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令和3年、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)が改正されました。2050年に温室効果ガス排出を0にすることが明記され、企業の排出データも手続きなしで公開され、地方自治体に対しても、施策目標が追加されることになりました。

地球温暖化対策推進法(温対法)改正!何が変わる?

今回は地方自治体の動きについて、解説します。

目次

地球温暖化対策計画ってなに?

1998年に公布された温対法に基づき、2016年に閣議決定されたのが、地球温暖化に関する総合計画「地球温暖化対策計画」です。

目標達成のため、国、地方公共団体が講ずべき施策等について記載されています。菅首相の2050年脱炭素宣言を受け、地球温暖化対策計画は、2020年9月、環境省と経産省が見直しに着手しています。

2021年11月のCOP26までに国連に提出する予定となっています。

そのため、2050年に温室効果ガス排出を0にする目標に書き換えられた「地球温暖化対策計画」はまだ公開されていません。

■2016年の地球温暖化対策計画
(確実に変更される部分:2030年26%減 → 46~50%減、2050年80%減 → 100%減)

地球温暖化対策推進計画①
地球温暖化対策推進計画②
地球温暖化対策推進計画③

環境省 地球温暖化対策計画の概要

地方公共団体実行計画ってなに?

地方公共団体実行計画は、国の「地球温暖化対策計画」に即して、地方公共団体が作成する計画です。 大きく分けて「事務事業編」「区域施策編」があります。※区域施策編に、施策目標が追加される。

都道府県、市区町村ごとの計画の見方

各都道府県の市区町村でどのような計画が立てられているのか、見てみたい!そんなときは、下記をご覧ください。

①地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト(https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/)の【策定・取組状況】をクリック

都道府県市区町村策定確認①

②【策定状況一覧】の知りたい都道府県の【都道府県別データダウンロード】をクリック

都道府県市区町村策定確認②

③ダウンロードされたデータを開くと、市区町村ごとの【事務事業編】、【区域施策編】のURLが一覧で出てきます。

都道府県市区町村策定確認③

④URLをクリックすると、都道府県、市区町村ごとの計画が、年度ごとに表示されます。

都道府県市区町村策定確認④

⑤知りたい年度のリンクをクリックすると、行動計画や結果が掲載された資料が表示されます。

都道府県市区町村策定確認⑤

都道府県、政令市、中核市は再エネ目標追加!

現状(温対法改正前)の地方公共団体実行計画では、再エネ導入目標を設定している都道府県は約3割にとどまっていました。

今回の改正で、都道府県、政令市、中核市は再エネ目標を追加することになり、その他の市町村については、目標を定めることに努める、こととなりました。2025年までに都道府県の実行計画における再エネ目標策定率を30%から100%にすることを目指すとしています。

地方公共団体実行計画

※出典;環境省 地球温暖化対策推進法の一部改正法案及び再エネポテンシャル調査について

地域脱炭素化促進事業と認定制度について

地域脱炭素化促進事業認定

■地域脱炭素化促進事業とは
太陽光、風力その他の再生可能エネルギーであって、地域の自然的社会的条件に適したものの利用による地域の脱炭素化(次条に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、地域の自然的社会的条件に応じて当該地域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減等を行うことをいう。以下同じ。)のための施設として環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定めるもの(以下「地域脱炭素化促進施設」という。)の整備及びその他の地域の脱炭素化のための取組を一体的に行う事業であって、地域の環境の保全のための取組並びに地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組を併せて行うものをいう。

※温対法 第2条 6から抜粋

地域脱炭素化促進事業の認定制度について、詳細を環境省に確認したところ、現在検討中で、年度内にマニュアルを作成し、自治体に説明をしていく予定、ということでした。

各自治体では「地域の自然的社会的条件に応じた環境の保全に配慮」する形での対応になるため、それぞれの地域で認定基準が変わることも十分考えられるということでした。

まとめ

日本の1718ある市区町村の計画の【事務事業編】、【区域施策編】を全て確認するのは、難しいですが、自分が住む地域や、勤務地がある地域地元の地方公共団体実行計画を確認すると、それぞれの地域の違いがわかり、地域の見方も変わるのではないでしょうか。

2050年脱炭素宣言を受けた温対法の改正で、これらの地方自治体の計画がどのように変わるのか、関心をもってみていけば、温対法を身近に感じることができます。

企業経営や私生活に、温対法と関連した地域の取り組みへの参加の機会ができたら、お互いにメリットがありそうです。

弊社の再エネへの取り組みがPRTIMESで紹介されました。

PRTIMESとは、国内シェアNo.1のプレスリリース、ニュースリリース配信サービスです。日本有数のニュースサイトや、全国紙/通信社や大手ポータルサイトを含む200のパートナーメディアなどと提携しています。

■PRTIMES エコ・プランページ

弊社の取り組みはまだまだ道半ばですが、脱炭素社会を目指す様々な企業の方々と共に、これからも取り組みを進めてまいります。

温室効果ガスの削減、特にエネルギー使用に関わる規制、法律として省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)と温対法(地球温暖化対策の推進に関する法)、そして東京都では独自の総量削減義務があります。

企業の脱炭素の取り組みで再エネ電力を調達しても、認められないものもあるようです。これらの法規制に対応するための再エネ電力調達について、簡単にご紹介いたします。

目次

省エネ法、温対法、東京都の総量削減義務ってどんなもの?

それぞれの法律が、どのようなものなのか、簡単にご紹介します。

省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)

省エネ イメージ

1979年に制定された法律で、オイルショックをきっかけとして、エネルギー使用の合理化、つまり省エネを推進するためにできた法律です。

経済産業省が管轄し、事業者(法人格)のエネルギー使用量が原油換算値で合計して年間1,500kL以上である場合等に対象となります。

対象事業者は、エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者を配置し、エネルギー使用状況等をまとめたいくつかの報告書の提出が必要となります。

また、業種ごとに目指すべき水準が決められており、報告内容ごとに事業者がクラス分けされ、Sランクが公表され、Cクラスは指導等が行われます。

参照:事業者クラス分け評価制度について(PDF形式)

定期報告書による報告若しくは報告徴収に係る報告をせず、若しくは虚偽の報告をした場合、又は立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合は、50万円以下の罰金。命令に従わない場合は100万円以下の罰金となります。

温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)

地球温暖化

1998年に公布された法律で、京都議定書をきっかけとして、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取組むための枠組みを定めた法律です。

環境省が管轄し、対象となるのは、エネルギー起源のCO₂排出が、全体のエネルギー使用量(原油換算)で合計して年間1,500kL以上、の事業者です。

また、温室効果ガスには、CO₂以外にも様々な物質があり、特に影響が大きい6種類の物質が温対法の規制対象になっています。温対法の対象はこれらエネルギー起源ではないCO₂以外の温室効果ガスが、全ての事業所合計でCO₂換算して年間3000t以上、の事業者も含みます。

この、メタンやフロンなどCO₂以外の温室効果ガスを規制しているのが温対法の特徴です。省エネ法と連携しており、CO₂の排出に関しては、省エネ法の報告をそのまま使うことができます。

対象事業者は、毎年排出量を把握し、事業者所轄大臣に報告する必要があります。その後環境大臣、経産省大臣が集計し、公開されます。

参照:環境省 経産省 集計結果

報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料の罰則あります。

■CO₂以外の温室効果ガスは下記の物質です。
これはGHGプロトコルの含むべき項目と一致しています。

①二酸化炭素(CO₂)
②メタン(CH4)
③一酸化二窒素(N2O)
④ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
⑤パーフルオロカーボン類(PFCs)
⑥六ふっ化硫黄(SF₆)

東京都 総量削減

排出権取引

東京都の総量削減は、元石原都知事が1999年4月に任期についてから、2000年12月、環境確保条例、2002年11月に総量削減義務を提起し、2008年に都議会の全会一致で可決した法規制です。

対象となるのは都内のエネルギー使用量が原油換算で年間 1,500 kL 以上の事業所です。

都内の温室効果ガスの削減が進んでいない中、経営層も巻き込む形で、削減に取り組んだ企業が報われる【排出量取引制度】を導入したもので、削減義務率に到達しなかった企業は、独自のクレジットを購入し、削減義務を相殺する必要があります。

東京都総量削減 第3期 第4期

参照:第3計画期間に適用する改正事項等 説明資料(2019.4)

使える再エネが違う?! 

再エネ

省エネ法では、エネルギー使用は年間1500kl以上あっても、再エネ調達分を一定割合差し引くことができます。

ただ、東京都に事業所がある場合は、東京都の総量削減義務も考慮に入れなければいけません。

東京都の総量削減義務で、認められる再エネは、【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】からの供給となります。

国が公開している【電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)】が0.00の電力を調達していても、東京都では【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】の、認定された排出係数を使う必要があります。

この【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】は、電力供給事業者のメニューごとではなく、会社ごとの係数が認定されています。再エネの割合を選べるプランがある電気供給事業者の係数は0.00ではなくなってしまいます。

つまり、100%再エネ電力調達していて、温室効果ガス排出が実質0であるにも関わらず、東京都総量削減義務では、0にできないという事態が生じます。

この【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】は2021年度算定用で、19社しか登録がありません。700社近い登録がある【電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)】とは異なり、選択肢がかなり絞られます。

東京都に事業所がある場合は、この【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】を確認したうえで、再エネ電力調達をすることをお勧めいたします。

参照:2020 低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者

これらの法律に効果的な対策とは?

