定します。
弊社の場合、報告対象期間に購入した資本財は、エアコン工事に使用する機材2点でしたので、その費用から算定しました。

排出原単位は、購入品目の内容とは関係なく、会社の業種で決まります。
弊社の場合、建設業なので、※資料①の【6】資本財の価格当たり排出量原単位 19-0650建設 3.39tCO₂/百万円 を使いました。

■計算式

資本財購入費(百万円換算)×3.39tCO₂/百万円=カテゴリー2の温室効果ガス排出量

カテゴリー3って何をどうやって出すの?

カテゴリー3は、SCOPE1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動に伴う排出です。

つまり、SCOPE1,2では電気の発電時やガソリンの燃焼時の排出を算定しましたが、発電に必要な燃料やガソリンの採掘、精製でも温室効果ガスは排出されるので、その分をカテゴリー3として算定します。

該当する項目はSCOPE1,2の項目です。弊社の場合、【ガソリン】【軽油】【LPG】【都市ガス】【電気】となります。

それぞれにカテゴリー3用の排出原単位があるので、使用量に乗じて算定します。

■計算式

【ガソリン 使用量KL】×ガソリン 排出原単位t-CO₂/kL(※資料② B-JP311001 原油採取~分留~石油精製)

【軽油 使用量kL】×軽油 排出原単位t-CO₂/kL(※資料② B-JP311005 原油採取~分留~石油精製)

【LPG 使用量t】×LPG 排出原単位t-CO₂/t(※資料② B-JP311013 原油採取~分留~石油精製)

【都市ガス 使用量千m³】×都市ガス 排出原単位t-CO₂/千Nm³(※資料② B-JP321001 原料採取~水の加熱原料採取~素材製造~燃料供給)

【電気 使用量Kwh】×0.0354㎏CO₂/Kwh(※資料① 【7】電力)

※資料②

カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベースVer.1.01 (国内データ)

最後に

SCOPE1,2,3の算定で不安だったのは、どの排出原単位を使えばいいのか、ということでした。環境省の支援事業を通して確認していただける機会をいただき、算定することができました。

自社の取り組みを開示することで、大手企業のSBT目標を検討されているご担当者様や、中小企業で関心を持たれている方の、取り組みへの足掛かりや参考になれば嬉しいです。

【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー4 輸送、配送(上流)
【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー5 廃棄物
【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー6,7,11,12!
 2020年3月 環境省 「中小企業版SBT 再エネ100%支援事業」結果公開

2023年10月、弊社はSCOPE3の算定方法を見直しました。SCOPE3の算定方法は各社独自のものなので、正解はないのですが、弊社の算定方法の見直した内容については下記をご参照ください。
【SBTやSCOPE算定】5年目の”見直し・再計算”ってどうやるの?

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