温対法、省エネ法の対象事業者で、東京都に事業所がある場合は、【低炭素電力 認定電気供給事業者に登録された電気供給事業者】の中から、再エネを調達することで、3つの法規制の要求に対応することができます。

再エネの調達により、原油換算値で年間1500kl等、3つの法規制の基準未満となれば、対象事業者ではなくなり、法規制対応の業務や人件費を省くことができます。企業イメージや投資家からの評価にもつながります。

■注意点
省エネ法で認められているバイオマス発電については、日本の木質ペレットの輸入が急増しており、必ずしも持続可能な形で生産された木質ペレットではないことが問題となっています。
端材を原料にした国産材とは異なり、熱帯雨林の伐採につながる可能性もあり、輸送や加工段階でも温室効果ガスが発生し、生態系も破壊している可能性があります。

参照:【バイオマスオンラインセミナー第5回】石炭火力へのバイオマス混焼 FoE Japan

最後に

温室効果ガス削減をするための、再エネの調達は、コスト高になりがちですが、省エネ法や温対法、東京都の場合は総量削減義務で認められる形で調達すれば、コンプライアンスの負担を削減し、コストを抑える側面もあることがわかります。

今回ご紹介した法律の最終的な目標は、地球の平均気温上昇を1.5度未満に抑えることです。現時点の日本では2050年までの温室効果ガス0を目指すことになっていますが、IPCCの最新の報告などで、2050年という期限が早まる可能性もあります。

現時点の法規制は、温室効果ガスを2050年に0にするのに十分とは言えません。今後、関連する法律の改正や、カーボンプライシング関連など、新たな法規制が出てくると考えられます。

そんな中、振り回されずに企業として脱炭素化の事業計画を立てるためには、各法規制の要点を抑えたうえで、使用するエネルギーがどのように作られたものか正確に把握し、本当に温室効果ガスの排出を削減できているか見定める必要がありそうです。

東南アジア 熱帯雨林

令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金の対象商品をご紹介します。

目次

補助金概要 

令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金は、2つの支援があります。

診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援

医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援

100万円未満で設置可能!補助金対象商品 【陰圧機】

陰圧機 設置

病室や、感染が疑われる患者をPCR検査中待機してもらう部屋などを陰圧にして、HEPAフィルターで室外へウイルスを暴露させない陰圧機は、種類にもよりますが、工事費含め、100万円未満で設置が可能です。

弊社では昨年度と今年度で、200台相当の陰圧機の設置をしています。メーカーフリーだから様々なメーカーの商品を比較し、お客様に合った機器を選定することが可能です。

「他の施設で見て、関心があったので、試しに設置してみたい」、「もう一部屋、陰圧機を増設したい」、といったご要望がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

コロナ感染 暴露防止の簡易陰圧装置!

陰圧機 
陰圧機 設置

 

クリーンパーティション

クリーンパーティション

HEPAフィルターとファンを搭載したパーテーションタイプ空気清浄機です。空気の吹き出し方向の違うクリーンパーティションを向かい合わせに設置することで、一方向への空気の流れを作りだし、感染者の飛沫などから医療従事者などを保護することができます。

狭い場所でも設置しやすく、移動も容易なため、必要な場所で必要な時に使うことができます。超薄型なので、使わない時はちょっとした隙間や部屋の片隅に置けば、保管場所も最小限で済みます。

コロナが落ち着いた後も空気清浄機として、またはパーテーションとして使うことも可能です。

爽快除菌水

爽快除菌水は「次亜塩素酸ナトリウムを弱酸性にph調整し、次亜塩素酸の力を高めた除菌水」です。次亜塩素酸ナトリウムよりも、除菌力が高く、人体や環境への有害性がほとんどないように特殊生成されたものです。

昨年度から1000件以上の販売実績がございます。是非一度お試しください。

※スプレーボトルでの販売は、対応しておりません。使用の際は市販のスプレーボトル等に4倍希釈してご使用ください。

最後に

世界各地でそれぞれの変異ウイルスが見つかり、ワクチン接種も思うように進まない中、医療関係者の方々には、日々感謝しても感謝しきれません。

国から様々な補助金制度が出ていますが、沢山あり、内容を確認するだけでも大変なのではないでしょうか。

弊社は、どの補助金が使える、といったことから、対象設備の提案、さらに補助金の申請や手続きなども対応させていただき、少しでもお手伝いできればと考えています。

脱炭素化が大きな流れとなる中、無駄なエネルギー使用を抑えるためには、エネルギー使用状況を把握することが重要です。
今回は、施設外等、どこからでも、いつでも、スマホやPCでエネルギー使用状況の確認や変更ができるシステムと、効率的に省エネ可能なインバータ装置について、ご紹介します。

目次

インバータって何?

インバータ装置は、様々な機器に組み込まれているモーターの速度を調整をする装置です。例えばエアコンのインバータ装置は、設定温度に対して、部屋の温度が上下した際、自動で弱まったり、強まったりして、効率的な状態を維持します。

同じように、地下駐車場の換気扇にインバータ装置をつけることで、車の出入りの多さにより、回転を強めたり弱めたりするなど、様々な機器の省エネ効率を大幅に上げることができます。

いつでも、どこでも、スマホで 使用エネルギー管理ができる!

インバータ装置と合わせて導入をお勧めしたいのが、遠隔監視システムReMoSyです。このシステムは場所や時間を問わず、エネルギー使用状況の把握や設定変更ができます。

そのため下記のような要望をお持ちの方にお勧めです。

「休みの日でも施設外からパソコンやスマホで状況確認と設定変更を行いたい」
「夜勤の際に設備担当が1人なので常駐場所で管理、操作を行いたい」
「設備と離れた場所から設定を変更したい」
「遠隔地のお客様の設定調整を会社から行いたい」

事例紹介

[送風機事例] ホテル厨房内換気装置(排気ファン)

厨房

導入ポイント

最後に

イメージ図.

在宅勤務が増え、脱炭素化への対応も急がれる中、在宅勤務中いつでも、スマホや自宅のPCから機器のエネルギー使用状況を確認することができ、必要に応じて設定も変更できるのは、とても便利で効率的です。

弊社は空調機だけでなく、こうしたあらゆる省エネ機器を取り扱っております。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

これから夏に向けて暑くなってくる中で、感染症対策として重要とされているのが換気です。ただ、冷房をつけている中で、換気を行うと、せっかく冷えた空気が逃げてしまい、暑い空気が入ってくることで、快適な空間を維持することが難しく、電気代も増えてしまいます。

そんな時、効果的なのが、全熱交換器です。

目次

全熱交換器とは

全熱交換器とは、換気によって失われる空調エネルギーの全熱(顕熱=温度と潜熱=湿度)を交換し、回収する省エネルギー装置です。つまり換気によって排気される熱エネルギーの50~80%を回収再利用し、冷・暖房負荷を、20~30%削減できます。二酸化炭素総排出量の削減にもつながります。

全熱交換器 イメージ

弊社の三郷CKTCにも感染症対策として3台設置!

弊社の三郷CKTCにも、2021年3月、夏場の感染症対策として、小規模な全熱交換器を3台設置しました。この全熱交換器は扇風機程度の消費電力で動きます。

三郷CKTCの屋根には、自家消費の太陽光発電が設置されています。昨年の夏は、日中の発電量が消費電力量や蓄電池容量を超え、余っていました。

全熱交換器は、低圧電力が必要な業務用空調機と違って、従量電灯で運転できるため、自家消費太陽光発電の電力を使用することができます。

そのため、日中晴れた日に余る再エネ電力を、全熱交換器で有効利用しながら、コロナ対策である換気もできるようになりました。

全熱熱交換器

  

最後に

withコロナと脱炭素社会の時代、これまであらゆる場所で捨てられていた「排熱」の利用が進めば、消費電力量が減り、地球環境にとっても、電気代削減となる企業にとっても、メリットとなります。

全熱交換器も排熱を利用した機器の一つです。換気の必要性が高まる中、業務用空調機の増設などをご検討される前に、全熱交換器の設置をお勧め致します。

目次

アルコール容器の入替作業が1/5に大幅削減、大容量5㍑容器をそのまま設置可能 

アルコール消毒液の容器を差し替える際に強アルカリ洗剤と間違えて差し替えてしまい、使用したお客様の手がただれるという痛ましい事故が発生しています。事故のリスクを減らす意味でも、単純な作業を減らす意味でも大容量の容器をそのまま設置できるスタンドは効果を発揮します。

1リットルで333回、5リットルでは1665回、その差は1332回!

1リットル容器であれば333回の使用が可能ですが、5リットル容器であれば1665回。その差1332回は大きな違いです。圧倒的に詰め替え作業の手間を解決致します。

噴霧したアルコールがお子さんなどの顔にかからない受け皿を設置した安全設計

アルコール消毒液を足踏みスタンドで使用する際に噴霧したアルコールが小さなお子さんの目に入るという事故が発生しています。この製品は大き目な受け皿が噴霧したアルコールが飛び散るのを防止して事故を防げるよう設計しています。安心してお使いできる製品となっています。

【医薬指定部外品】有効成分エタノール80v/v%(100ml中80ml)アルコール消毒液

工業用アルコールにおいて国内トップシェアである日本アルコール産業グループとの協業開発された安心安全なアルコール消毒液です。原料であるサトウキビの生産から製品加工までを一元管理された上で製造されています 商品名「アルコールクリーン80」5ℓ※ 販売元は信和アルコール産業株式会社

【医薬指定部外品】とは安全安心!?医薬品ではない理由がお客様他のためだっとは、、、

医薬指定部外品とは聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと元々は「医薬品」でしたが、後に「医薬部外品」に指定されたものを言います。その理由は「医薬品」は薬局や薬店のみでしか購入できないという不便さを解決するために、規制の緩い「医薬部外品」に指定することで買い易いようにするためです。アルコール消毒液がコンビニエンスストアやホームセンターで購入できるのは『医薬指定部外品』であるからです。また元『医薬品』であるということから人体に安全に安心して使用できるという事でもあります。

新型コロナウイルス対策のアルコール消毒は、有効成分濃度 70%以上95%以下

厚生労働省・経済産業省・消費者庁の特設ページ新型コロナウイルス消毒・除菌方法についてでは手や指などのウイルス対策として石鹸やハンドソープなどで10秒のもみ洗いし15秒のすすぐという方法で1万分の1まで減らせることや、手洗いがすぐにできない状況では、アルコール消毒液も有効ですと記載があります。

アルコールは、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化するものです。

<使用方法>

濃度70%以上95%以下(※)のエタノールを用いて、よくすりこみます。

(※) 60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません。 

※「新型コロナウイルス消毒・除菌方法について」参照

◆詳しくは下記のカートもしくは、お問い合わせフォームからお願い致します。

IT技術の進化、普及に伴い、弊社でも2,3年前から作業報告書を電子化したり、スマートグラスを導入したり、様々なDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れています。
そのような中で、新型コロナウイルスが発生しました。これまで導入した様々なITツールが活躍し、比較的スムーズに、変化に対応することができました。今回は弊社のDXの取り組みの一例をご紹介します。

目次

紙から電子報告書へ

2019年3月、弊社の作業報告書及び写真報告書が電子化されました。これまで手書きで郵送していたものが、遠隔でリアルタイムに作成され、チェックされ、提出できるようになりました。

工事現場で使用する人の声

作業報告書電子化

管理する人の声

電子化 メリット

スマートグラスでベテラン社員の視点を活かす!

スマートグラス

2020年6月、スマートグラスが7台導入されました。スマートグラスとは、メガネ型の電子機器です。様々な種類が出ており、機能も多種多様ですが、弊社で導入したスマートグラスでは下記のことができます。

スマートグラスでできること

◆注意点

弊社では、主に空調機更新工事などの現場調査時に、ベテラン社員の遠隔での確認に使用しています。

写真では見逃してしまうことも、リアルタイムに動画で確認することができるので、認識のずれや確認漏れをその場で解消することができます。

また営業担当と作業員のやりとりも、言葉や写真では伝えきれない現場の状況を共有することができるので、スムーズに伝えることができ、お客様への正確で分かりやすいご報告につながっています。

また、若手社員が積極的に現場調査に一人で行けるようになったことで、技術や知識の習得につながりやすく、熟練社員の時間の効率化にもつながっています。

会議や研修は、WEBセミナーと動画配信へ

新型コロナウイルスの影響で、弊社でも色々なことができなくなりました。その代わりに、様々なITツールを活用し、変化に対応してまいりました。

 できなくなったこと  新たに挑戦したこと
 会社説明会  WEB 会社説明会 
 新入社員歓迎会  WEB 歓迎会 
 新入社員研修  社員自己紹介 動画配信
 協力業者さんを集めての安全大会  安全大会 動画配信
 省エネ補助金説明会  省エネ補助金セミナー 動画配信 

採用時の会社説明会がリモートになったことで、学生にとっても移動時間や費用が削減でき、参加しやすくなっているようです。

安全大会に参加していた協力業者さんは、「動画なら参加できない社員にも共有できるし、何度も確認ができるので、こっちのほうが良い」といったご意見もいただきました。

新型コロナウイルスの影響が収まった後でも、リモートを活用した業務の一部はそのまま、定着していきそうです。一連の取り組みの中で、直接会うことのメリット(会えないことのデメリット)もありますが、動画配信のメリットも知ることができました。

最後に

DX化により、情報は様々な形で共有できるようになりました。場所を問わないので、タイムロスも最小限で済みます。

よりわかりやすく、正確に伝わることで、トラブルやミスを防ぎ、若手教育にも効果的です。

一方で、直接会えないことの不安もやはり、あると感じます。例えば採用や新入社員研修の面では、新入社員同士の横のつながりが弱まり、困ったときの相談相手は、以前よりも限定的になっているような印象をうけます。

また、仕事以外のコミュニケーションから生じるアイディアは、生まれにくくなっていると感じます。

仕事を頑張る理由の一つに、仲間の存在があります。やりがいや、仕事を通して感じる喜び、達成感、それを共感できる機会は、減っている気がします。

そうした部分は、何らかの形で補っていく必要があるのかもしれません。

弊社では、今回ご紹介したツール以外にも、様々なITツールの導入に取り組んでいます。

DXのメリットだけでなく、デメリットも把握したうえで、双方を補えるような、より効率的な業務のしくみができるよう、今後も挑戦と工夫を続けてまいります。

2021年3月2日、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。どこが改正され、その改正にどんな意味があるのでしょうか。簡単に紹介します。

目次

3つの大きな変化!

今回の温対法の改正で、大きく変わったことは、下記の3つの内容が追加されたことです。

温対法 改正内容
温対法 改正 概要資料

地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案

「2050年までの脱炭素社会の実現」が法律に明記されました!

2050年までの脱炭素社会の実現が法律に明記されたことは、政権が変わったとしても、脱炭素化の方向性は維持されることを意味します。

脱炭素社会にするには、時間がかかります。インフラや技術を革新する必要があり、その普及に伴った法律や制度も変えていく必要があります。2050年まであと29年ですが、様々な面で長期的な計画が必要です。毎回の選挙で投票数を獲得するために、方針が変わるようでは到底達成することはできません。

各自治体や企業は、国の大きな方針が法律で定まったことで、安心して投資や事業計画を立てることができます。そうした意味で、2050年脱炭素社会の実現が法律に明記された意味は大きいといえます。

温対法 改正分 2050年脱炭素部分

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

地方自治体に施策目標を追加!

都道府県、中核市以上の市も、自然的社会的に応じた区域内の排出抑制等の施策の計画策定義務に施策目標が追加されました。

また、脱炭素化を推進するための計画、認定制度の創設を務めることとし、市町村から認定を受けた地域脱炭素化促進事業計画に記載された事業は、関係法令の手続きワンストップ化の特例が受けられるようになります。

これまで脱炭素化を迫られていたのは主に大手企業でしたが、国だけでなく地方自治体も同じ目標を持つことで、円滑な合意形成へとつながり、地域課題の解決も期待できそうです。

地域の脱炭素化 フロー

地方自治体の脱炭素化については、再エネが足りない、といった話題をよく耳にしますが、環境省の試算では、日本の再エネポテンシャルは現状使われているすべての電力需要に対し、最大2倍の再エネポテンシャルがあるとしています。

再エネのポテンシャル

◆環境省 令和3年3月3日 地球温暖化対策推進法の一部改正法案及び再エネポテンシャル調査について

石炭火力や天然ガス、原子力がなくても、十分再エネだけで、電力を賄える可能性があります。

企業の温室効果ガス排出量を手続きなしでスピーディーに公開

企業(特定排出者)の温室効果ガス排出量について、電子システムによる報告を原則とすることで、スピーディーに公開できるようになり、どんな企業がどのくらい温室効果ガスを排出しているか、開示請求の手続きなしで確認ができるようになります。

◆特定排出者とは

※経産省 よくあるご質問 より

エネルギー起源CO2(燃料の燃焼、他者から供給された電気又は熱の使用に伴い排出されるCO2)については、省エネルギー法の第一種エネルギー管理指定工場及び第二種エネルギー管理指定工場の設置者、省エネルギー法の特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定旅客輸送事業者及び特定航空輸送事業者が該当します。

なお、平成22年度報告分(対象 : 平成21年度)からは、工場・事業場については、省エネルギー法の規制単位が工場単位から事業者単位に変わることから、全ての事業所の原油換算エネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者(特定事業者、特定連鎖化事業者)が対象となり、温対法の報告も事業所単位から事業者単位に変わります。

一方、それ以外の温室効果ガス(非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄)については、事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上である事業者であって、かつ事業所ごとの温室効果ガスの種類ごとの排出量が二酸化炭素換算で3,000トン以上の場合が該当し、報告も事業所単位でしたが、平成22年度報告分(対象 : 平成21年度)からは、3,000トン以上の扱いが事業所ごとではなく、温室効果ガスごとに全ての事業所の排出量合計が3,000トン以上となる事業者、という扱いに変わるため、報告も事業者単位に変わります。

報告のしかたの詳細については、環境省・経済産業省のサイト [温室効果ガス排出量 算出・公表・報告制度について](http://ghg-santeikohyo.env.go.jp/)をご参照ください。

各種法律も脱炭素化に向け、修正!

今回の法改正に伴い、森林法、河川法、農地法、自然公園法、廃棄物処理法、環境影響評価法、省エネ法など、関連する法規制に修正が加わりました。

法改正 関連法

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

最後に

温対法の改正で、2050年の脱炭素化が法律に明記され、地方自治体の削減目標が設定され、自治体単位で再エネ100%や脱炭素化が進めば、おのずと石炭火力や原子力に頼らない社会になっていきます。

持続可能なエネルギーを循環させ、資源や資金も国内で循環できれば、これまで輸入という形で海外に流出していた富を国民に還元し、国内でエネルギーに関するリスク管理も可能となり、地方創生にもつながり、格差解消にもつながる。温対法を、そんな未来の第一歩のきっかけにしていきたいものです。

◆参考:環境省 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について

2021年3月19日、内閣府が【気候変動に関わる世論調査】を公開しました。2020年10月26日に菅首相が2050年脱炭素宣言をした直後に行われた調査です。過去の調査結果と比較して、どのような変化があったのでしょうか。

◆この記事は、下記の調査をもとに、株式会社エコ・プランで抜粋、グラフ化、解釈の追加を行ったものです。掲載順は実際の調査項目順とは異なっています。調査の詳細や有効回答数などは、直接下記調査報告をご確認ください。

気候変動に関する世論調査(令和2年11月調査)内閣府

https://survey.gov-online.go.jp/r02/r02-kikohendo/index.html

目次

どんな調査なの?

【気候変動に関わる世論調査】は、郵送法全国の47都道府県18歳以上を対象にした調査です。有効回収数1767人となっています。

各調査項目に対して、年齢別、都市規模別の該当者数と結果が公表されており、過去に同様の調査をしている場合は、その調査結果も併せて紹介されています。

これまでの日本人の地球環境に対する意識はどう変化してきたのでしょうか。

地球環境に関する関心は高くなった?

下図は、調査結果をもとに、「関心がある」「ある程度関心がある」を「関心がある」、「あまり関心がない」「全く関心がない」を「関心がない」にまとめ、弊社で棒グラフにしたものです。

◆質問項目
 あなたは、地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少などの地球環境問題に関心がありますか。それとも関心がありませんか。(○は1つ)

平均すると8割を超える方が、「関心がある」という結果になっています。年齢別に見ると、年齢が上に行くほど関心が高いことがわかりました。一方で18~39歳までの年齢層で、関心がない割合が2割を超えています。

環境問題に関する関心

過去の調査結果を参考に見ると、調査年度ごとで、該当者数に相違があり、質問の仕方にも多少違いがありますが、地球環境に関する関心が高くなってきている、とは残念ながら言えない結果となりました。

環境問題に関する関心 

気候変動について、そもそも知ってる?

気候変動の影響について、そもそも知っているかどうか、については、93.6%の方が知っているという回答でした。つまり、知っているうえで「関心がない」、と回答している人もいる、ということになります。

◆質問項目
 気候変動は、農作物の品質低下、野生生物の生息域の変化、大雨の頻発化に伴う水害リスクの増加、熱中症搬送者の増加といった形で、私たちの暮らしの様々なところに影響を与えています。あなたは、地球温暖化などの気候変動により、このような様々な影響が出ることを知っていましたか。(○は1つ)

認知度 エコ作成

【知っていた】と答えた人は、どこから情報を収集しているか、追加の質問がありました。その調査結果が下記の図です。

気候変動影響の情報入手方法

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、本が大半を占めています。18~29歳については、学校などの教育機関やTwitter、FacebookなどのSNSをきっかけにして知った割合が多くなっていることが特徴的です。

身近にどんな気候変動の影響を感じる?

身近にどんな気候変動の影響を感じるか、といった質問に対しては、夏の暑さや雨の激しさ、桜の開花や雪の降り方など、様々な変化を多くの方が感じていることがわかりました。

◆質問項目
 あなたが、日常生活の中で気候変動影響を感じることは何ですか。(○はいくつでも)

日常の気候変動変化 エコ作成

パリ協定の認知度は?

8割を超える方がパリ協定を知っていました。ただ、その6割以上が「名前だけ聞いたことがある」程度で、「内容まで知っている」人は1.7割でした。また、「知らない」と答えた人が多かったのが、18~39歳の年代で2割を超えていました。

◆質問項目
  あなたは、2015年にフランスのパリで開催された国際会議「COP(コップ)21」で採択された、温室効果ガス削減などのための国際的な枠組みである「パリ協定」を知っていますか。(○は1つ)

パリ協定認知度 グラフ

脱炭素ってどれくらいの人が知っているの?

脱炭素はの認知度は、年代によって大きな差が出ました。18~29歳は4.5割、30~39歳は5割なのに対し、60~70歳以上は8割を超えています。

◆質問項目
菅内閣総理大臣は令和2年10月26日の所信表明演説において、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち「脱炭素社会」の実現を目指すと述べました。
「脱炭素社会」とは、人の活動による温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量が等しくなり、排出実質ゼロとなる社会をいいます。
あなたは、「脱炭素社会」について知っていましたか。(○は1つ) 

脱炭素社会認知度 グラフ

脱炭素の取り組み、やりたい?

脱炭素の取り組みに対しては、ある程度取り組みたい方も含めると、どの世代も9割以上の方が取り組みたいと回答しました。

◆質問項目
あなたは、「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、どのようにお考えですか。(○は1つ) 

脱炭素取り組みたい?

日常生活で気候変動のために、行動に移していることは?

脱炭素の取り組みに多くの人が関心を持っている中で、実際に行動に移していることとして、「衣服の調整で冷暖房を適切に管理」「こまめな消灯」「省エネルギーの家電製品の購入」といった取り組みが大半を占めました。

◆質問項目
「1.積極的に取り組みたい」、「2.ある程度取り組みたい」と答えた方への質問
「脱炭素社会」の実現に向け、日常生活の中で、現在、取り組んでいることは何かありますか。(○はいくつでも) 

取り組んでいること グラフ

日常生活でどんなことをやっていきたい?

脱炭素社会に向けて、これからどんな取り組みをやっていきたいかについては、「地球温暖化への対策に取り組む企業の商品の購入やサービスの利用」「エコドライブ」「省エネ家電を選ぶ」といったことが多くあげられました。

◆質問項目
「1.積極的に取り組みたい」、「2.ある程度取り組みたい」と答えた方への質問
「脱炭素社会」の実現に向け、日常生活の中で、現在取り組んでいないことで、今後、新たに取り組んでみたいと思うことはありますか。(○はいくつでも)

今後取り組んみたいこと グラフ

取り組む上での課題は?

取り組んでいる人に、課題を聞いた質問では、「どのように取り組めばよいか情報が不足している」「どれだけの効果があるのかわからない」「経済的なコストがかかる」「日常生活の中で常に意識して行動するのが難しい」「手間がかかる」といった回答がありました。

◆質問項目
あなたが、ご自身で気候変動適応を実践するに当たり、どのような課題があると思いますか。(○はいくつでも)

取り組むうえでの課題 グラフ

脱炭素に取り組みたくない理由は?

脱炭素社会にあまり取り組みたくない、全く取り組みたくない、と回答した人の理由としては、「どのように取り組めばいいか情報が不足している」「どれだけ効果があるのかわからない」といったものでした。

◆質問項目
「3.あまり取り組みたくない」、「4.全く取り組みたくない」と答えた方への質問
取り組みたくない理由は何ですか。(○はいくつでも)

取り組みたくない理由 

何が問題だと思ってる?

気候変動の影響で問題だと思うことは、「農作物の品質や収穫量の低下、漁獲量が減少すること」「洪水、高潮、高波などの気象災害が増加すること」「豪雨や防風による停電や交通まひ、インフラやライフラインに被害が出ること」と答えた人の割合が多くなりました。

◆質問項目
地球温暖化などの気候変動は、将来にわたって自然や人間生活に以下のような様々な影響を与えることが予測されています。あなたは、どのような影響を問題だと思いますか。(○はいくつでも)

問題だと思う気候変動影響 グラフ

政府には何を期待する?

政府に期待することとしては、「洪水、高潮、高波などへの防災対策」「農作物や品質や収穫量、漁獲量への対策」が多く、「気候変動影響や気候変動適応の取り組みについての情報提供」も次いで多くなっています。

◆質問項目
あなたは、今後、気候変動適応に関して、政府にどのような取組を期待しますか。(○はいくつでも)

政府に期待すること グラフ

最後に

アンケート調査

今回のアンケートでは、気候変動に多くの人が関心を持っていること、脱炭素社会の認知度は、若い世代で低いこと、脱炭素の取り組みをしたい気持ちはあること、など企業や地方自治体が脱炭素社会に向けて取り組む上で、非常に参考になる世論調査だったのではないでしょうか。

回答が選択式だったので、今回の回答以外の意見を持っている人もいるかもしれません。そうした意見を交換する機会は、コロナの影響もあり、減ってしまっているのかもしれません。

ただ今回の世論調査を知ることで、「みんな関心があるんだ」とわかれば、身近な人同士で話題にしやすくなるのではないでしょうか。

レジ袋有料化もそうですが、様々なきっかけを作ることが、関心度を上げ、周りの人との議論に発展し、行動へとつながり、大きな流れになっていくのではないかと感じます。

何十年も前から議論されていたカーボンプライシングの導入が、いよいよ本格化してきています。どのような制度になるかはまだわかりませんが、何だかの形で導入された場合、日本中の企業が影響を受けると予想されます。

事前に影響をある程度想定できれば、いざカーボンプライシングが導入されても、慌てずに対応することができ、前向きに取り組めるのではないでしょうか。

大手企業では企業内の温室効果ガスを価格として見える化するインターナルカーボンプライシングが実施され始めています。

弊社も、SCOPE1,2,3をもとに、排出される温室効果ガスの量を、価格として出したら、どうなるのか、やってみました。

目次

カーボン価格設定、いくらにする?

インターナルカーボンプライシングは、まず会社内で炭素価格をいくらに設定するか、の議論から始まります。

弊社は、【カーボンプライシング】と【インターナルカーボンプライシング】何が違うの?という記事の中で、太陽光発電や風力発電を設置し、発電する際のコストに基づき、仮に¥10,000/t-CO₂とさせていただきました。

炭素税導入国の制度概要

◆環境省 諸外国における炭素税等の導入状況

SCOPE1 ガソリンを炭素価格にすると?

弊社のSCOPE1(ガソリン、ガス)は、2019年度で275 CO₂-t/年となっています。SCOPE1の約82%がガソリンからの二酸化炭素排出なので、225 CO₂-t/年となります。つまり、225 CO₂-t/年×¥10,000=¥2,250,000となります。 

ほぼ全てが、お客様先にメンテナンスや工事に向かう際に使用する商用バンからの排出です。必要な道具や部品、機材、そして作業員を乗せて、24時間365日、全国で使用しています。

※現状、国内で商用バンの電気自動車の販売予定はなく、電化の見込みは立っていません。

ガソリン インターナルカーボンプライシング イメージ

SCOPE2 電気を炭素価格にすると?

弊社の電気からの二酸化炭素排出は、2019年度で 118.8 CO₂-t/年なので、118.8 × ¥10,000=¥1,188,000 となります。(6拠点再エネ100%切替含む)

電気に関しては、切替可能な部分から順次再生可能エネルギー100%に切り替えています。

電気 インターナルカーボンプライシング イメージ

SCOPE3 を炭素価格にすると?

SCOPE3は15個のカテゴリーに分かれています。弊社のそれぞれのカテゴリー別温室効果ガス排出量を、炭素価格(仮¥10,000/CO₂-t)に置き換えると下記のようになります。

SCOPE3 カテゴリー番号  項目年間CO₂排出量 t-CO₂炭素価格
1 原材料の調達 13409.6¥134,096,000
2 生産設備の増設 72.1 ¥721,000
3 エネルギー関連活動 49.9 ¥499,000
4 (1).調達物流
(2). 出荷輸送(自社が荷主となる委託物流)
 28.9 ¥289,000
5 外部委託の廃棄物処理 83.6 ¥836,000
6 従業員の出張 118.06 ¥1,180,600
7 従業員の通勤 27.27 ¥272,700
8 自社が賃借しているリース資産の稼働 該当なし -
9 出荷輸送(自社が荷主となる輸送以降) 該当なし -
10 事業者による中間製品の加工 該当なし -
11 使用者による製品の使用 110,128¥1,101,280,000
12 使用者による製品の廃棄処理 14.87 ¥1,487,000
13 他者に賃貸しているリース資産の稼働該当なし -
14 自社が主宰するフランチャイズの
加盟者のScope1,2 の排出量
該当なし -
15 (1).株式投資、債券投資
(2).プロジェクトファイナンス
該当なし -
その他(任意)従業員や消費者の日常生活 - -
SCOPE3 合計123,932.4¥1,239,324,000
SCOPE1,2,3 合計124,322.3¥1,243,223,000

林野庁は、36~40年生のスギ人工林1ヘクタールが1年間に吸収する二酸化炭素の量は、約8.8 t(炭素量に換算すると約2.4 t)としているので、124,322.3 tは、約14,127ヘクタールの杉人工林が年間吸収する二酸化炭素に相当します。東京ドーム3025個分です。

会社全体 インターナルカーボンプライシング イメージ

※上記データは2019年3月~2020年2月までの集計です。

EUやアメリカで国際炭素税が実施され、日本でカーボンプライシングが導入されたときの影響は?

EUやアメリカで、国際炭素税の導入が検討されています。この国際炭素税に日本企業が対応できるようにするためにも、国内のカーボンプライシングの導入の必要性が議論されています。

国際炭素税の影響が最初に出るのは製品を海外に輸出する企業です。国際炭素税を検討しているEUやアメリカへの輸出はどのくらいの割合、金額なのでしょうか。

2019年 日本の主な輸出相手国の割合

下記は2019年度の財務省貿易統計を基にした日本の輸出額が多い国の割合です。アメリカが最も多く19.8%、152,545億円、ドイツも2.9%ですが、22,051億円となっています。

2019年輸出国割合

◆参照:財務省貿易統計

現時点で国際炭素税が実施される可能性があるアメリカとドイツの割合を足すと、22.7%(1754,596億円)となります。

では、特に割合の大きいアメリカには、どのような製品を輸出しているのでしょうか。

2019年アメリカへの輸出品目割合

日本がアメリカに輸出している商品は下記の通りです。一番多いのが自動車で28.1%、42,889億円です。

2019年アメリカ輸出品目

◆参照:財務省貿易統計

最後に

カーボンプライシングや国際炭素税が、国ごとなのか、商品ごとなのか、企業ごとなのか、どのような仕組みで、どのくらい課税されるかはまだわかりませんが、その影響は大きくなることが予想されます。

弊社は商品を海外に輸出しているわけではありませんが、取引先の多くが、海外にも商品販売を展開しています。大企業のカーボンプライシングに対するリスク軽減策でもある、温室効果ガス削減目標は、サプライチェーンを巻き込んでいるので、中小、零細企業も他人事ではありません。

温室効果ガス削減にとどまらず、大手メーカーの経営が厳しくなれば、その影響は中小、零細企業、日本全体に及ぶことは必須です。

自分事としてとらえ、何ができるのか、弊社も検討し、実施してまいります。

◆参照

※トウモロコシ1㎏に必要な灌漑用水 環境省 よくわかるバーチャルウォーター
※牛乳のウォーターフットプリント 「アニマルライツセンター」
※牛乳(生乳)のカーボンフットプリント 「IDEA」
※トウモロコシのみを乳牛に与えた場合の必要量 「よつ葉」
※乳牛の1日に飲む水の量、糞の量 「酪農PLUS」
※牛のゲップの量 「北大R&BP」

目次

1. カーボンフットプリントってなに?

カーボンフットプリントとは、商品やサービスを作る際の、材料の調達から、製品の製造や流通の過程、さらには廃棄まで全工程で排出された二酸化炭素(温室効果ガス)の全体量を指します。

※これに似た意味を持つ用語として、LCA(Life Cycle Assessment)があります。
LCAは温室効果ガスだけでなく、水や土壌などに対する負荷も含んでいます。
LCAは、カーボンフットプリントを算出する際に用いる手法です。

LCAについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
LCAって何?2050年脱炭素目標に欠かせないキーワード!

参照:カーボンフットプリント制度の在り方

商品やサービスのCO2の排出量が、カーボンフットプリントの算出によって表示(見える化)されることにより、消費者が商品の環境負荷について知ることができ、購入する際の判断材料になります。

カーボンプライシング どっちを買う?
※図はイメージです。数字の根拠はありません。

カーボンプライシングで環境負荷が見える化されることで、事業者は、製造のどの段階で環境負荷が高いかを割り出すことができ、効率的に環境負荷を下げることが可能になります。

2. ウォーターフットプリントってなに?

カーボンフットプリントが【温室効果ガスの足跡】であるのに対して、ウォーターフットプリントは、【水の足跡】です。

水利用に関する潜在的な環境影響を、原材料の栽培・生産、製造・加工、輸送・流通、消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で定量的に評価する手法です。どこの水を使っているものか、についても反映されています。

2014年に、「ウォーターフットプリント(WFP)」の概念が、国際規格のISO 14046として定められました。

背景にあるのは、【水リスク】です。世界的に起こる大規模な干ばつや洪水、水不足や水質汚染を受け、各国で規制や対応が迫られる中、企業も経営上のリスクとして認識するようになったことが挙げられます。

気候危機が深刻になるにつれ、水リスクに対する対応の重要性も高まると予測されています。

参照:環境省 ウォーターフットプリント算出事例集
ウォーターフットプリント 琵琶湖13個分

※参照:牛肉1㎏のバーチャルウォーター
※琵琶湖の水量:国土交通省
※アメリカ牛肉輸入量:NHKニュース参照(URLリンクはありません)

3. バーチャルウォーターってなに?

バーチャルウォーターは、食料の輸入国が、仮に自国でその食料を生産した場合、どれくらいの量の水が必要かを推定したものです。ウォーターフットプリントと違う点は、その水がどこから来ているのか、については、バーチャルウォーターでは着目されていません。

例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、1800リットルの水が必要です。
また、牛はトウモロコシを始めとする穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kgを生産するには、その約20,000倍の水が必要になります。

バーチャルウォーターの場合、どこで生産された飼料を食べたか、や、どこから輸送されてきたか、といった要素は含まれていません。

参照:環境省 virtual water

4. エコロジカル・フットプリントってなに?

エコロジカル・フットプリントは、あらゆる食材や商品を利用した際、それらを生産したり、廃棄したりするための土地の大きさを見える化したものです。

人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法のひとつで、人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)として表わされる。

例えば、あるエコロジカル・フットプリントでは、1)化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積、2)道路、建築物等に使われる土地面積、3)食糧の生産に必要な土地面積、4)紙、木材等の生産に必要な土地面積、を合計した値として計算される。

この場合、アメリカで人間1人が必要とする生産可能な土地面積は5.1ha、カナダでは4.3ha、日本2.3ha、インド0.4ha、世界平均1.8haとなり、先進国の資源の過剰消費の実態を示すものである。

これは人間が地球環境に及ぼす影響の大きさとみることもできることから、エコロジカル・フットプリントつまり「地球の自然生態系を踏みつけた足跡(または、その大きさ)」と呼んでいる。

引用:EICネット
エコロジカルフットプリント 日本23個分

※日本人口:総務省
※日本国土:外務省

5. どんな食材が多いの?

カーボンフットプリント、ウォーターフットプリント、バーチャルウォーター、エコロジカルフットプリントの中で、データが揃えやすかったカーボンフットプリント、バーチャルウォーターについて、多い食品品目を一覧にしました。

カーボンフットプリントの大きい食材カーボンフットプリント(t-CO₂/t)バーチャルウォーターの多い食材バーチャルウォーター量(m³/t)
コーヒー1.19~10.41オリーブオイル21,106
2.35~7.29コーヒー21,000
きのこ類0.18~5.42牛肉20,600
ハム類、ソーセージ類、ベーコン類2.30~4.25バター13,200
牛肉0.93~4.01くり7,145
チョコレート3.496,400
くり、くるみ2.22~3.26豚肉5,900
チーズ2.94紅茶4,940
かまぼこ・ちくわなどのねり製品1.44~2.89こしょう4,921
バター2.84そば4,600
イチゴ1.47~2.63カレールー4,561
ごま油2.01鶏肉4,500
魚類1.9263,700
アイスクリーム1.78生クリーム3,554
アスパラガス1.77チーズ3,200
納豆1.71鶏卵3,200
マーガリン1.11~1.61しいたけ3,125
ケチャップ1.50麦茶2,800
温室メロン0.62~1.44大豆2,500
はちみつ1.31にんにく2,317

この表から、コーヒー、麦茶や紅茶などのお茶、きのこ類、肉類はカーボンフットプリントもバーチャルウォーター量も大きい食材であり、その生産の際には多くのCO2が排出されているとともに、多量の水を要することがわかります。

カーボンフットプリントもバーチャルウォーター量も、食材の重さを基準としているため、コーヒーやお茶、きのこ類などの一度に多くは食べないものはそれほど大きな問題ではないと考えられます。逆に、肉類は頻繁に食べ、一度に食べる量も多い食材です。

こうした環境への影響の面から、肉類を食べない人や、食べる量を減らす人が世界中で増えています。また、植物を原料として肉に味や触感を近づけた培養肉の市場も急拡大しています。

参照:環境省 バーチャルウォーター量 一覧表
参照:味の素グループ版 CO₂排出係数データベース

7. 輸入先の気候変動

カーボンフットプリント、ウォーターフットプリント、バーチャルウォーター、エコロジカル・フットプリントは、食材だけの指標ではありません。ただ、食糧自給率がカロリーベースで30%の日本にとって、食材を通して世界に与える環境負荷を見ていくことは、日本のリスク管理にも直結します。

日本への品目別仮想投入水量

出典:東京大学生産技術研究所 世界の水危機、日本の水問題

日本のバーチャルウォーターを見ると、アメリカとオーストラリアの水資源を間接的に多く輸入、消費していることがわかります。これらの国々の農業事情は持続可能と言えるのでしょうか。

アメリカの地下水枯渇

灌漑用水 イメージ

日本の食材輸入国第一位は、アメリカです。アメリカから輸入している食材は下記の通りです。

アメリカ 輸入品目

出典:農林水産省

米以外の主要な食材をアメリカに依存していることがわかります。そんなアメリカでは地下水の枯渇が深刻な問題となっています。

アメリカの中西部の乾燥地帯では、かつては広大な土地に大型の灌漑施設を用いて農業を行っていました。毎分1万リットルという大量の地下水を汲み上げ、回転しながら水をまく、という手法が用いられていました。

しかし、各地で地下水が大量に吸い上げられてしまったため、地下水の量は急激に減少し、作物の収穫量が落ち込んでいきました

この地域は乾燥地帯であるため、雨が降ることはほとんどなく、なくなってしまった地下水が新たに貯まることはないため、土地を見捨ててしまう農家の人も出始めました。

参照:アメリカでの地下水の枯渇 NHK for School

オーストラリアの乾燥化

干ばつ イメージ

オーストラリアも、アメリカ同様、日本の牛肉の輸入先の1つです。オーストラリアでは乾燥化が進んでおり、これが農業に大きな影響を及ぼしています。

オーストラリアは元々地理的に乾燥している地域で、降水量が少ないですが、地球温暖化による気温上昇により水分の蒸発量が大きくなり、乾燥化が進んでいます。

乾燥化が進むことによって森林火災が起き、草木が焼き払われさらに乾燥化が進行する、という悪循環が引き起こされます。

そして、乾燥化によって干ばつが引き起こされます干ばつは、雨が少ないことによって起こる土地が水分不足となる状態ですが、これは農業に大きな影響を及ぼします。

オーストラリアは放牧が盛んですが、干ばつが起こると牛や羊の餌となる牧草が育たず、飼料の確保が困難になります。そのため、酪農品や農作物の生産量が減少してしまいます。

参照:乾燥大陸・オーストラリアを取り巻く状況について

日本は食料自給率が低く、海外からの食料の輸入、すなわち水の輸入に頼っているため、このような海外の水不足問題は他人事ではありません。

8. 一番の改善策は近くで栽培された食材を選ぶこと!

地産野菜 イメージ

気候危機や水問題につながっている食品ですが、これらの問題を改善するために大事なのが、国内で栽培された食品を選ぶことです。

外国産の替わりに国内産の食品を消費することで、外国産の食品を日本に輸送する際の二酸化炭素の排出が削減でき、カーボンフットプリントやウォーターフットプリント、バーチャルウォーターを小さくできます。

さらに、日本の風景や農地の保全、土地の荒廃防止、子供への食育、地方創生にもつながる可能性を秘めています。

参照:バーチャルウォーターから分かる水問題とは?

10. 最後に

今回、カーボンフットプリントとウォーターフットプリント、バーチャルウォーターとエコロジカルフットプリントをご紹介しました。
日々選ぶ食材が、世界の気候危機や水問題の原因となっていることがわかり、どこでどのように栽培された食材なのかを確認することの重要性を考えさせられます。

これらの指標は、まだ普及していませんが、世界的にも日本でも議論が進むカーボンプライシングに、密接に関わってくる部分です。

概要を理解したうえで、気候危機への取り組みが表面だけの対策にならないためにも、実施した取り組みを消費者の購買選択に反映させるためにも、おさえておきたいキーワードではないでしょうか。

【中小企業も?!どうして脱炭素経営が必要なの?】の記事で、中小企業も、脱炭素経営が不可欠であることをお伝えしました。では、中小企業はどのように脱炭素に取り組めばよいのでしょうか。

気候変動の取り組みは各業界、各方面で進み、イニシアティブやネットワークも多々出てきています。どの組織とどの情報を押さえておけばいいのか、それらを探すだけでも一苦労です。

この記事では、用途ごとに、主な組織やイニシアティブ、ネットワークや、脱炭素経営を始めるうえで役立つ情報を整理しました。

目次

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気候危機や脱炭素に関わる取り組みや情報は、各業界で急速に進み、それに伴って、新聞や雑誌、ネット検索で紹介される機会がどんどん増え、日々埋もれています。何か検索しても、沢山ありすぎて、よりわからなくなることもあります。

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気候危機の問題は、いくつもの問題が複雑に絡み合っており、それらの解決についても様々な議論や考え方が存在します。そのため、あらゆる視点の情報を集めて、理解を深めたうえで、企業の脱炭素経営方針を決めることが重要です。

新聞やネットの表面上のニュースだけでなく、前線で脱炭素社会をけん引する組織のメルマガを確認することで、一歩先の対策につなげていきましょう。

組織・ネットワーク名範囲主な目的
自然エネルギー財団国内自然エネルギーを基盤とする社会の構築
気候ネットワーク国内脱炭素、持続可能な社会の構築
IGES 公益財団法人 地球環境戦略研究機関海外アジア太平洋地域の持続可能な開発の実現、SDGsの達成
SBT海外パリ協定の求める温室効果ガス削減基準に整合する削減目標の設定を企業に求める
気候変動イニシアティブ(JCI)国内パリ協定が求める脱炭素社会の実現
Sustainable Japan サステナビリティ・ ESG投資ニュースサイト サステナビリティ経営、ESG投資に関するニュースサイト

※SBTのメルマガは、リンク先のページの一番下の”Sign up for our newsletter”と書かれた場所にメールアドレスを登録することで所得できます。
※自然エネルギー財団は、原子力や火力+CCU(二酸化炭素回収・貯留技術)がなくても、自然エネルギーだけで十分日本の電力を賄える科学的知見を発信しています。メルマガの転送や転載も可能な場合が多く、利用しやすい情報源となっています。

無料で参加できる!脱炭素を目指す企業の勉強会ネットワーク!

勉強会

脱炭素経営、つまり、2050年までに温室効果ガスを0にする経営を、無料で力強くサポートしてくれるのが、環境省主催の【脱炭素経営促進ネットワーク】です。

このネットワークは、SBT認定を目指す、という軸で、各企業の脱炭素経営を支援していますSBTを実際に取得しなくても、同一水準の削減目標の設定を検討している企業や、そうした目標に向けて削減に取り組む企業も参加することができます。

※SBTは地球の平均気温を1.5未満に抑えるために必要な、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を設定する取り組みです。

ネットワークに参加すると、どうなるの?

◆環境省/経産省のグリーンバリューチェーンプラットフォームに会社のロゴが公開されます。
 → 脱炭素経営の意思表示ができ、社外にアピールできます。

◆年に3回の勉強会に参加できます。
 → 最新動向の報告や、先進的な取り組みをする企業の事例紹介、またグループディスカッションによる情報共有ができます。

各企業で取り組む担当者は、孤独な闘いをしていることも多く、勉強会で他社とのつながりができると、励みやヒントにつながります。

他、役立つ環境省/経産省の脱炭素経営サイト【グリーン・バリューチェーン・プラットフォーム】を一通りご覧いただくことをお勧めいたします。

目的別!おさえておきたい組織と参加条件!

脱炭素経営でメインとなる取り組みは、【電気を再エネ100%にする】【車をEVなどの温室効果ガス0の機種にする】【脱プラスチック】などです。そのほかの取り組みも含め、それらの目的ごとに、おさえておきたい組織やイニシアティブを、参加条件やタスクも含めてご紹介します。

再エネ100%に取り組むなら

再エネ100%を目指す企業や組織の代表的なネットワークはRE100とRE Actionです。
RE100とRE Actionは、どちらも遅くとも2050年までに再エネ100%達成を条件としています。

組織・ネットワーク名範囲参加条件・費用
RE100海外【条件】
 電気使用量100GWh以上(日本企業は50GWh以上)等
 2030年60%、2040年90%の中間目標(日本は推奨、他国は必須)
【費用】
 2021以降の加盟 5000USD/年
 2021より前の加盟 3500USD/年
【タスク】
 年次報告の提出
再エネ100宣言 RE Action国内【条件】
 RE100の対象ではないこと(電力消費量が50GWh未満)等
【費用】
 25000円〜200000円(会社規模による)
【タスク】
 年次報告の提出

※国内のRE100取得を支援しているのがJCLPです。

組織名主な目的参加条件・費用
JCLPRE100加盟サポート
脱炭素社会への移行
1.5°C目標の達成
【条件】
 1.JCLPの目的に賛同すること
 2.法人、地方公共団体、法人格を持たない団体であること
 3.JCLPの活動に賛同・支援し、対外的に表明すること 等
【費用】
 正会員 120万円/年
 賛助会員 10~20万円/年

EVに取り組むなら

電気自動車
組織・ネットワーク名範囲主な目的参加条件・費用
EV100海外電気自動車100%【条件】
 2030年までに下記を達成
 ・直接管理車両のEV化
 ・サービス契約において、EV利用を要求
 ・従業員・顧客のEV利用支援
【費用】
 2021年以降の加盟 5000USD/年
 2021年より前の加盟 3500USD/年
電動車活用推進コンソーシアム国内電動業務用車両の普及【参加規模】 158団体

EV100に参加する日本企業は5社となっています。企業としてEVを導入しようにも、社用車EVの車種がほとんどないことや規格が統一されていない事などが課題となっています。

ただ、EU各国で2030年までにガソリン車販売禁止が始まり、日本政府も2030年前半までにガソリン車の販売禁止を発表しました。

今後EV100や電動車活用推進コンソーシアムに参加する企業は増えることが予想されます。

脱プラスチックに取り組むなら

プラスチックリサイクル
組織・ネットワーク名範囲内容
New Plastics Economy海外【目的】
 プラスチックがゴミとして排出されない経済の構築
【必要とされる行動】
 ・不必要なプラスチック製品を排除すること
 ・必要なプラスチックが再利用、リサイクル、堆肥化可能であること
 ・使用するプラスチック製品を循環させ、環境には排出しないこと
【レポート】
 2016年と2017年にプラスチック社会の現状や、リサイクル状況などをまとめたレポートを発表
 このレポートは世界的な基準となっています。
環境省 プラスチックスマート国内【内容】
 プラスチックゴミの削減の取り組みを募り、内容をウェブサイトで紹介
【応募方法】
 応募サイトから応募フォーマットをダウンロードして事務局に送信すれば、掲載されます。

プラスチックについては、小泉環境大臣が、レジ袋に続き、スプーンやフォークの有料化の検討を始めました。この流れは、ストローやプラスチックコップ、その他のプラスチック製品に広がっていくのではないでしょうか。

※植物由来のバイオプラスチックが注目されますが、原料のトウモロコシは主にブラジル輸入で、熱帯雨林の伐採につながる可能性があります。

※バイオプラスチックは基本的に自然界で分解されないため、海洋プラスチック汚染問題の解決策にはなりません。生分解性プラスチックとは別物です。

ゴミを出さない詰め替えサービス「Loop」も誕生しています。

プラスチックがない日常は、現時点では全くイメージできないかもしれません。

ただ、こうした新しいビジネススタイルが、今後様々な製品に広がり、「試してみよう!」という動きが出れば、いつの間にか、脱プラスチック社会、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、そして持続可能な社会につなげていけるのではないでしょうか。

その他の気になる組織

組織・ネットワーク名範囲内容
水素バリューチェーン推進協議会国内【発足】
 2020年12月17日 水素社会の構築や拡大に取り組む民間企業9社によって設立
【目的】
 水素社会実現のための設備投資や普及
【必要とされる行動】
 ・社会実装プロジェクトの提案・調整
 ・ファンドの創設、基本的な管理・運営の検討
 ・需要創出、規制緩和などの政策提言 等
チャレンジ・ゼロ国内【発足】
 2020年6月8日 経団連が日本政府と連携しネットワークを発足
【内容】
 パリ協定の基準のもと、脱炭素社会の実現に向けた企業や団体のイノベーションを後押しし、同業種・異業種・産学官の連携を図る
【参加規模】
 2021年3月10日現在、180の企業及び団体が参加

水素バリューチェーン推進協議会

2020年12月17日、水素社会実現のため、設備投資や普及を目指し、水素バリューチェーン推進協議会が発足しました。

この協議会は、水素社会の構築や拡大に取り組む民間企業9社によって設立されました。
設立の背景には、近年、世界各国で水素社会実現に向けた動きが加速していることがあります。

欧州では2020年に水素エネルギー戦略が公表され、ドイツでも同年に国家水素エネルギー戦略が決定しました。また、日本でも、2017年に水素基本戦略が策定されています。

この組織の目的は、”サプライチェーン全体を俯瞰し、業界横断的かつオープンな組織として、社会実装プロジェクトの実現を通じ、早期に水素社会を構築すること”です。

引用:水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)について

チャレンジ・ゼロ

2020年6月8日、経団連で組織された「チャレンジ・ゼロ」というネットワークも発足しました。

「チャレンジ・ゼロ」は、経団連が日本政府と連携し、パリ協定の基準のもと、脱炭素社会の実現に向けた企業や団体のイノベーションを後押しするイニシアティブです。

チャレンジ・ゼロに参加する企業は、「「チャレンジ・ゼロ」宣言」に賛同し、それぞれが挑戦しているイノベーションの具体的な取り組みを公表しています。

これらの企業のイノベーションの事例は、「チャレンジ・ゼロ」のウェブサイトに公開されています。

参考:チャレンジ・ゼロ HP

最後に

今回の記事では紹介していない組織やネットワークも多々あり、これからも出てくると予想されます。ただ、今回ご紹介させていただいた組織やネットワークをチェックすることに、損はないと考えています。

より多くの企業や組織が効率的に情報を収集し、実際の具体的な脱炭素経営に集中して取り組めるよう、参考になれば幸いです。

昨今メディアでも報道される機会が増えてきた「エネルギー基本計画」「よく耳にするけど難しそう」という印象をお持ちの方も多いかもしれません。

そこで、今回はエネルギー基本計画の概要と「なぜ注目されているのか」について、簡単にご紹介致します。

目次

「エネルギー基本計画」とは?

「エネルギー基本計画」とは、エネルギー政策基本法(2002年制定)に基づいてエネルギー政策の基本的な方向性を示すものであり、少なくとも3年毎の見直しが義務付けられています。

現行の計画は2018年に策定された第5次エネルギー基本計画であるため、2021年中に新たな第6次エネルギー基本計画の策定が見込まれています。

世界的な脱炭素化の潮流は勿論ですが、日本政府が「2050年までにカーボンニュートラル実現を表明し、気候変動対策を重要な柱に掲げていることもエネルギー政策への注目度を高めています。現在、経済産業省の審議会(基本政策分科会)を中心に、新計画策定に向けた検討が進められています。 

関連サイト

第5次エネルギー基本計画(本文)
新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?(経済産業省)

これまでの方針

では、現行の第5次エネルギー基本計画はどのような方針なのでしょうか。

2003年の策定当初より、エネルギー基本計画はエネルギー安定供給(Energy security)、環境への適合(Environment)、経済効率性向上(economic efficiency)3Eを基本原則としています。

東日本大震災後、最初の改定となった第4次エネルギー基本計画(2014年)では、これらの原則に安全性(Safety)が追加されました。その後のエネルギー政策の基本原則は、安全性(Safety)を大前提のもと、3Eの実現を目指す「3E+S」となっています。

第5次エネルギー基本計画では、2030年エネルギーミックス*の達成が大前提に置かれています。その上で、各エネルギー源に対して以下のような位置付けと方向性が描かれています。

*エネルギーミックス:2015年7月に発表された「長期エネルギー需給見通し」では、2030年のあるべき姿としてのエネルギーミックスが提示されています。一次エネルギー構成比では「再エネ14-13%、原子力11-10%、天然ガス18%、石炭25%、LPG3%、石油30%」、電源構成比では「再エネ22-24%、原子力22-20%、LNG 27%、石炭26%、石油3%」です。2030年にこの数値を実現することが様々な政策の前提となっています。

出所 経済産業省資源エネルギー庁基本政策分科会第32回(2020/10/13) 資料

エネルギー基本計画の見直しに向けて

電源の役割を考える上では、種類ごとの特性が重要になります。特性に応じて3つの分類がなされており、それぞれ安定供給「変動型電源」といわれる太陽光や風力の増減に対する調整力としての機能を果たしています。

「ベースロード電源」:発電(運転)コストが低廉で、昼夜を問わず継続的に稼働可能
(例)地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭

「ミドル電源」:発電(運転)コストがベースロード電源の次に安価で、電力需要の動向に応じて出力を機動的に調整可能
(例)天然ガスなど

「ピーク電源」発電(運転)コストは高いが、電力需要の動向に応じて出力を機動的に調整可能
(例)石油、揚水式水力など

新たな方針①「火力発電の多様化」

ここからは主に電源構成に関して、何が変わろうとしているのかをご紹介します。

これまで、火力発電の燃料として想定されていたのは化石燃料とバイオマスでした。
新たな想定では水素・アンモニアが加えられており、化石燃料についてもCCUS(二酸化炭素回収・貯留)を組み合わせる前提へと変わっています。

水素(H₂)やアンモニア(NH₃)は、燃やしてもCO₂を出さないため、カーボンフリー電源として活用が検討されています。(水素についてはどうなる?【水素社会】に向けて~知っておきたい最近の動向もご覧ください。)

これらの設備は、既存の火力発電設備の改修により準備可能であることもメリットです。

出所:経済産業省

アンモニアは、肥料等に幅広く利用されているため、既にサプライチェーンが確立しています。これは、水素には無い強みです。

ただし、燃焼しても水しか排出しない水素と異なり、アンモニアを燃焼するとNOx(窒素酸化物)が発生するというデメリットもあります。また、発電用に多量かつ安定供給が必要となると新たなサプライチェーンも確保しなければなりません。 

発電用途として、アンモニアを正面から議論することはこれまで無かったため、どのようなバランスで利用するのか等今後検討が進むと考えられます。

一方で、従来からの主力電源である化石燃料に対しても脱炭素化の方策が明確化されています。

CCUS(Carbon Capture, Usage and Storage)とは?
産業活動から排出される高濃度のCO₂を固定化したり、有効に利用したりする技術です。化石燃料発電は温室効果ガス排出が多いものの一定量必要であり、そこで排出されるCO₂はこの技術により相殺しようという計画です。

CCUS技術とは

カーボンリサイクルやCCUSについては、以前から議論が進められており、日本でも苫小牧で大規模実証が行われてきました。現行のエネルギー基本計画では、「出来る限り早期の商用化」などについて言及されていましたが、「化石燃料+CCUS」を原則とするような方向性に変わりつつあります。

出所:経済産業省

出所 経済産業省資源エネルギー庁基本政策分科会第35回(2020/12/21) 資料

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討

参考

アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先
アンモニアが“燃料”になる?!(後編)~カーボンフリーのアンモニア火力発電
知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」

新たな方針②「脱炭素電源の内訳」

これまで、脱炭素電源は「再エネ」と「原子力」のみでしたが、カーボンニュートラル実現に向けては脱炭素電源の多様化が求められます。そこで、「水素・アンモニア発電」の導入や、化石燃料発電に「CCUSやカーボンリサイクル技術を組み合わせる」ことで、二酸化炭素を排出しない電源構成案が提示されています。

こちらの割合は審議会で示された「政府案」(現時点)にすぎませんが、昨年末に発表された2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略でも言及されており、大枠はこの水準となることが見込まれます。

新たな発電燃料の想定に加え、「原子力」と「化石燃料+CCUS/カーボンリサイクル」を合わせた割合を提示していることも従来と異なる点です。

2015年に示されたエネルギーミックスでは、原子力発電は22~20%(2030年)と想定されていましたが、再稼働が想定ほど進んでおらず、今後の運転にも不確実性が高いことなどから、単独での目標設定を避けたと考えられます。

まとめ

今回は、エネルギー基本計画に関する議論の最新状況をお伝えしました。

これまでの計画改定では、大胆な変更を加えられることは殆どありませんでした。しかし、次期改定に向けては新しい想定や枠組みが検討され、明示されつつあります。

水素はコストが高く、CCUSはまだ技術・コスト的に実用化とは程遠い技術ですが、確実に社会の枠組みは変化してきています。この分岐点を上手く乗り切れるかが鍵となるでしょう。

皆さんは、【カーボンニュートラル】や【カーボンゼロ】などの用語の区別ができていますか?
最近、新聞やニュースなどでカーボンニュートラル、カーボンネガティブ、カーボンネットゼロなど、脱炭素化の取り組みに対して、様々な表現がされています。それらの言葉に定義や使い分けがあるのでしょうか。

今回は、それぞれの言葉の意味と重要性について解説いたします。

目次

【カーボンニュートラル】ってどういう意味?【ネットゼロ】とどう違うの?

カーボンニュートラル

まず、使用される機会の多い「カーボンニュートラル」という言葉について説明します。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素の排出を全体としてゼロにする、という意味です。

「排出を全体としてゼロにする」というのは、CO₂の排出量から、森林などによる吸収量を差し引いたものをゼロにするということを意味します。

また、企業や自治体などがカーボンニュートラルを目指す場合は、二酸化炭素をできるだけ削減する努力をし、その上でやむを得ず排出してしまった排出量を、排出権の購入などによって埋め合わせることが多いです。

環境省に聞いてみた!カーボンニュートラル、ネットゼロなどの違いは?

カーボンニュートラルと同じような意味で、カーボンネットゼロ、カーボンゼロ、ゼロカーボンなどの言葉が使われることがあります。

これらの言葉の定義や使い方は、団体などによって違いがあり、統一されていないというのが実状です。

そこで、環境省の方に、これらの言葉の意味の違いや使いわけについて伺いました。

Q:【カーボンニュートラル】や【ネットゼロ】の意味は違いますか?場面によって使いわけていますか?

A:明確な区別や、使いわけはしていません。

Q:【カーボンニュートラル】や【ネットゼロ】を違う意味として捉えている団体もありますが、それに関してはどう思いますか?

A:確かに、【カーボンニュートラル】と【ネットゼロ】は完全にはイコールではないような気もします。企業が目標を掲げるときには、【ネットゼロ】という言葉が使われることが多い印象もあります。

Q:今後これらの用語の定義づけ、使いわけをする予定はありますか?

A:色々な用語を使っていると混乱を招きやすいので、わかりやすさの意味では統一すべきかもしれない、と考えます。実際、英語では、【カーボンニュートラル】という言葉はあまり使われず、【ネットゼロ】という言葉が使われることが多いです。

Q:昨年の菅総理の2050年排出実質ゼロ宣言は、2050年【カーボンニュートラル】、2050年【ネットゼロ】、2050年脱炭素宣言など様々な形で表現されていますが、どの表現が正しいのでしょうか。

A:環境省は、「2050年カーボンニュートラル」と表現しています。「2050年カーボンニュートラル」は、メタンやフロンなどの温室効果ガス全体に関して森林などの吸収を差し引いてゼロにすることです
【カーボンニュートラル】は、厳密には二酸化炭素の排出を全体としてゼロにするという意味なので、少し誤解を招きやすいかもしれません。

このように、環境省はこれらの用語を特に区別していません。
カーボンニュートラル、カーボンネットゼロなどは特に断りがない限り、同じ意味として捉えても良いと思われます

※2050年カーボンニュートラルのように、「カーボン」を含む用語は、二酸化炭素に限らず、温室効果ガス全体を表すこともしばしばあります

※【ゼロエミッション】という言葉も、人間活動による廃棄物を限りなく0に近づける意味合いで使われることが多いですが、「環境に負荷をかける物質=温室効果ガス」、という解釈で、温室効果ガスを削減する際に使われることがあるようです。

参考:経産省 「ゼロエミ・チャレンジ

■改正された温対法に記載された【脱炭素社会】とは

「人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。」※温対法 第2条の2 より抜粋

カーボンオフセットって?

カーボンオフセット イメージ

オフセットとは、英語で「差引き勘定する、相殺する」などの意味を持つ言葉です。

「カーボンオフセット」は、この言葉に基づいて、企業や自治体などが、自ら排出した二酸化炭素を、森林吸収や他で削減した分で相殺しよう、という考え方(取り組み)です。

カーボンオフセットの特徴は「クレジット」というものを導入していることです。

クレジットは、カーボン・クレジット(温室効果ガスの排出削減量・吸収量=環境価値)ともよばれます。 森林吸収や再生可能エネルギー等で削減した二酸化炭素量を価値化したものです。

カーボン・オフセットに用いるカーボン・クレジットを信頼性のあるものにするため、国内の排出削減活動や森林整備などによって生じた排出削減・吸収量を認証する制度ができました。それがJ-クレジット制度です。

環境省の【カーボン・オフセット制度】のガイドライン【カーボンオフセット・ガイドライン】では、下記のクレジットが認められています。

カーボンオフセット ガイドライン 認められてるクレジット

※環境省の【カーボン・オフセット制度】では、非化石証書やグリーン電力証書は認められていません。

◆非化石証書とは、
化石燃料を使わず発電された電気の、環境価値だけを切り離したもの。
 ・FIT制度を利用したFIT非化石証書(再エネ指定)と、
 ・FIT制度を利用していない非FIT非化石証書(再エネ指定)と、
 ・原子力発電を含む非FIT非化石証書(指定なし)がある。

◆グリーン電力証書とは
自然エネルギーにより発電された電力の環境価値だけを、第3社認証機関の認証のもと、取引可能な証書にしたもの。

※カーボンオフセットは、排出量取引制度に類似していますが、排出量取引制度とは違い、登録されると無効化手続きされるため、転売はできません

脱炭素化を実現する上では、自らが排出する二酸化炭素の量を削減することが一番望ましいですが、どうしても削減が困難な部分があるのではないでしょうか。

その排出分を、カーボンオフセットにより埋め合わせすることができます。

しかし、この手法では、日本や世界全体の温室効果ガス排出量を最終的に0にすることはできませんあくまでも、技術開発やインフラ設備が整うまでの移行期間内での活用というのが、世界の脱炭素化を進める上での見方となっています。

◆Jクレジットについて

J-クレジット制度

出典:J-クレジット制度 ウェブサイト

ネガティブエミッションって何?開発が進むBECCSやDAC!

ネガティブエミッションとは、大気中へのCO₂の排出量をマイナスにすること、つまり大気からCO₂を吸収することを言います。

これを実現する技術(ネガティブエミッション技術)には、

などがあります。

この他にも、ネガティブエミッションの例として海洋吸収や植林面積の増加などがあります。

BECCS

バイオマス

BECCSは、バイオマス発電とCCSを組み合わせた技術です。
これが、なぜネガティブエミッションとなるのでしょうか。

まず、バイオマス発電は、カーボンニュートラルな発電方法と考えられています。
バイオマス発電の際に燃焼される植物は、地表で生きているときは、CO₂を取り込みます。
そのような植物が刈り取られ、燃焼利用されると、CO₂が排出されます。

この、植物が地表で生きている状態から、燃焼利用された後の状態までの一連の流れを考えると、CO₂の排出量は±0になります。これがバイオマス発電がカーボンニュートラルな発電方法と呼ばれる所以です。

また、CCSはCO₂を分離・回収して貯留する技術のことです。

バイオマス発電にこのCCS技術を組み合わせると、バイオマスは生存中は大気のCO₂を吸収し、その後の燃焼によって大気中へ排出されるCO₂は貯留されるため、全体としてマイナスの排出となります。

DAC

一方、DACは、その名の通り空気中から直接CO₂を回収する技術です。DACは、植物に頼らず、吸着剤などを利用してCO₂を吸着させ、それを貯留することで大気中からCO₂を減らします。

この技術の利用の際に問題となるのが、そのコストです。DACの運用コストは未だはっきりとわかっておらず、その推定値には大きな幅があります。

DAC 運用コスト

参考:Putting Costs of Direct Air Capture in Context, Forum for Climate Engineering Assessment

エネルギー総合工学研究所と東京大学の共同調査によると、DACの運用コストの試算は、組織によって大きく違い、10~1000USD/t-CO₂(おおよそ1000円~10万円/t-CO2)の幅があるとされています

参考:「カーボンニュートラル」って何?脱炭素社会に生きるための基礎知識

マイクロソフト社が広めた、「カーボンネガティブ」!

マイクロソフト

カーボンネガティブとは、経済活動によって排出される二酸化炭素よりも、大気から吸収する二酸化炭素の量の方が多いという状態のことを言います。

この言葉は、マイクロソフト社が広めました。
マイクロソフト社が2020年の1月に「2030年までにカーボンネガティブを目指す」と宣言し、カーボンネガティブという概念が注目されるようになりました。

※同社はさらに、2050年までに、1975年の創業以来の自社の直接的及び間接的排出を全て環境から除去する、という目標も掲げており、脱炭素において世界をリードする企業の1つとなっています。

カーボンネガティブは、カーボンネットゼロよりもさらに野心的で、この目標を掲げる企業も増えてきています。

また、カーボンネガティブと同じ意味を持つ言葉として、カーボンポジティブがあります。カーボンネガティブとカーボンポジティブは一見逆の意味として捉えそうですが、実は一緒な意味なので、注意が必要です

さらに、ビヨンド・ゼロという言葉もカーボンネガティブと同じような意味で使われます
ビヨンド・ゼロは日本独自の概念であり、カーボンニュートラルに止まらず、その先まで見据えようという意味が込められています。

参考:IDEAS FOR GOOD 「カーボンネガティブとは・意味」

最後に

このように、二酸化炭素に関する用語は数多く存在し、これからも増えていくと考えられます。

わからなくなった時に、この記事を参考にしてください。

カーボンニュートラル
カーボンネットゼロ
カーボンゼロ
ゼロカーボン
(ゼロエミッション)
二酸化炭素の排出を全体としてゼロにする
(排出量ー吸収量=0)
カーボンオフセット排出量をできるだけ削減し、削減が困難な部分をクレジットを購入して埋め合わせること
ネガティブエミッション大気からCO2を吸収すること
カーボンネガティブ
カーボンポジティブ
ビヨンド・ゼロ
排出される二酸化炭素よりも、大気から吸収する二酸化炭素の量の方が多い状態

今、世界には、気候変動対策を推進する多くのNGOやイニシアティブが存在し、その数は増え続ける一方です。そのため、それぞれの組織がどのようなもので、組織同士がどのようにつながっているのかを理解するのが難しくなっています。
今回は、特に重要なNGOやイニシアティブについて、それらの関係性と、中小企業との繋がりについて解説いたします。

目次

PRI、CDP、SBTはどのように関係しているの?

中小企業に脱炭素が求められている理由を理解するためには、まず、環境分野において大きな影響力を持っている組織や取り組みについて知る必要があります。

その組織や取り組みとは、PRI、CDP、SBTなどです。皆さんは、PRI、CDP、SBTがどのような組織や取り組みかご存知ですか?

PRI
投資家に対して、企業の環境問題に対する施策などを考慮する、という投資における責任を求めている原則(取り組み)PRIに署名している機関の運用資産総額は約100兆ドル(おおよそ1京円)にも上ります。

CDP
世界の主要企業に対し、環境課題に対する取り組みについての質問状を送り、その回答を評価し、開示をしている国際NGOCDPが毎年開示しているレポートは、世界で最も参照されているデータの1つ。

SBT
パリ協定が求める温室効果ガス排出削減水準に基づいて、企業が科学的根拠のある削減目標を設定することを求める取り組み

これらの組織について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

それぞれの組織や取り組みの関係性を、ESG投資やそれに関わる評価情報に着目して図にしました。

ESGと組織関係

この3つの組織の関係を簡単に説明すると、

つまり、これを逆に考えると、SBTなどの評価項目に含まれる取り組みをしないと、CDPレポートでの評価が下がってしまい、PRI署名機関の投資を受けられないということになります。

中小企業も脱炭素に取り組まないと、競争に勝てない!

この流れの中で、中小企業が関わってくるのはどこでしょうか。それは、SBTの中のSCOPE3です。

SBTは排出範囲ごとにSCOPE1、2、3に分かれていますが、そのうちのSCOPE3は、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量のことを指します。

大企業がSBTの認定を取得するために設定するSCOPE1,2,3の目標には、それぞれ基準があり、SCOPE3の基準では、【SCOPE3排出量がSCOPE1+2+3排出量合計の40%以上の場合にSCOPE3目標を設定】する必要があります。

SCOPE3の目標設定基準

出典:環境省 SBT(Science Based Targets)について 95ページ

またそのSCOPE3目標は、【SCOPE3排出量全体の2/3をカバーする以下のいずれかを満たす】必要があります。

①1つ以上の排出削減目標を設定
②サプライヤー/顧客・エンゲージメント目標を設定

上記を満たし、野心的であることが求められます。【野心的】の水準は下記の通りです。

SCOPE3の目標 野心的の詳細

つまり、取引先や下請けに、経済的原単位 前年比7%削減、もしくは物理的原単位 年間2%の削減、といった具体的な削減を求める必要が出てきます。

自社以外の取引先や下請けに対して、こうした取り組みをやってもらうのは、簡単な事ではありません。脱炭素の必要性や、具体的手法を伝えることも、容易ではありません。

だからこそ、何も取り組んでいない企業よりも、少しでも取り組みをしている企業の方が、競争上優位であることは、容易に想像がつきます。

たとえ、株式を公開していない、ESG投資には直接関りのない中小企業であっても、他人ごとではありません。取引先から脱炭素化を求められる機会が増え、取り組まなければ、取引してもらえない、つまり競争に勝てなくなる状況になっていきます。

これこそ、中小企業が脱炭素化を進める必要性がある理由です。

中小企業も他人事ではない脱炭素の取り組み
SCOPE3 サプライチェーンの目標事例

出典:環境省 SBTについて 23ページ(24枚目)

最後に

PRIやSBT、CDPなどの組織の働きかけによって、今ではESG投資の考え方が主流となりつつあります。そのような中で、大企業には、直接的な二酸化炭素の排出の削減だけではなく、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められています。

中小企業の脱炭素の取り組みは、当分先、と考えている企業の方々も多いかもしれません。だからこそ、今、取り組みを始めることが、気候変動の【リスク】を【チャンス】に変える機会だと考えています。弊社も微力ながら、取り組みを進めてまいります。